久元 喜造ブログ

2016年1月6日
から 久元喜造

産経「神戸港 活気戻った」

きょうの産経新聞一面に、この見出しで記事が載っていました。

神戸港の昨年のコンテナ取扱量が「1~6月では前年同期比5・7%増を記録」。「国内外を合わせたコンテナ取扱量を震災以降最高の135万TEUに押し上げた」。
「その後も好調で同年7~10月で90万TEUを記録。取扱量世界6位となり、過去最高だった震災前年の6年(292万TEU)実績にほぼ回復するペースで進んでいる」と報じています。
この理由について、記事は、「26年10月に神戸港や大阪港などを一括運営するため発足した「阪神国際港湾」が、西日本の地方港から韓国・釜山港など東アジアの拠点港に流れた貨物を取り戻すため、輸出入貨物を神戸港経由に変更した船会社や荷主に補助金を出すなどの支援制度を充実。この結果、神戸港と地方港を結んで輸出入貨物を運ぶ「フィーダー輸送」が好調となり、取扱量が増えた」と分析しています。

新年早々から、とても明るい気持ちになりました。
昨日の港運関係団体合同賀詞交換会でも申し上げましたが、来年の開港150年を大きなチャンスととらえ、ハード・ソフト両面にわたる取り組みを行って神戸港の港勢を回復させていきたいと念じています。


2016年1月4日
から 久元喜造

平成28年の御用始め

新年おめでとうございます。
新しい年の仕事がスタートしました。

神戸は3年連続、人口が減少しています。
人口は都市の活力のバロメーターですから、人口定住対策をしっかりと講じ、神戸への移住・定住を図っていかなければなりません。
かつてのように、山を削って海を埋め立て、ニュータウンを造成していく時代はとっくに終わっており、既成市街地の再生を図りながら、居住都市としての魅力を高めていく方策が求められています。
都市としての総合力を高めていかなければなりません。
とりわけ、子供・子育て、教育、公共交通分野について、新しい発想を取り入れながら、積極的な施策展開を図っていきたいと考えています。

人口減少対策は重要ですが、ひたすら都市の規模を追い求める時代でもありません。
神戸市民が戦災、震災などの試練を乗り越えて創り上げてきた神戸の街のたたずまい、風格をさらに磨き上げ、グレードの高い街を目指したいと思います。

神戸全体としては、居住都市としての魅力を高める一方、神戸の玄関口である三宮などの都心においては、商業・業務機能の集積を図る必要があります。
駅周辺に高層タワーマンションを林立させるのではなく、神戸でショッピングをし、グルメやアートシーンを楽しむ・・・・そのような神戸でありたいと思います。
都心居住へのニーズとのバランスを考えながら、ワクワクできる、賑わいのある街づくりを進めます。

三宮から市役所機能の一部を新長田に移転させるなど、人口減少が見られる西部市街地、ニュータウンの再生を進めるとともに、農村地域への定住を図ります。


2015年12月31日
から 久元喜造

震災20年の年の大晦日に。

震災20年の年が暮れようとしています。
神戸の街は、市民と行政が力を合わせ、復興を成し遂げることができました。
しかしながら残されたいくつかの課題があり、今年はその最終的な解決に取り組みました。

災害援護資金貸付金については、返済期限から10年が経過しました。
債務者のみなさんの多くが高齢化し、所得水準が低い中にあって、少額返済が続けられています。
私は、国に対して返済免除事由の緩和を求めてきましたが、4月に国の新しい方針が示されました。
これを受け、償還請求を保留するとともに、資産・債務の調査を続けてきました。
現在、国と最終的な調整過程にあり、解決まであと一歩のところまで来ました。

震災で大きな被害を受けた新長田再開発地区については、昼間人口を増やし、賑わいを創出することが課題となってきましたが、9月に井戸知事と共同会見を行い、神戸市の責任で新しい庁舎ビルを建設し、兵庫県と神戸市の行政機関を入居させることを発表しました。(9月28日のブログ
12月21日には、新庁舎に、県・市の税務部門、住宅部門を移転させることも、同時に発表しました。

これらの項目以外の課題については、選挙時にお約束した政策に沿って、出来るだけ早い実現に向けて努力してきました。
進捗状況については、 「久元きぞうの政策」の取り組み状況 に掲載しました。
多くの政策に着手しましたが、目に見える形になるところまで十分な成果が挙がっていないことを申し訳なく思っております。
来年は、さらに仕事をスピードアップさせ、政策の実現を目指します。
この一年、ご支援いただきましたことに、心より感謝申し上げます。


2015年12月28日
から 久元喜造

砂原庸介『民主主義の条件』

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砂原庸介先生の『民主主義の条件』を読みました。
砂原先生は、大阪大学大学院法学研究科准教授。
11月14日に開催された日本自治学会主催のパネルディスカッションで、ご一緒させていただきました。

本書の問題意識は、序章に書かれているように、多くの有権者が考える常識的な要求が政治に反映されにくい、すなわち「納得」できる意志決定ができにくい仕組みになっている原因を探り、それらをどのように除去、改革していくのかという点にあります。
砂原先生のご指摘や改革の方向性は、地方自治制度、選挙制度の企画立案・運用に携わった私の実務感覚からみても、ほとんど違和感はありません。
とりわけ、我が国の政治制度において、政党の位置づけが曖昧であり、「公的な組織としての政党」を確立すべきだという点は、まったくそのとおりだと思います。(2013年10月3日のブログ

読み進んでいくと、前回の神戸市長選挙のことが取り上げられていて驚きました。
この選挙では、私と同じ読み方の苗字の候補者がおられました。
砂原先生の分析では、得票の状況は投票所の氏名掲示の位置と関連があり、各区の氏名掲示で、より右の方にあった候補者が高い得票率を示しているとのことでした。
この選挙は非常に接戦になり、氏名掲示の位置の状況によっては私が敗北していた可能性がある、とも指摘されていました。
広範なご支持をいただきながら、氏名掲示の位置に助けられてやっと当選できるような結果であったことを想い起こしました。
すべて私の不徳のいたすところです。


2015年12月24日
から 久元喜造

神戸へのお試し移住

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12月15日(火)から神戸へのお試し移住事業 LIVE LOVE KOBE が始まりました。
県外在住のみなさんに、「暮らすまち」としての神戸を体験していただく試みです。
20代から40代の県外在住者が対象で、神戸市が提供する住居に、3泊から最大14泊の期間、お試しで住んでいただきます。
その上で、神戸の暮らしの魅力を体験できるツアーに、1回以上参加していただきます。
参加者にご負担いただく費用は、ツアーへの参加料(1回8,000円)のみです。

この種の試みを神戸市のような大都市の中心部で実施するのは、恐らく全国でも初めてではないかと思います。
複数のメディアに取り上げていただいたこともあり、全国から多数の問い合わせがありました。
12月宿泊分で80余組の申し込みをいただき、その中から抽選により当選された5組のみなさんに参加していただくことになりました。
滞在先は、北野町のレトロマンションです。
参加いただいた方からは、「実際に住んでみると、神戸はまちの雰囲気が落ち着いていて過ごしやすい。ゆったりと散策したくなる街ですね」というお声もいただいています。

この事業は1月と2月にも実施することとしており、1月分の募集開始は12月18日(金)、2月分の募集は1月22日(金)です。

神戸への移住・定住のためには、さまざまな試みを行っていく必要を感じています。
今回の事業は、 株式会社フェリシモ に委託して実施しています。
これからも民間のみなさんからさまざまなアイデアをいただきながら、神戸への移住・定住を進めていきます。


2015年12月21日
から 久元喜造

獅子ヶ池再生の軌跡

獅子ヶ池は、神戸市長田区北部の山あいにある池です。
市街地からもすぐ近くのところにあります。
かつて荒れ放題でしたが、住民と行政が手を携えて再生させたと聞きました。
是非経過を知りたいと思い、12月15日の区長会議で、当時この課題に取り組んだ職員に報告してもらいました。

当時の写真を見ると、池の周辺はゴミだらけで、廃棄された車もたくさん放置されていました。
そのような獅子ヶ池を再生させようと声を上げたのは、地元、長田区のみなさんでした。
そしてこれに呼応して、長田区まちづくり課の職員が動き出します。
何度も住民のみなさんと協議を重ね、廃棄物の除去、山林の手入れ、遊歩道の整備へと活動は進んでいきました。

市役所の中のたくさんの組織が関係していましたが、説明してくれた職員の話では、いずれの組織も協力的で、時間はかかりましたが、獅子ヶ池は見違えるように甦っていったとのことでした。

獅子ヶ池のことを知らないのは私だけかと思っていましたが、このような取り組みを初めて聞いたという区長もいましたので、よい情報共有の機会になったと思います。
私からは、区長のみなさんに、神戸市内には荒廃したエリアもあるので、獅子ヶ池再生の軌跡を参考にして、ひとつずつ再生に取り組んでいただくようにお願いしました。

12月19日の土曜日、若手のみなさんとの対話フォーラムの後、初めて獅子ヶ池に行きました。

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池の周囲は綺麗に手入れされ、住民のみなさんが活動を続けておられることが窺えました。
心より感謝申し上げます。


2015年12月20日
から 久元喜造

鹿島茂『「レ・ミゼラブル」百六景』

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ヴィクトル・ユゴーの名作『レ・ミゼラブル』を読んだのは、高校のときでした。
河出書房新社グリーン版・世界文学全集でした。

先日、三宮のジュンク堂で本書を見つけたのですが、今頃になって『レ・ミゼラブル』に関する本を読む気になったのは、著者が鹿島茂さんで、鹿島さんの文章はいつもたいへん面白いからです。
7月に西宮の芸術文化センターで『椿姫』を観ましたが、プログラムに鹿島さんの解説があり、『椿姫』の社会背景が実に鋭く、また興味深く描かれていました。

本書では、 筆者自身がパリで購入したユーグ版『レ・ミゼラブル』(1879年出版)の挿絵が使われています。
この本を手にしたときの印象について、鹿島さんは、「ユゴーのテクストが挿絵と渾然一体となって、それまでには一度も感じたことのない力強い喚起力で十九世紀の前半という時代の雰囲気を蘇らせていた」と記しておられます。

小説の順序に沿って挿絵が配列され、そのシーンの要約が記されていますが、本書のおもしろさは、挿絵を「一種の解読格子として当時の社会・歴史的な要因」が注意深く考察されていることです。

私は、はるかかなたの記憶をたどりながら、小説のストーリーを追いかけました。すると、ジャン・ヴァルジャンが、テナルディエが、ファンチーヌが、コゼットが、そして、執拗にジャン・ヴァルジャンを追跡するジャヴェールが、・・・新たな光を放ちながら、立ち現れてくるように感じました。
そして、矛盾と混沌に満ちた当時のフランス社会の一端を覗き見ることができたように感じました。


2015年12月17日
から 久元喜造

鹿肉を使ったペットフード

12月1日のブログ でも書きましたが、鳥獣被害の軽減のために、あらゆる対策を講じていかなければなりません。
その一つが、肉の有効活用です。

先日、宍粟市の福元市長とお会いした時、鹿の話になり、市長から、宍粟市では、鹿肉を加工したペットフードが生産されているとお聞きしました。
サンプルを送っていただきましたが、鹿肉からペットの「おやつ」がつくられていることがわかりました。

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試しに、知り合いの愛犬家に与えてもらったところ、嬉々として(?)平らげたとのことでした。
神戸市としても、販路の拡大にご協力できればと考えており、いま、各方面に打診中です。

生産情報は、以下のとおりです。

製造事業者 多機能型事業所 すみれ
〒671-4123 宍粟市一宮町生栖32-1

写真にありますように、「鹿の子ベニソン」「鹿の子ミートボール」「鹿の子そぼろ」「鹿の子ハンバーグ」が発売されており、いずれも60グラム入りで、250円(税別)です。
愛犬家、愛猫家のみなさんには、一度お試しいただきますようお願いいたします。

注文先 TEL & FAX 0790-71-0618

ネットからもご注文いただけます。 「ネットショップはなさきむら


2015年12月13日
から 久元喜造

BE KOBE が本になりました。

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『BE KOBE 震災から20年、できたこと、できなかったこと』
BE KOBE プロジェクト編。
ポプラ社 から出版されました。
KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)の企画です。

神戸市では震災20年を機に、神戸で生まれた震災の教訓や知恵を集め、発信する「震災20年 神戸からのメッセージ発信」プロジェクトを実施しました。
このプロジェクトの中から、たくさんのみなさんの想いが込められたロゴマークとキャッチコピーである BE KOBE が生まれました。
神戸にはさまざまな魅力がありますが、一番の魅力は人である、というメッセージを託すことにしました。

BE KOBE ― 直訳すると、「神戸であれ」でしょうか。
私は、BE KOBE のロゴを初めて見たとき、これを公表すると、いったい何を意味しているのかわからない、という批判が必ず起きるだろうと想像しましたが、それはそれでよいのではないか、と思いました。
神戸がこうあれかしと願う姿は、ひとりひとりみんな違っていいし、それらを互いに出し合い、議論し合って、神戸の進むべき方向を探していければ、と思いました。

さて、本書では、阪神・淡路大震災からの20年を歩んでこられた10組13名の想いが語られます。
苦労と試行錯誤を重ねられ、それぞれの分野のリーダー的な立場で活躍されているお一人おひとりの言葉から、この間神戸が歩んできた都市としての姿、そして未来への道筋が、浮かんでくるように感じました。


2015年12月8日
から 久元喜造

「予算がないからできない」は余りにも寂しい。

もうすぐ予算の季節になりますが、札幌市に勤務していた時、市長がこうおっしゃったことがありました。
「市民から要望を受けたとき、予算がないからできない、と言っている職員が居るらしいが、あまりにも寂しいのではないか。できないなら、できない理由を市民にしっかりと説明すべきだ」

最近、同じようなお話をお聞きし、このときのことを想い起こしました。
確かに、市民のみなさんからいろいろな要望をいただいたとき、出来ないこともあると思います。
もしかしたら、すぐにお応えすることができないことの方が多いかもしれません。
そのときに、
「予算がありません」
というだけの理由でお断りしているとしたら、確かに余りにも寂しい気がします。

その要望が無理であるなら、お気持ちを傷つけることがないように言葉を選びながら、できないことを理解していただくようにすべきです。
もし、その内容が切実な問題であるなら、解決できるように動くことが公務員としての務めだと思います。
多くの問題は、特定のセクションだけで解決できないと想像できますが、
「ウチの所管ではありません」
とか
「あそこの課に相談して下さい」
とたらい回しにしたり、ほかに振ってしまうのも、寂しい限りです。

市役所には、保身に明け暮れる幹部も居ますが、大局的見地から行動しているみなさんもたくさんいます。
そのような心ある幹部と相談したり、複数のセクションから構成されるプロジェクトチームの設置に動いたり、職員のみなさんには、すぐにできなくても、前向きに行動していってほしいと願います。