東京出張の用務が少し早く終わり、新幹線に乗るまで時間があったので、八重洲地下街を歩きました。
八重洲ブックセンターに立ち寄ると、松本清張の「点と線」の特設コーナーがあり、びっしり平積みになっていました。
掲示を見ると、このお店の限定カバー版だそうです。
遥か昔に読んだことがありますが、ストーリーは完全に忘れてしまっていたので、さっそく買い求め、車内で読むことにしていた別の本は後回しにして、読み始めました。
帯に「東京駅、空白の4分間。」とあるように、東京駅が重要な舞台となります。
13番線の横須賀線に乗る予定の安田、そして馴染の料亭の女中ふたりは、15番線から発車する博多行き特急《あさかぜ》に乗り込む同じ料亭の女中、お時と連れの男を目撃します。
九州の香椎海岸で男女の死体が発見され、汚職事件の渦中にあった✖✖省の課長補佐、そしてお時だと分かります。
情死の線に疑問を持った警視庁と福岡県警の刑事二人は、手紙などで連絡をとりながら捜査を開始します。
そして、頻繁に電車が発着する東京駅で13番線から15番線を見渡せる時間帯は、17時57分から18時01分の4分間しかないことが明らかになって・・・・
「点と線」は、1957年(昭和32年)2月から翌年1月まで、日本交通公社の雑誌《旅》に連載され、同年2月に光文社から刊行されました。
当時の国鉄、そして飛行機のダイヤを読み解き、汽車の時刻を利用したアリバイを崩していく推理小説です。
官庁と出入り業者との関係、赤坂の料亭の雰囲気も興味深いものがありました。
当時の特急や急行の車内、青函連絡船、そして駅のホームや改札口の雰囲気が蘇ってくるようでした。