国と地方の財政制度は密接に関連しており、国家財政の動向は常に気になるところです。
政府は毎年度の財源を賄うため、大量の国債を発行しており、その発行が円滑にできるかが重要です。
最近、10年物の日本国債のほか、30年物の金利も上昇し、市場関係者からのコメントも相次ぎました。
何か月か前にはNHKスペシャルで、日本国債の売り込みに奔走する財務官僚の姿が描かれていました。
改めて、そもそも国債とは何なのか、基礎的な知識を得たいと思い、本書を読みました。
国債は債券ですが、債券とは何かから始まり、国債の引き受け手である証券会社、銀行、生命保険などの役割や利害も理解できました。
日銀が国債を購入するオペレーションがどのように実施されるかについても、分かり易く説明されます。
買いオペ時の日銀と民間銀行のバランスシートの変化が説明された上で、黒田東彦総裁の下で実施された異次元の金融政策が回顧されます。
大規模な国債購入、「マイナス金利政策」の導入、そして「イールドカーブ・コントロール」へと進んでいきました。
国際的な金利上昇に対応するため、日銀は指値オペにより膨大な量の国債を購入し、一時は10年国債のほとんどすべてを日銀が保有するまでになりました。
財務省によって行われる国債の発行については、国の財政制度、予算と関連付けられながら、国債の種類、償還ルールなどが説明されます。
現在発行根拠や使途が異なるさまざまな種類の国債が存在している一方、それらが統合されて発行されている現状を理解することができました。
ディリバティブやスワップ取引あたりから少し難しくなりましたが、国債に関する基礎知識は格段に拡大しました。