久元 喜造ブログ

2021年11月23日
から 久元喜造

鈴蘭台西口の次は西鈴蘭台


朝日新聞連載、原武史さんが執筆されている「歴史のダイヤグラム」はよく読みます。
3か月ほど前に掲載されていた記事のタイトルは「「西口」とつく駅名の東西」。

原さんは、1999年10月、神戸電鉄粟生線に初めて乗られたそうです。
粟生線の起点は鈴蘭台。
次の駅が 鈴蘭台西口 、その次の駅が 西鈴蘭台 です。
原さんによれば、関西には本家の駅名のあとに「西口」「南口」「北口」がつく駅が私鉄にいくつか見られますが、「西口」と「西」が連続する線はほかにはないのだそうです。
鈴蘭台西口駅が小部西口駅から改称されたのが1962年(昭和37年)だったことも、この記事で知りました。
私たち一家が鈴蘭台に移り住んだのは1964年(昭和39年)で、この駅名改称の直後だったようです。
当時の鈴蘭台西口駅の周りは瀟洒な家が並ぶ静かな住宅街で、小部小学校の同級生も何人か住んでいました。
住宅街の南側には中山田圃と呼ばれる広大な農地が広がり、その周囲は里山でした。
大小の池が点在し、ひょうたん池という名前の池もありました。
拙著『ひょうたん池物語』に登場する池とはかなり趣を異にする、大きな池でした。
まもなく住宅開発が始まり、次々に団地や一戸建ての住宅が建設されていきました。
1970年6月、西鈴蘭台駅が開業。
朝日新聞には開業当時の西鈴蘭台駅の写真も掲載されていました。

すでに開業から半世紀余りが経ち、施設の老朽化も進みました。
周辺地域の人口減少も目立っています。
商業施設、駐輪場などの公共施設を含めた再整備が求められます。
神戸電鉄のみなさんとも協議を進めながら、早期に具体的な再整備計画を作成していきたいと考えています。


2021年11月14日
から 久元喜造

ハンセン『スマホ脳』


スマホが出現してから、私たちの生活は一変し、人間の行動形態や思考方法に大きな影響を与えています。
著者は、このスマホが人間には必ずしも適合しないと主張します。
なぜなら人間の身体や脳は、気が遠くなるほどの年月をかけて進化してきたのであり、スマホにはついていけないのだと。
現代の人間の脳が狩猟採集時代とさほど変わっていないという著者の主張は、確かにそうかもしれませんが、科学的な論証に耐えられるのか、議論が必要かもしれません。

自分自身の経験を踏まえて、本書の主張がそのとおりだと感じるのは、スマホが人間の集中力を奪う ということです。
短時間だけ残る記憶ではなく、自分の中に、数か月、数年、あるいは一生残るような長期記憶ができることは、人間という存在にとってとても大事です。
著者によれば、記憶するためには集中が必要で、「次の段階で、情報を作業記憶に入れる。そこで初めて固定化によって長期記憶ができる」と言います。
ところが「インスタグラムやチャット、ツイート、メール、ニュース速報、フェイスブックを次々にチェックし、間断なく脳に印象を与え続けると、情報が記憶に変わるこのプロセスを妨げる」。
このことが、いくつかの実験を使って例証されます。

どうすれば良いのか。
「バカになっていく子供たち」という刺激的な章の後の章では「すべての知的能力が、運動によって機能を向上させる」と説かれます。
「多くの人がストレスを受け、集中できず、デジタルな情報の洪水に溺れそうになっている今、運動はスマートな対抗策だ」と。
そのとおりだと思います。
巻末の「デジタル時代のアドバイス」には、実行可能なメニューが記されています。

 


2021年11月6日
から 久元喜造

引き続き、市長の重責を担うことになりました。


10月31日(日)に執行された神戸市長選挙で、三度目の当選をさせていただきました。
ご支援をいただきましたみなさまに、心より感謝申し上げます。
今回の選挙は、コロナ対策など現職市長として公務を行いながらの対応となりました。
時間的な制約はありましたが、市内各地を回り、これまでの市政の成果や課題、これからやっていかなければならない政策を率直にお話ししました。
駅前で、街頭で、道端で、市民のみなさんからは、さまざまなご意見を聞かせていただきました。
市役所のルートではなかなか聞くことができなかったご意見、いままで知らなかった現実も知ることができました。
あっという間の14日間の選挙戦でした。

10月31日、選挙当日の午後8時過ぎ、当選確実のお知らせをいただきました。
お越しいただいたみなさんと喜びを分かち合いました。
確定投票は、次のとおりでした。

久元喜造 439,749
鴇田香織  69,648
中川暢三  59,857
岡崎史典  59,722
酒谷敏生  20,269

前回、4年目の市長選挙では、過去最高の、340,064 票をいただきましたが、今回は、これを10万票近く上回る得票をいただきました。
圧倒的多数の市民のみなさんにご支持いただきましたことを、たいへんありがたく、また光栄に存じております。
市民のみなさんの力で多くのことが形となって現れてきましたが、まだまだやらなければならないことはたくさんあります。
コロナを乗り越え、未来へ!
力を合わせて目の前にある危機を克服し、コロナ後の世界を見すえながら、見違えるような神戸を市民のみなさんと一緒に創り上げていくことができるよう、最善を尽くします。


2021年10月17日
から 久元喜造

神戸市長選挙が始まりました。


きょう10月17日、神戸市長選挙が告示されました。
投票日は、衆議院総選挙と同日の10月31日です。
9時に、事務所の前で出陣式。
朝から雨模様でしたが、出陣式の頃から雨が止み、青空が広がりました。
10時半から、大丸前で最初の街頭演説を行い、たくさんのみなさんが耳を傾けてくださいました。
私からは、この1年半あまりにわたるコロナとの戦いを振り返り、医療従事者をはじめそれぞれの持ち場で懸命に貢献していただいたみなさまに感謝を申し上げました。
神戸市も、重症者専用臨時病棟の整備、変異株のゲノム解析と全国に向けての発信など独自の対応を行ってきました。
ワクチン接種も、途中経過はありましたが、オール神戸の態勢、産学連携の下にかなり速いペースで進め、2回目接種完了の目途をつけることがてきました。

感染は次第に収まってきています。
緊張感を持ちながら、日常生活の回復、経済活動との両立に取り組んでいきます。
ポストコロナの社会はどのような姿になるのか。
想像力を逞しくして地域社会のありようを思い描きながら、神戸の街づくりを進めていくことが大事です。
震災以後遅れていた神戸の街の再生が始まっています。
三宮をはじめとする都心・ウォーターフロントの再生の姿が現れつつあります。
郊外をはじめ駅前の再整備も急ピッチで進められています。
ポストコロナを見すえれば、六甲山、里山をはじめ自然環境の中で多様な働き方ができる神戸の街のありようは、新たな価値を獲得することができるでしょう。
コロナという目の前の危機と闘いながら、ポストコロナを見すえながら、神戸らしい街づくりをスピード感を持って進めていきたいとう決意を申し上げました。


2021年10月2日
から 久元喜造

月間「大阪人」


総務省にいたとき、大阪市の東京事務所の方が毎号を届けてくださいました。
この雑誌は、大阪市の外郭団体が発行していましたが、2011年度に廃刊となったようです。
いただいた「大阪人」の何十冊かは自宅に持ち帰り、神戸に持ってきて今でも書棚に置いています。
全国紙の神戸支社から大阪本社に異動される記者の方に差し上げたものもありますが、まだかなり残っています。

昨晩、夜遅く、久しぶりに何冊かの「大阪人」を開きました。
もちろん紹介されている情報はかなり前のもので、今では消えてしまったお店もかなりあることでしょう。
それでも、鮮やかな写真や味わい深い文章から、大阪の街の香りが立ち上ってくるようでした。

コロナ禍の前のことでしたが、「阪神なんば線」の特集号を手にして、阪神電車の西九条で降り、あてどなく散策したことがありました。
街の佇まいは新旧入り混じった雰囲気で、銭湯があったり、古いお店があったりして、子供の頃の兵庫区の光景が蘇ってくるようでした。
震災の被害をほとんど受けなかった大阪の街には、神戸よりも昭和レトロが残っているように感じました。
「大阪人」に紹介されていたお店には入らず、駅からだいぶ離れた辺りで、風情のある佇まいの居酒屋を見つけ、入りました。
店主は一見の客にも親切で、カウンターで雑談しながら独酌しました。
何か月かして二度目にこの店に行ったとき、隣の方と意気投合し、その方の行きつけのスナックに連れて行ってもらいました。
親切なママさんが一人でやっておられるお店で、優しい時間が流れていました。
コロナ禍も長くなり、何回か訪れた西九条の街の風景も、ずいぶん遠くなったように感じられます。


2021年9月23日
から 久元喜造

澤章『ハダカの東京都庁』

帯には「元幹部が”女帝”のタブーを明かす」とありますが、内容の大部分は、東京都庁の実態です。
著者は、都庁の人事課長、知事本局計画調整部長、選挙管理委員会事務局長などを歴任した人物。
豊洲の中央卸売市場移転問題のさ中には、市場次長の要職にありました。
いわば都庁の本流を歩んで来た幹部だけに、書かれている内容にはリアリティがあります。
人事、昇進、マスコミ対応、議会対応、職員気質などが具体的に語られていきます。
都庁は言うまでもなく巨大官僚組織。
あの周囲を睥睨する庁舎が象徴するように、周りとは隔絶された世界のようです。
そこでは、外の世界では考えられないような風習や慣行が跋扈します。
規模は違いますが、神戸市役所にも見られてきたような特異な世界がこれでもかと展開されます。
いわば「究極の役所グロテスク」、あるいは自治体にとってのディストピアとでも表現すれば良いのでしょうか。
こういう風になってはいけないという見本が鮮やかに提示されますが、流石に優秀な人材が集まっているだけあって、参考になる部分もたくさんあります。

「なぞ多き都庁の深部へ」の章では、知事執務室の様子が描写されます。
外から見るとバルコニーの奥に位置する知事執務室。
執務室のある7階だけは、天井が他の階の2倍ほど高くなっているそうです。
テーブルや座席の配置、知事説明における幹部の行動などが具体的に説明されます。
小池知事の振る舞いにも言及されますが、興味のある方は本書をお読みください。
鈴木俊一知事から小池百合子知事までの「歴代知事」評も興味深かったです。
著者は石原慎太郎知事のコピーライターもされたようで、文章はわかりやすく、簡潔です。


2021年9月20日
から 久元喜造

テレワーク一辺倒で良いのか。


コロナ感染を防ぐために、第1波のときからテレワークが推奨されています。
テレワークは、仕事をする場所の可能性を広げ、働き方改革にもつながります。
このような認識に立った上で、テレワークをできない方々がたくさんおられることにも留意が必要です。
コロナ禍の中で、感染者の治療、療養にあたっておられるのは、医師、看護師をはじめ医療従事者のみなさんです。
そして、宿泊療養、自宅療養をされている方々に対し、幅広い分野のみなさんがケアや見守りにあたっていただいています。
医療、福祉、教育、子育てなどさまざまな分野で、感染予防のために、そして感染が生じたときに備えた対応をしていただいています。
また、対面でなければ成り立たない仕事はたくさんあります。
これらの方々には、テレワークは無理です。

コロナ禍の中にあって、私たちの生活が何とか維持できているのは、テレワークになじまない分野で、数えきれないみなさんが使命を果たしていただいているおかげです。
たとえば、鉄道、バスなど公共交通分野の大部分の職場は、テレワークにはなじみません。
本当にテレワークが進み、公共交通の採算が極度に悪化し、ダイヤが削減されるようなことになれば、コロナに懸命に対応されている方々をはじめ、社会全体が大きな影響を受けることになります。
市役所の中を見ても、テレワークに馴染む職場はごくわずかで、保健所をはじめとしたコロナ対応に当たっている職場、地下鉄、バス、ごみ収集、小中学校、幼稚園、保育所など多くの職場では困難です。
私自身、テレワークはしていません。
自分にできていないことを、庁内に、そして市民のみなさんにお願いするのには躊躇を覚えます。


2021年9月12日
から 久元喜造

山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』


この本を読んだのは、「孤独」が国や自治体の政策テーマに挙げられ始めた頃でした。
神戸市も今年の4月、こども家庭局に担当局長を新設するとともに、福祉局・健康局・こども家庭局の3局で構成するプロジェクトチームを設置し、この問題に取り組んでいます。

しかし本書を読んだのは、仕事とはまったく関係がありません。
山内マリコ さんの本はいつも面白かったからです。
山内マリコさんの小説は、『ここは退屈 迎えに来て』(2014年7月4日ブログ)、『アズミ・ハルコは行方不明』(2015年11月16日ブログ)に続き、3冊目です。
前2作では、女性が主人公か、物語の中心にいました。
それから、ジャンルは少し違いますが、『東京23区』(2016年3月27日ブログ)も読みましたが、最も印象的だった登場人物は、葛飾北斎の娘、お栄でした。

今回は、雰囲気がガラッと変わっていて、主人公はすべて男です。
登場人物は年齢、職業、立場もさまざま。
帯には、「情けなくも愛すべき男たちの「孤独」でつながる物語」とありますが、主人公の男たちの心象風景は多彩で、こう一括りにはできません。
「女の子怖い」の主人公は、高校の男子生徒。
「よりによって高校3年の1学期に内山花音なんかに手を出してしまったのが、僕の人生にケチがついたはじまりだった」で始まる女の子との顛末は、恐ろしく刺激的でした。
彼はどうやって内山花音からの「生還を果たした」のか。
その後に続くモノローグには深い含蓄がありました。
ほかに「さよなら国立競技場」「ぼくは仕事ができない」そして、わずか3行で終わる「いつか言うためにとってある言葉」など19の短編が収められています。


2021年9月5日
から 久元喜造

老朽化した市の施設・看板は撤去します。


神戸は、古くから発展してきた都市です。
新しい街をつくり、建物を建て、それらを示す看板をつくり続けてきた時代がありました。
苦労が大きかったと思いますが、ワクワクする仕事だったと思います。
右肩上がりの時代、民間も行政も、次々に舞い込む仕事でてんてこ舞いだったことでしょう。
高度成長から震災の前まで、神戸市役所の福利厚生も充実していたようです。
有馬、六甲山、芦屋、須磨、ポートアイランド、・・・あちこちに福利厚生施設があったそうです。
市外にもありました。岡山県美作市にある湯郷という温泉地です。

時が流れ、震災が神戸を襲い、財政再建が求められた時代にこれらの施設のほとんどが廃止されました。
湯郷の神戸市の保養所は、どうなったのか。
老朽化が進み、今でも放置されていると聞きました。
恥ずかしいことです。
もしも仮に、有馬の温泉街の中にほかの自治体の福利厚生施設が長年放置されていたとしたら、神戸市民はどう思うでしょうか。
少し前の市長・副市長会議で、有効活用、解体・撤去も含め、早期に対応することとしました。

老朽した施設、看板、表示板、標識などが放置されるのは恥ずかしいことです。
私も市内を移動するとき、問題のある光景が自分の目に入るたびにスマホで撮影し、担当課に送っています。
神戸は美しい街だと言われますが、本当に美しい街にするためには、市民のみなさんとともに行政が汗を流していくことが不可欠です。
近年は職員のみなさんも改善に取り組んでくれています。
上記の標識も、見違えるようになりました。

それでも、まだまだ改善が必要な箇所が多いことも事実です。
求められるのは、美辞麗句を並べた作文ではなく、行動です。


2021年8月27日
から 久元喜造

妊婦さんへのワクチン接種


ワクチンの接種によって新型コロナウイルス感染症の発症が抑えられることは、研究結果から明らかになっています。
とくに妊婦さんには、必要な情報に接していただいた上で、接種を考えていただきたいと思います。

厚生労働省によれば、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方でも、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを接種することに問題はないとされています。
また、産婦人科の関係学会は、海外における多くの妊婦へのmRNAワクチンの接種実績から、ワクチンは、妊娠初期から妊婦と胎児の双方を守る効果があり、重篤な合併症が発生したとの報告はないとしています。
また、妊娠中のいつの時期でも接種は可能です。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に妊娠後期は、重症化しやすいとされています。
授乳中の方については、mRNAワクチンの成分そのものは乳腺の組織や母乳に出てこないと考えられています。
また、授乳中にmRNAワクチンを受けた方の母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が確認されています。
こうした抗体が、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています。

千葉県柏市では、感染して自宅で療養していた妊婦が入院先が見つからずに自宅で出産し、赤ちゃんが亡くなったことが各方面に衝撃を与えました。
このようなことが起きないようにしていかなければなりません。
このため神戸市では、集団接種会場において妊娠中の方とその夫・パートナーの方のために、「妊婦さん優先枠」を新設し、優先的に接種の予約を受け付けることしました。
ワクチンに関する正確な情報に接し、理解していただいた上で、進んでワクチン接種をしていただければと願っています。