町村総会。
住民が直接参加し、議論を交わし、自ら決定する―ある意味、自治の原点なのかもしれません。
1950年代に八丈島の旧宇津木村で設置されて以来、設けられたことはありませんが、最近、高知県大川村がその検討を始めたことが報じられて以来、俄かに注目を集めています。
しかし、大川村が町村総会を導入しようとするのは、「議員のなり手不足」。
本来、積極的な意味が見いだされるべき直接民主制導入の理由が「議員のなり手不足」というのは、正直、残念です。
そうであっても、村がそのような意向であるならば、地方自治制度を所管する総務省は、村が町村総会を円滑に導入できるよう、前向きに対応することが求められます。
そして根本的には、多くの住民が議員になりたいと考えるようになる環境を整えることです。
この点について、総務省が「総会の設置・運営の問題点などについて洗い出しを進める方針」(読売新聞6月13日)を打ち出したことは、時宜にかなった対応と言えます。
総務省は、さっそく有識者による研究会を7月に設けることとし、「①町村総会を弾力的に運営する方法 ②夜間・休日議会の開催など議員のなり手を確保するための工夫 ③町村議員の選出方法―といった過疎に悩む町村議会の課題を話し合う」(朝日新聞6月14日)と報じられています。
制度官庁としての使命感に基づく、素早い対応だと評価できます。
住民が議会のあり方をただ批判しているだけでは、問題は何も解決しません。
議会への住民の主体的な参画が進むよう、今後の検討に期待したいと思います。