久元 喜造ブログ

2017年7月18日
から 久元喜造

水道管の老朽化とたたかう。


少し前になりますが、産経新聞の7月9日朝刊の1面「インフラ再考 迫りくる崩壊リスク」に、神戸の取組みが取り上げられていました。
記事は、東灘区渦森台で進められている水道管の更新から始まります。
「約半世紀の歳月とともに古くなったこの町の水道管をいま、新品に取り換える工事が急ピッチで進められている」と紹介されていました。

神戸市は、昨年3月、老朽化する水道管の更新ペースを、平成26年度の年間20キロから、平成31年には2倍の40キロに大幅に伸ばす方針を発表しました。
スピードアップが可能になるのは、人口動向を見据え、太い口径の水道管を細いサイズのものに交換することにしたからです。
これまで使われてきたダクタイル鋳鉄管をポリエチレン樹脂製に代えることで、錆に強くなり、コストも2割程度削減できることが記事で紹介されていました。

記事では、水道管の耐震適合率が全国平均で36%と記されていましたが、20の指定都市の平均は54.4%で、神戸は中でも高く、72.4%です。

つねに新しい技術を取り入れながら、財政負担を減らしつつ、安全で耐久性の高い水道インフラの整備に取り組んでいきます。

地下の見えないところで行われている地道な作業ですが、インフラの老朽化とたたかい続けることは、安全な街づくりを進めていく上でとても重要な課題です。

神戸市水道局のみなさんの仕事ぶりは、被災地への支援(2016年4月29日のブログ2015年8月9日のブログ)、途上国における水道事業への貢献などが知られていますが、これら幅広い活動が本来の仕事に生かされているように感じます。


2017年7月14日
から 久元喜造

瀬戸内 地魚の魅力②

 

神戸の前に広がる、海。
神戸近海では、日本で最もおいしいとも評される魚介類が獲れます。
前回(2017年2月3日のブログ)の後に味わった、神戸近海など瀬戸内の地魚を紹介したいと思います。

まず、垂水近海で獲れた「キジハタ」(上の写真)。
何とも、豪快で美しく、美味しい魚でした。

次に、この鯵、淡路産です。
何とか鯵、と呼ばれていましたが、すみません、失念しました。
深い味わいの鯵でした。

続いて、やはり淡路で獲れた「マイカ」。
七輪で焼いて、素朴に味わいました。

蝦蛄。
子どもの頃は、ザルに山盛りありましたが、希少品となりました。

穴子の稚魚「のれそれ」。
生で出てくることが多いのですが、さっと、しゃぶしゃぶにすると、また違った味わいでした。

瀬戸内の地魚、万歳!!!
魚の魅力あふれる「食都神戸」を強力に進めます。


2017年7月9日
から 久元喜造

三ツ星ベルト・真野地区の豊かな恵み


きょうの午前中は、三ツ星ベルトふれあい協議会主催の「2017神戸・長田たなばたまつり」が開かれました。
17回目を迎えた今年は、薄日も射す日和に恵まれ、例年どおりたくさんのみなさんが参加されて盛大に開催されました。

ゆかりの京都府綾部市から山崎善也市長、香川県さぬき市から大山茂樹市長が参加されました。
綾部・さぬき両市の子どもたちから、長田の子どもたちへ、どんぐりの苗木のプレゼントがありました。
微笑ましい光景でした。

新長田再開発地区では、いよいよこの秋、兵庫県・神戸市合同庁舎が着工されます。
この時期をとらえ、長田区では、市内でも緑が少ないとされる長田区南部地域で、㈱三ツ星ベルトさんなど民間事業所のみなさんとコラボしながら、緑豊かな街づくりをすすめるプロジェクトを展開しています。
私からは、綾部、さぬき、そして神戸の子どもたちが植えたどんぐりの苗木が、いっしょになってすくすくと育っていくことへの期待をお話ししました。
就業者、来街者を増やす試みを展開し、たくさんのみなさんが参加して、賑わいあふれる試みや、緑を増やす取組みを行っていくことで、地域は大きく変わっていくに違いありません。

会場では、綾部市から「鮎の山賊焼き」が、また、さぬき市からは「さぬきうどん」が振舞われ、私も、ごちそうになりました。
地域間の交流からも豊かな恵みを受け取ることができているのは、ありがたいことです。


2017年7月7日
から 久元喜造

所有者不明土地対策が大きく前進。


私は、市長に就任以来、空き家対策に力を入れてきました。(2015年10月23日のブログ など)
そしてその過程で、所有者不明の土地が神戸市内でも多数に上ることが明らかになってきました。
そこで、昨年5月、私が部会長をしている指定都市市長会総務・財政部会で、所有者不明土地の問題を検討対象に取り上げるよう提案しました。
このような動きは、政府、与党の知るところとなり、自民党の「所有者不明土地問題に関する議員懇談会」でプレゼンをさせていただきました。(2017年4月6日のブログ

指定都市市長会では急ピッチで検討を進め、今年の5月23日、「所有者不明土地対策の推進に関する提言」をとりまとめ、同月30日、林文子会長(横浜市長)は、所有者不明土地対策を「骨太方針2017」に盛り込むよう、菅義偉官房長官に要請されました。
この指定都市の要請については、日経新聞の社説(2017年6月15日)にも取り上げられました。

このような私たちの要請を踏まえ、政府は、「骨太方針2017」に、「所有者を特定することが困難な土地に関して、・・・関係省庁が一体となって検討を行い、必要となる法案の次期通常国会への提出を目指す」と明記していただきました。
また、「全国版空き家・空き地バンクの構築」も明記されました。

私は、7月6日、石井啓一国土交通大臣に、改めて法制化の内容について具体的な項目をご説明し、実現をお願いしました。
政府が短期間にここまで踏み込んだ対応をされたことに対し、深く感謝申し上げます。


2017年7月3日
から 久元喜造

東京都政「政策の遊興」論


少し前になりますが、日経新聞の経済論壇(2017年6月24日)に、土居丈朗慶応大学教授による解説があり、金井利之東京大学教授が執筆された「遊興」論が紹介されていました。

「主演」=都知事、「劇場」=都政という興行に都民は満足するという構図の中に、「遊興」としての都政をみるのが、東京大学教授の金井利之氏(アスティオン86号)である。築地市場も東京五輪会場も予算規模も、都民にとっては他人事の「遊興」でしかない。利害関係者は「助演俳優」でしかなく、迫真の演技であればあるほど「遊興」度が増す。これは、小池都政に始まったことでなく、戦前からそうだった。

金井教授の「遊興」論は、前に読んだことがあります。
それは、『現代を生きる―歴史と現代の透視図』(中公叢書 2012年)に収められている「東京都性論―あるいは人間不在の都政」です。
たいへん面白い論文でした。

この論文は、特定の知事の都政を論じるのではなく、「戦後都政に通底する一般的傾向、すなわち、東京都性を抽出することを目的」としています。

「東京都政には、各人の思いつき政策・事業を可能にするだけの財源的余剰」があります。
「そのような余剰のなかで、政策的遊興が可能に」なるわけです。
以前にも書きましたが、東京都にはほかの地域では考えられないような莫大な税収が入り、これを都と23の特別区で山分けする仕組みになっています。(2015年7月22日のブログ

金井教授は、この「巨額の財源的余剰のために、一般の自治体以上に都政は、各利害関係者に適度に分配できる」と指摘されます。
「東京型高齢化」が進行する中、このような東京都政がどのような方向に向かうのか、注目されます。


2017年6月29日
から 久元喜造

地下鉄「U-15定期券」は塾や習い事もOK。

市営地下鉄(西神山手線・海岸線)では、4月1日から、中学生以下の子どもたちを対象に、「U-15定期券」(アンダー・ジュウゴ定期券)を発売しています。

学校に通うための通学定期券は、もちろんこれまでも発行していました。
料金は、地下鉄1区(1か月)で、中学生が、4,940円、小学生以下が、2,470円となっています。
割引率は、ともに約60パーセントです。
通学定期は、自宅から学校までの最短区間だけでしか使うことはできません。
学校から学習塾などに行く場合に、地下鉄を利用するときは、改めて切符を買ったり、回数券を購入して使用したりしてもらっていました。

今回、発売することにした「U-15定期券」は、通学だけでなく、学習塾や習い事など自由な用途・目的にご利用いただける定期券です。
金額は、通学定期券と同じです。
これまで地下鉄の回数券などを利用して学習塾や習い事などに通われていたご家庭がU-15定期券をご利用いただくことで、少しでも負担の軽減につながればと願っています。

「U-15定期券」は、市営地下鉄の各定期券発売所(三宮駅、新長田駅、名谷駅、西神中央駅、神戸駅前の各定期券発売所)でお求めいただけます。
まだあまり知られていないようですので、子どもさんがいるお知り合いに教えてあげてください。


2017年6月25日
から 久元喜造

安倍総理「外国人にとり住みやすい街を」


昨日は、安倍晋三総理大臣が神戸にお越しになり、午前中は、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(CDB)を視察されました。
まず、松本紘理事長、濱田博司CDBセンター長、江藤浩之京都大学iPS細胞研究所副所長から、理研の研究概要やiPS細胞などを用いた再生医療、創薬の取組みについて説明を受けられました。
続いて、研究室に移動、網膜再生医療研究開発プロジェクトの髙橋政代プロジェクトリーダーから、iPS細胞を用いた臨床研究の進捗状況について、顕微鏡も覗かれながら、説明を受けられました。

その後、意見交換が行われましたが、私からは、神戸アイセンター の整備についてご報告いたしました。
安倍総理は、再生医療や創薬について幅広い知識と強いご関心をお持ちで、質問も多岐に及びました。
また、海外から優れた人材を我が国に招くことの重要性を指摘され、理研における海外からの研究者の在籍状況などについても質問されていました。
私に対しては、「外国人にとって神戸が住みよい街になるよう取り組んでください」と励ましてくださいました。

2年前、ブリスベンで開催された「アジア太平洋都市サミット」に参加したときに強く感じたことですが、アジア太平洋地域の大都市は、優れた人材をいかに呼び込んでいくのかについて強烈な問題意識を持っています。
骨太方針2017」にもあるように、「企業における職務等の明確化と公正な 評価・処遇の推進、英語等でも活躍できる環境など就労環境の整備」とともに、自治体自身もしっかりと取り組んでいかなければいけないという思いを改めて強く持ちました。


2017年6月22日
から 久元喜造

街を明るく灯す。


いろいろな意味で街を明るくすることは、大切です。
私は、これまでも、地下鉄のホームの照明を明るくするとともに、市役所についても、エレベーターホールや廊下の照明を、電力消費量に与える影響を慎重に勘案しながら、明るくすることにしました。(2015年5月3日のブログ

街を明るくする上で大事な取り組みが、防犯灯の適切な管理です。
公道の防犯灯は神戸市が管理し、私道の防犯灯は地域で管理していただいていますが、両者がしっかりと連携し、電球が切れている電灯があれば、速やかに交換することが大切です。
また、防犯灯が設置されていないために夜の闇が広がり、防犯上問題がある箇所がないか点検し、必要があれば、新たに防犯灯を設置することが求められます。

少し前になりますが、長田区真野地区で、建設局西部建設事務所が中心になって、地域のみなさんといっしょに街を歩き、防犯灯の点検を行う機会があり、私も参加しました。
夜の7時45分に、東尻池公園を出発、東尻池町、浜添通、苅藻通を回りました。
LEDに替えた防犯灯の近くでは、路上が格段に明るいことがよくわかりました。
街を歩きながら、空き家の状況、街並みの変化など真野地区の課題についてもいろいろと教えていただきました。
熱心に地域活動が行われていることがよくわかりました。

市内には、自治会など地域の活動が停滞しているところもあり、そのような地域では、防犯灯の管理が適切に行われていないように思われます。
地域で何が起きているのか、区役所や建設事務所などを通じて本庁においても把握し、住民のみなさんの参画をどのように進めていくのかが問われます。


2017年6月19日
から 久元喜造

地下鉄海岸線・中学生以下は無料に。


7月から地下鉄海岸線で、中学生以下を無料にする社会実験が始まります。(利用方法
バラマキではないか、という批判がありうることを知りつつ、どうしてこの社会実験を始めたのか、記したいと思います。

地下鉄海岸線は、約2350億円の巨費を投じ、2001年に開業しました。
建設当時の予想乗客数は、1日当たり、13万8000人を見込んでいました。
それが、平成27年度の乗客は、4万5000人にとどまっています。
当然のことながら、膨大な赤字が続いています。

つくらない方がよかったという声もたくさんありますが、今さらそんなことを言っていても始まりません。
とにかく乗っていただくことが重要です。
海岸線の沿線には魅力的なスポットがたくさんあります。
子供たちに、そのような場所を巡って、楽しんでほしいと願います。
願わくば、沿線に住んでみたいという方が少しでも増えてほしいです。
また、子供連れのご家族で海岸線に乗り、街を回遊するみなさんが増えれば、地域の活性化にもつながります。

大事なことは、巨費を投じてつくられた貴重な社会インフラをどんどん使うという視点ではないでしょうか。
新しく社会インフラをつくることも大事ですが、インフラの整備が進んできた今日、それらをどう活用するかが問われています。
子供重視の視点に立った、インフラ活用の社会実験です。
実験に伴う減収見込みは、今年度、約1100万円です。

収支の根本的な改善のためには、沿線の需要喚起策が重要で、市街地西部の活性化策を引き続き実施していきます。


2017年6月16日
から 久元喜造

「町村総会」という選択。


町村総会。
住民が直接参加し、議論を交わし、自ら決定する―ある意味、自治の原点なのかもしれません。
1950年代に八丈島の旧宇津木村で設置されて以来、設けられたことはありませんが、最近、高知県大川村がその検討を始めたことが報じられて以来、俄かに注目を集めています。

しかし、大川村が町村総会を導入しようとするのは、「議員のなり手不足」。
本来、積極的な意味が見いだされるべき直接民主制導入の理由が「議員のなり手不足」というのは、正直、残念です。
そうであっても、村がそのような意向であるならば、地方自治制度を所管する総務省は、村が町村総会を円滑に導入できるよう、前向きに対応することが求められます。
そして根本的には、多くの住民が議員になりたいと考えるようになる環境を整えることです。

この点について、総務省が「総会の設置・運営の問題点などについて洗い出しを進める方針」(読売新聞6月13日)を打ち出したことは、時宜にかなった対応と言えます。
総務省は、さっそく有識者による研究会を7月に設けることとし、「①町村総会を弾力的に運営する方法 ②夜間・休日議会の開催など議員のなり手を確保するための工夫 ③町村議員の選出方法―といった過疎に悩む町村議会の課題を話し合う」(朝日新聞6月14日)と報じられています。

制度官庁としての使命感に基づく、素早い対応だと評価できます。
住民が議会のあり方をただ批判しているだけでは、問題は何も解決しません。
議会への住民の主体的な参画が進むよう、今後の検討に期待したいと思います。