久元 喜造ブログ

2018年4月23日
から 久元喜造

コシノヒロコ先生との対談


六甲アイランドの 神戸ファッション美術館 名誉館長に、コシノヒロコ先生にご就任いただきました。
きょうは、芦屋のアトリエ「SEMPER」で先生と対談をさせていただきました。

神戸ファッション美術館 は、ファッションをテーマにした我が国初めての公立美術館として、1997年(平成9年)4月にオープンしました。
ファッション都市神戸のシンボル的な施設です。
館内には、服飾関係だけで約6万件の収蔵品があり、18世紀から20世紀にかけてのさまざまな国、地域の衣装など歴史的に価値のある貴重な資料を多数所蔵しています。
ファッション関係の書籍や雑誌を集めた図書室、ファッションショーもできる構造のオルビスホールなどの施設も備えています。

六甲アイランド街びらき30年を迎えた今年、世界的なファッションデザイナーのコシノヒロコ先生を名誉館長にお迎えできたことをたいへん喜んでおります。
きょうは初めてコシノヒロコ先生からじっくりお話を聞かせていただきました。
泉のように次々に湧き出る斬新な発想に思わず引き込まれるとともに、ファッション、芸術に対する熱い想いに触れることができ、感銘を覚えました。
先生はもともとは画家を志されたそうで、三味線も巧みに弾かれるそうです。
幅広い分野で活躍されているコシノヒロコ先生の大きなお力添えをいただき、館の展示内容、活動の充実を図るとともに、内外に向けた発信を強化していきたいと考えております。


2018年4月20日
から 久元喜造

人材確保有識者会議の提言


グローバル社会の中で、アジア・パシフィック地域の大都市は、優秀な人材を獲得しようとしのぎを削っています。
ビジネス、アカデミズムをはじめあらゆる分野で神戸に優れた人材を呼び込んでいかなければなりません。
このような要請を踏まえ、大学などの教育研究機関では、学部、学科の新設、再編が盛んに行われています。
民間企業も、人材の獲得・確保のために「働き方改革」を進め、採用と人材育成のための模索を続けています。
地方自治体も、このような動きを見据えながら、しっかりと対応していく必要があります。

そこで、これからの神戸市政を担う人材を確保していくため、大学、専門学校、経済界などで活躍されているみなさまに参画していただき、「神戸市の人材確保に関する有識者会議」を昨年の12月に設置しました。
有識者会議では、約3か月という驚くべき短期間に、極めて密度の濃い議論を重ねていただき、この3月30日に報告書をとりまとめていただきました。

座長をお願いいたしました神戸大学副学長の品田裕先生をはじめ、参画いただきました委員各位に心より感謝申し上げます。

提言では、求める人材を明確にするためのキーワードとして「チャレンジ精神」「リーダーシップ」「デザイン力」が挙げられています。
市政への「共感」を広げるため、リクルーター制、インターンシップの拡大などのほか、試験区分を大括りにし、試験問題を選択制にすること、博士課程修了者等を対象とした「エキスパート制」、プロフェッショナル人材として「法律専門職」「デザイン職」の導入などが提言されています。
試験区分の見直しを含め、実現できるものから具体化を進めていきます。


2018年4月18日
から 久元喜造

「定年後」楠木新さん講演会


昨日の夜、神戸文化ホールで、楠木新 さんの講演会が開催されました。
楠木さんは、神戸市兵庫区のご出身。
ご著書、『定年後~50歳からの生き方、終わり方』(中公新書)は、25万部の大ベストセラーになりました。

背景には、「定年後」に対する関心の高まりがあります。
会社、役所勤めの人には一律に定年が適用され、それぞれ慣れ親しんだ職場から退くことになります。
長寿社会になり、定年後の人生は長くなりました。
楠木さんは、こう書いておられます。

「人は若いころの成功を中高年以降まで持ち越すことはできない。
・・・定年後が輝けば過去の景色は一変する。
やはり、終わりよれければすべてよしだ。
そういう意味では、定年後、いわゆる人生の後半戦が勝負なのだ」
そのとおりだと思います。

神戸市では、職員のみなさんが円滑に「定年後」の人生に移行できるようにする一助として、「高齢者部分休業制度」を設けました。
原則として、55歳から徐々に勤務時間を減らし、地域貢献活動などに携わり、退職後は、本格的にそれらの活動にかかわっていただけるようにする試みです。
また、年齢を問わず、職員が勤務時間外において、継続的な地域貢献活動に報酬を得て従事できるよう、「地域貢献応援制度」も設けました。
もちろんこれらを使うかどうかは職員の判断で、現実にはほとんど使われていません。

昨日の講演を聴かせていただき、会社や役所に勤めている人が、組織の外でそれぞれの能力を活かして活動することは、「定年後」を豊かなものにする上でも有意義ではないかと改めて感じました。
お忙しい中ご講演いただいた楠木さんに感謝申し上げます。


2018年4月15日
から 久元喜造

井上寿一『戦争調査会』


1945年10月30日、政府は「敗戦の原因及実相調査の件」を閣議決定しました。
当時の総理大臣は、外交官出身の幣原喜重郎。
幣原総理の強い決意の下に設置されたのが「戦争調査会」でした。
総裁の人選は難航し、幣原総理が自ら就任、事務方トップの長官には大蔵省出身の青木得三が任命されました。
また、5つの部会が作られ、部会長には粛軍演説で名高い斎藤隆夫などが就任しました。

敗戦間もない当時、政府が「戦争はなぜ起きたのか」という根源的な課題に自ら向き合ったことを、本書を読んで初めて知りました。
当時、東京裁判が進行中でしたが、幣原は裁くことよりも検証することを重視し、大臣経験者や外交官、軍人、官僚などから精力的に聴き取りが行われました。
しかし占領統治の司令塔GHQ、そして対日理事会は、戦争調査会に冷ややかな視線を送ります。
とりわけソ連代表は、調査会が戦争を正当化しようとしていると非難し、解散を主張しました。
結局、戦争調査会は、1946年9月30日に廃止されました。

調査会はこうして設置から1年も経たないうちに廃止されましたが、当事者からの聴き取りに基づく膨大な資料が残されました。
そしてこれらの貴重な資料は、2016年に公刊されるまで、国立公文書館と国立国会図書館憲政資料室の書庫で眠り続けたのです。
本書は、「幻の政府文書」から「なぜ道を誤ったのか?」を探ろうとします。
当事者の証言から、最終的に戦争に突き進んでいった背景が浮き彫りになるとともに、戦争を回避するチャンスが何度もあったことが明らかにされます。
幣原喜重郎、青木得三、そして吉田茂など、戦争に至った道を自ら検証し、それを後世に残そうとした先人の努力にも感銘を覚えました。(文中敬称略)


2018年4月10日
から 久元喜造

読みたい本は、やはり自分で選ぶのが良いのでは。


去る4月3日、神戸市に入庁したばかりの新規採用職員に講話をしました。
予定の1時間のうち、20分を質問に充てたところ、10人近いみなさんから質問や意見が活発に出て、心強く感じました。

その中で、
「市長お奨めの本を挙げてください」
という質問がありました。
読書に関心を持ってくれているのは嬉しく、それだけにどう答えるのか、一瞬、悩みました。
吉村昭『破船』 は良い本だが、さすがに新規採用職員には暗すぎるし、川崎草志『崖っぷち役場』 は神戸とはちょっと違う・・・

迷いましたが、こう答えました。
「自分が読みたい本は自分で見つけることが大切なのではないでしょうか。私も、昼休み、本屋に行って本棚を回り、面白そうな本を選んだり、新聞の書評に取り上げられていた本を買ったりしています」
これではさすがに不十分なような気がしたので、
「これは単なる私の好みですが、いわゆる自己啓発本やハウツー本を読むことはありません。小説を読む方が好きです。優れた小説からは教えられるところが多いように感じます」
と付け加えました。
質問してくれた女性職員には、物足りない答えだったことでしょう。

その翌々日、ある大学が、大学生の「読書離れ」を防ぐため、人工知能(AI)が個々人の性格に合った本を選ぶアプリをつくった、という記事を目にしました。
AIは、投稿内容の文字をもとに、その人の性格をいくつかの指標で数値化し、性格に最も合った本を選び出してくれるというものです。(2018年4月5日付け朝日新聞朝刊)

市長に尋ねるよりは適切な答えが得られそうですが、それでも読み終えて良かった、と思える本を自分で見つける努力をしてほしいと感じます。


2018年4月6日
から 久元喜造

職種別人事異動は今年が最後です。


神戸市の人事異動は、職種別に行われます。
人事異動案は、局長、部長、課長、係長それぞれの段階ごとに、一般行政、土木、建築、造園、衛生監視、設備などの職種別につくられます。
私は、このような職種別人事は平成30年4月人事で終わりにし、今後は、役職段階別に一本化された人事案をつくり、職種は個々の職員ごとに「備考」として記す方法に変更するよう、人事当局にお願いしました。

職種別人事異動は、それぞれの職種に属する職員が就くポストを限定することを前提にしていると考えられますが、ポストの固定化はメリットより弊害が大きいように感じます。
採用時の試験区分が退職時までついて回るのは、これだけ変化が激しい時代の人事管理として適切か大いに疑問です。

もちろん、個々の職員が学生時代から培ってきた専門的知識を生かして職務に当たることは大切です。
専門的知識が各行政分野に生かされ、科学的知見に基づく政策を展開していく必要性はむしろ強まっています。
しかしこのことは、職種ごとにポストを固定化することで達成されるとは思えません。

人事管理において大事なことは、個々の職員の意向をよく聴き、最大限、人事異動に反映させていくことです。
昨年から、人事課による行政職(専門職を除く)の職員全員の「フォローアップ面談」を始めました。
ポイントのひとつは、個々の職員が、自らの専門領域を生涯追い求めたいか、それとも、専門領域を大切にしながら幅広い分野を経験したいか、どちらの方向を望んでいるのかを把握することです。
なかなか難しい課題ですが、個々の職員の満足度を可能な限り最大化できる人事管理の姿を追い求めていきたいと思います。


2018年4月3日
から 久元喜造

神戸市職員辞令交付式


きょうは、ポートアイランドの国際会議場で、神戸市の新規採用職員への辞令交付式が行われました。
開会に先立ち、神戸室内管弦楽団による歓迎演奏があり、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」、モーツァルトの「ディヴェルティメント ニ長調 KV251」などが演奏されました。

国歌、神戸市歌斉唱の後、私から、319名の職員の代表に辞令を交付し、代表職員による 宣誓が行われました。

最後に私から歓迎の言葉を申し述べました。

「私たちは色々な意味で戦いをしています。
巨大地震、津波など災害のリスクとの戦い,サイバーテロや未知の病気など予見しがたいリスクとの戦い、貧困や格差といった社会的不公正との戦い、などです。
決して楽な仕事ではありません。
苦楽を共にし,私たちに与えられた任務を全うしていきましょう」

「国際都市神戸は、グローバル社会の中に生きています。
そしていまグローバル社会は、指数関数的に変容しています。
AI、ロボット、ネットワークの進化、そして神戸医療産業都市とも密接に関連するライフサイエンス・・・
このようなテクノロジーや社会の変化に、神戸、そして神戸市政は、しっかりと対応していかなければなりません。
みなさんの新鮮な感覚を、神戸の成長のために、都市のイノベーションのために、そして市役所、区役所などの組織の抜本的改革のために注ぎ込んでください」

私たちの仲間になったみなさんが、やりがいを持って仕事に打ち込み、神戸の発展のために全力で取り組んでくれると確信しています。


2018年3月30日
から 久元喜造

「しあわせの村」駐車場 子育て世代は無料に。

しあわせの村 は、1989年にオープンした総合福祉ゾーンです。
205ヘクタールの広大な敷地には、障害者支援施設、特別養護老人ホーム、リハビリテーション病院のほか、運動広場、芝生広場、キャンプ場などの屋外スポーツ施設、温泉・宿泊施設などが立地しています。

周囲を山々に囲まれた自然の中にあり、市街地からは少し離れています。
路線バスもありますが、車で来られる方もたくさんおられます。
去年、ネットモニター のみなさんとの対話フォーラムで、しあわせの村の駐車料金について、子育て世帯については無料にできないでしょうか、とのご意見をいただきました。
現在、1回の駐車料金は、500円で、1時間以内の利用は無料ですが、せっかく来られた家族のみなさんの滞在時間はこれをオーバーしてしまうことも多いことでしょう。
そこで、昨日閉会した定例市会で議決いただいた平成30年度予算に、18歳未満の方を含むグループについては駐車料金を無料にする経費を盛り込みました。
駐車料金の無料化は、7月1日から実施します。

毎年行っている「しあわせの村 入村者アンケート」によると、30歳代以下の利用者は約1割という結果も出ています。
これを契機として、子育て世帯のご家族のみなさんに、もっとしあわせの村にお越しいただきたいと願っています。
平成30年度予算には、このほか、子育て世帯の自転車駐輪料金の半額化、銭湯の入浴料金への支援、北神急行を利用する高校生の通学定期の割引拡大など、子育て世帯に対する支援の拡充を盛り込んでいます。
今後とも、子育て世帯に対するきめ細かな施策の充実に取り組んでいきます。


2018年3月26日
から 久元喜造

採用後のキャリアパスをしっかり用意します!


就活が最盛期を迎え、どこの自治体も優秀な人材の獲得にしのぎを削っています。
派手なポスターや奇抜なキャッチフレーズが話題を集めていますが、大事なことは、自治体が現在の課題と将来ビジョンを明確に示すことだと思います。
また、採用後にやりがいを持って仕事をすることができるよう、キャリアパスをどのように提供していくのかについて、しっかりと説明することも大切です。

神戸市では、3月16日と19日に職員採用説明会を開催し、それぞれ、171名、683名の参加がありました。
私からは、神戸のこれまでの歩み、とくに日本を代表する大都市としての輝かしい歴史と、戦災、震災という大きな試練を乗り越えてきた経験、その上に成り立っている神戸の「いま」、そして「将来ビジョン」についてお話ししました。

また、今年度から始めた「フォローアップ面談」についても触れました。
人事課の職員が行政職(専門職を除く)6,267名の職員全員に面談し、職員の近況、担当したい分野、今後の異動希望などについて聞き取り、記録していく取り組みです。
これまでは、職員が人事異動に関する希望を出しても、何人もの幹部職員が介在するうちにうやむやになってしまうきらいがありました。

神戸市のような規模の大きな自治体では、採用後、希望する組織に配属される保証はなく、予想もしなかったような仕事をさせられる可能性があります。
神戸市では、このようなことにならないよう、新規採用者に対しても、現役の職員に対しても、人事当局が直接面談し、職員の希望を可能な限り尊重しながら、一人ひとりの職員に応じたキャリアパスを用意する試みを続けていきます。


2018年3月24日
から 久元喜造

「神戸開港と神戸事件」


今年は、明治維新、そして兵庫県制150年の年です。
昨年は、神戸開港150年記念事業が一年を通して開催されました。
1868年は、我が国にとり、そして神戸にとっても、近代の幕開けを告げる重要な年でした。
激動の時代にあって、予期せぬ事件も発生しました。
いわゆる神戸事件です。

1868年2月4日(旧暦1月11日)、三宮神社前を進んでいた備前藩の隊列の前を外国人が横切り、この外国人を備前藩砲兵隊第三隊長、瀧善三郎の手槍が直撃、さらに発砲を加えたという事件です。
間もなく海岸に外国兵が散開して備前藩の隊列に射撃を開始し、数時間の銃撃戦となりました。

神戸史談」1月号は、「神戸開港と神戸事件=近代日本外交史の第一頁=」と題された島田清氏の論文を掲載しています。
この論文は、神戸開港120年の年、1987年(昭和62年)に掲載されたものの復刻です。
当時の政治情勢、世情、事件勃発までの経過とその後の対応がドキュメンタリー風に記され、興味深く読ませていただきました。

事件収集のための交渉は、2月8日(旧暦1月15日)、運上所、今の税関で行われました。
フランス、英国など各国の公使と東久世通禧を代表とする新政府の幹部が向かい合いました。
外国側の要求は発砲を命じた士官の極刑、関係諸国への陳謝で、明治政府は備前藩を説得してこれを受け入れ、瀧善三郎の切腹は、3月2日(旧暦2月9日)、神戸の永福寺において各国公使検証のもとに行われました。
島田論文のサブタイトルが示すとおり、この交渉は「近代外交の第一ページ」であり、発足間もない明治政府の事態収拾能力を内外に示す結果となりました。