人口減少が加速する中、全国の都市で再開発が進められています。
本書では、NHK記者のみなさんの取材をもとに、各地の再開発の状況が報告されます。
開発ラッシュが続く、東京の秋葉原、福岡、東京の郊外・葛飾区立石のいま、そして、北陸新幹線の開業に沸く福井市駅前の再開発の光と影。
地方から羨望の的である東京・湾岸エリアの再開発エリアでは、空室率が高止まりしているという意外な実情が紹介されます。
東京では、オフィスやマンションなどの床が供給され続けていますが、人口減少が加速する中で、これまでのように床が埋まるかどうかは見通せないと言います。
一方、住民目線を大事にしながら、じっくりと将来を見据えて進められる再開発の事例が紹介されます。
東京・下北沢は、私も学生時代から知っていますが、「開かずの踏切」を解消するための再開発に小田急電鉄が主体的に関わり、半世紀以上の時間をかけて練り上げられていきました。
高層ビルを建てるのではなく、緑豊かな「下北線路街」が出来上がりました。
最後に取り上げられるのは、神戸の街づくりです。
神戸市の”タワマン規制”が、「異例の施策」として紹介されていました。
私は、神戸に限らず、ほとんどの都市で人口増加に転じる可能性がない中で、タワマンをつくり続けることへの疑問を語りました。
数十年にわたりニュータウンを開発してきた神戸では、交通ネットワークを活用し、郊外の拠点駅を再開発しています。
タワマンの問題点を直視しながら、長い目で見たバランスの取れた街づくりに挑戦しています。
来年は、震災から30年を迎えます。
神戸市は、災害に強い、持続可能な街づくりに取り組んでいきます。