久元 喜造ブログ

2023年10月3日
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國分功一郎『スピノザ』

スピノザ(1632-77)の哲学の一端に触れたいと思い、本書を紐解きました。 著者は独特のアプローチでスピノザの哲学を読者に提示していきます。 副題は「読む人の肖像」。 先人の著作を読み、悩み、考えながら、自らの哲学を形 … 続きを読む

2023年9月16日
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前田啓介『昭和の参謀』

著者は執筆当時、読売新聞東京本社文化部の現役記者。 本書も記者らしい取材記から始まります。 2019年に行われた取材の相手は、東部ニューギニア戦線を戦った元第18軍参謀、堀江正夫でした。 当時104歳の堀江は、2時間以上 … 続きを読む

2023年8月28日
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市川嘉一『交通崩壊』

単行本や雑誌の論文で目にする過激なタイトルは、著者よりも編集者の意向でつけられることが多いと聞きますが、本書では、それが著者自身の意向であることが「あとがき」に出てきます。 著者が抱くのは、危機感です。 「長期的なスパン … 続きを読む

2023年8月20日
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『再考 ファスト風土化する日本』

三浦展氏が『ファスト風土化する日本 郊外化とその病理』(洋泉社新書y)を出版されたのは、2004年9月のことでした。 本書の冒頭では、改めてファスト風土化の問題点が以下のように指摘されます。 ・世界の均質化による地域固有 … 続きを読む

2023年8月11日
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占領期の都市空間を考える

大手前大学メディア交流文化研究所主催のシンポジウムをもとに、論集として再構成されました。 「太平洋戦争終結直後の米軍を主体とした連合国軍の占領という特殊な時期に着目し、住宅接収を始め、占領下日本の都市空間で生起したさまざ … 続きを読む

2023年7月31日
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ミヒャエル・エンデ『自由の牢獄』

だいぶ前のことです。 JR須磨海浜公園駅から須磨海岸に向かって歩いていると、小さな書店がありました。 「自由港書店」です。 中に入ってみると、個性的な本が揃えられていました。 本書が目に入り、購入しました。 しばらく自宅 … 続きを読む

2023年7月12日
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上田早百合『上海灯蛾』

この小説を読み始めてすぐ、だいぶ前に読んだ 佐野眞一『阿片王・満州の夜と霧』 を思い起こしました。 主人公は、満州を舞台にアヘン密売を取り仕切り、関東軍など軍部に巨額の資金を提供した謎の人物、里見甫(1896 &#821 … 続きを読む

2023年6月6日
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テッソン『シベリアの森のなかで』

帯にはこう記されています。 「冒険家で作家のテッソンがバイカル湖畔の小屋で半年を過ごした日記。孤独と内省のなかで人生の豊かさを見つめ直す、現代版『森の生活』」 著者は、本書の中でひたすら自身との哲学的問答を繰り返す訳では … 続きを読む

2023年5月1日
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牧原出『田中耕太郎』

10年を超えて最高裁判所長官を務めた田中耕太郎の経歴は、実に多彩です。 東京帝国大学法学部を卒業し、内務省に入省しますが、すぐに大学に戻り、助教授・教授として学部、大学全体の運営にも関わりました。 1930年代になると、 … 続きを読む