久元 喜造ブログ

2014年3月8日
から 久元喜造

ヴィッセル神戸・ホーム開幕戦

きょう、ノエビアスタジアム神戸 で、ヴィッセル神戸 のホーム開幕戦が行われました。
ヴィッセル神戸は、昨年、残念ながら、サッカーJリーグ2部(J2)に降格になりましたが、わずか1シーズンでJ1に復帰し、今シーズンは、タイトル獲得の期待が持たれているところです。

ノエビアスタジアム神戸 内で開かれた経営諮問会議に出席した後、「ヴィッセル神戸を応援する近隣首長の会」に出席しました。神戸市長は、会長を務めさせていただいています。
会合の後、記念撮影。
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会のパーティー会場では、国家戦略特区の農業の分野で意欲的な提案をされている、養父市の広瀬市長と、農政の現状と閉塞状況、今後の展望について、意見交換しました。
とてもパッションを感じるひとときでした。
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試合開始に先立ち、選手入場。その後、「一致団結し、ヴィッセル神戸を応援しましょう」と挨拶させていただきました。
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そして、光栄なことに、始球式まで務めさせていただきました。
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好試合でしたが、ヴィッセル神戸は、柏レイソルと1‐1で引き分けました。
新しく入ったブラジル出身のペドロジュニオールが、0‐1で迎えた後半17分、同点ゴールを決めました。
今シーズン、今後に十分な期待が出来る試合でした。


2014年3月4日
から 久元喜造

野生の恵みを味わう。

きょうの昼は、大丸近く、元町の「鹿鳴茶流 入舩」へお伺いしました。
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とてもお洒落な雰囲気。
すでに、テーブル席はほぼ満席で、やっと、残りの1席に座ることが出来ました。
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お目当ては、鹿肉料理のランチです。
ランチは3種類ありましたが、初めてですので、オーソドックスな日替わりランチを注文。
メインは、鹿肉の煮込み。
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あっさりとした味わいで、堪能しました。
スープを含め、上品な味付けです。
女性客が多いのも頷けます。

鹿についてお伺いしましたら、「兵庫県で獲れる鹿です」、と教えていただきました。
神戸でも、北区の住宅地すぐそばまで、鹿が出没するようになっています。
全国的に問題になっているように、生態系のバランスが崩れ、鹿が異常繁殖するようになると、あっという間に、植生の破壊など、いろいろな問題が起きてきます。

本州の鹿は、美味で、食材として魅力的です。
身近な本州鹿の、捕獲、解体、流通、販売、消費のサイクルを確立し、このおいしい鹿肉の味を広く知っていただきたいと思います。

北海道の蝦夷鹿は、少し種類が違いますが、札幌におりましたとき、獲れたての蝦夷鹿肉をいただき、ステーキでいただいたときの味わいは忘れられません。

本州鹿の、また違った味を、さまざまな料理法で提供していただきたいと期待しています。


2014年3月2日
から 久元喜造

区役所サービスの強化のために

夕刻、久しぶりに、湊川から神戸電鉄に乗り、鈴蘭台に行ってきました。
鈴蘭台駅前では、再開発に向けた事業が急ピッチで進められています。事業予定地の建物は撤去され、更地が広がっています。
今の北区役所は駅前に移転し、再開発ビルの中に入ります。
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下の写真は、小学校から高校までお世話になった、駅前の文具店、「スター商会」です。
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幅広い北区民のみなさんのご意見をいただきながら、できるだけ早期に事業を完了させ、区役所の移転を実現させたいと思います。

次は、兵庫区役所です。
今の位置から少しずれますが、現地で建て替える計画を進めます。すでにプランを公表していますので、できるだけ早く事業に着手いたします。

その次は、西区役所の分庁舎です。
現在の区役所は、西神山手線から離れており、地下鉄沿線などにお住まいの住民のみなさん向け行政サービスを充実させるためには、西神中央駅近くに分庁舎を建設することが必要です。
平成26年度予算に調査費を計上していますので、出来るだけ早く、分庁舎で提供するサービスの内容、分庁舎の場所、規模、事業費などを明らかにいたします。

このように、順次、区役所、分庁舎を整備していきますが、単に建物を新しくするだけでは十分ではありません。
社会保障・税番号を有効に活用して、情報を関係部局で共有し、ネット上でサービスを完結できるようにしたり、コンビニなどで住民票などを交付できるようにしていきます。
また、区役所などに来ていただく際にも、出来る限り、複数の窓口を回らなくてすむよう、窓口サービスの改革にも取り組んでいきたいと思います。

 


2014年2月28日
から 久元喜造

本当の作曲者の立場~佐村河内守問題③~

ニセ作曲家、佐村河内守氏のゴーストライターは、桐朋学園大学非常勤講師の新垣隆氏でした。
自分の作品が、佐村河内守氏の作品と偽って公表されることを承知で、作品を供給し続けていたのでした。
ニセ作曲家が華々しいスポットライトを浴びる一方で、本当の作曲者は長年知られることはなく、受けた利益は、わずかなものでした。

新垣隆氏がどんな気持ちでこのような行為を長年続けてこられたのかは、本人にお尋ねするしかありませんが、おそらくは、複雑な思いであったことでしょう。
あえて想像を巡らせれば、曲をつくる人間が沢山いる中で、自作が公演されることはたいへんむずかしく、マスメディアが喜びそうなストーリーに乗れば、自分の作品が日の目を見るかも知れない ― その有力な方法が、佐村河内守氏の作品として、自作を世に出すことだとお考えになったのかも知れません。
歪んだ楽壇やメディアの姿が厳然としてある以上、その現実を受け入れた上で、自作をたくさんの人々に聞いてもらうために、合理的な方法を選択されたのかも知れません。

そうであれば、新垣隆氏の選択は、形式的には咎められる要因があったにせよ、徹底的に糾弾されるべきことがらではないように思えます。
新垣隆氏の行為に対して、雇い主である桐朋学園大学は「厳正に対処」する方針を打ち出しましたが、学生からは反対の署名運動が起こり、2万人近い署名が寄せられたと言います。
周囲から尊敬される人物だったのでしょう。

もう、第二の新垣隆氏が出現してほしくありません。
音楽作品が、人為的なストーリーに振り回されるのではなく、ありのままの音楽として楽しむことができるような芸術環境を、私たちの社会は獲得したいものです。


2014年2月27日
から 久元喜造

ネット通販の拡大と街の賑わい

報道によれば、インターネットを使って商品やサービスを提供するネット通販の市場規模は、2013年度には、約16兆円に上る見込みだそうです。
この市場規模は、同じ年度の全国スーパー売上高の約12兆7千億円、全国百貨店売上高の約6兆2千億円を大きく上回っています。
ネット通販はたいへん便利で、サービスや使い勝手についても改善が進められてきています。
私も利用者の一人です。

消費市場全体の拡大が見込めない中で、ネット通販の拡大は、デパートやスーパーの売り上げに影響を与えていることは間違いないでしょう。また、街の中の商店は減少が続いていますが、その背景にはネット通販の拡大もあると思われます。
アマゾンによる書籍のネット通販は年々拡大しており、そのあおりを受けて、街の中の本屋さんは、次々に姿を消しています。
神戸でも、元町の老舗書店『海文堂』が昨年閉店し、話題になりました。

消費者がインターネットで商品やサービスを購入するようになれば、人は買い物に出かけることが少なくなる可能性があり、このことは街の賑わいにも影響をもたらす可能性があります。
私たちはネット時代に生きており、ネット通販がさまざまな便益を与えていることは確かです。
同時に、ネット通販が巨大な存在になってきている今日、ネット時代における街の賑わいをどのように考えていくのかは、まちづくりの重要なテーマであると思われます。


2014年2月24日
から 久元喜造

NHK報道の検証が不可欠~佐村河内守問題②~

2月21日のブログ でも触れましたが、佐村河内守問題では、やはり、マスコミ報道のあり方が改めて問われるべきではないでしょうか。
とりわけ、この人物を、昨年3月放送の「NHKスペシャル」で取り上げ、賞賛したNHKは、番組制作の検証を誠実に行うことが求められると思います。

「NHKスペシャル」は、NHKのドキュメンタリーの分野での看板番組です。
これまでも、幅広いテーマを取り上げ、国際社会や地域社会、現代史、科学技術など、知られざる事実を広く紹介し、深層を深く抉り、深刻な矛盾に切り込む番組が制作されてきました。
私も、ずいぶん以前から、「NHKスペシャル」を見てきました。そして、いろいろ考えさせられることが多かったものでした。
しかし近年は、芸能人、スポーツ選手、芸術家を持ち上げるような番組も増え、Nスペがどこか変わってきているような気がして、見ることは少なくなっていました。
そういえば、NHKの番組全体を見ても、じっくりと見せるというよりは、その場限りの受けや笑いをとることばかりを狙ったシーンが増えているように思えます。

今回の事件で、看板番組の制作に当たった方々が、ペテン師を見破ることができなかったことは、やはり深刻に受け止めていただきたいと思います。
NHKには友人や知人がいますが、いずれも、有能で良識的なみなさんばかりです。
報道のみならず、映像、音楽、編集などのさまざまな分野でも、一流の人材がひしめいているはずです。
真に才能があり、良識的な人材が組織の中で登用され、重要な役割を果たしていただくようになることが、NHKの信頼回復の鍵を握るのではないでしょうか。
今回の恥ずべき事件を契機として、実効ある改革が進められることを願わずにはおれません。


2014年2月22日
から 久元喜造

妹尾美智子さんのご逝去

神戸市婦人団体協議会専務理事の妹尾美智子さんが、昨日、2月21日に逝去されました。
昨年12月、各区で開催された婦人市政懇談会総括集会では、元気なお姿で司会をしておられ、信じられない思いで、訃報に接しました。
同協議会の専務理事に就任されたのは、1960年のこととお聞きしておりますので、半世紀以上にわたり、神戸の婦人運動を率いて来られたことになります。

私が妹尾さんのお名前を初めて知ったのは、鈴蘭台に住んでいた、1960年代後半だったと思います。
婦人会の会合から帰宅した母が開口一番、「妹尾さんはすごい。切れる!」
と話していたのを記憶しています。

妹尾さんは、積極果敢に婦人運動、消費者活動、婦人の市政への参画などをリードされ、お名前は全国に知られていました。
一昨年、副市長として神戸に戻ってきてからは、直接、仕事などを通じ、妹尾さんのご指導をいただけるようになりました。
婦人市政懇談会などでは、軽妙洒脱な語り口で、和やかに会議を進行されていたお姿を想い起こします。

矢田立郎前市長が神戸新聞に、「数え切れないほどの宝を神戸の街に残していただいたことを決して忘れません」と話されていますように、妹尾さんのご功績は多岐にわたっています。
その中でも、神戸市室内合奏団、神戸市混声合唱団の活動を支援され、市民の間に音楽芸術が根付くのに大きく貢献されたことも忘れられません。

心より、哀悼の意を表したいと思います。


2014年2月21日
から 久元喜造

ニセ作曲は昔から~佐村河内守問題①~

「現代のベートーヴェン」、作曲家・佐村河内守氏をめぐる報道がなお続いています。
他人がつくった曲を、本人がつくったかのように装い、周囲の目を欺いてきたことが問題になっています。
また、交響曲第1番「HIROSHIMA」が、原爆と無関係だったことが明らかになり、広島市が「広島市民賞」を取り消すなど、騒ぎが広がりました。

作品のタイトルを差し替えたり、他人の作品を自分の作品として喧伝することは、一種の詐欺ですが、このような行為は、いつの時代にもあったようです。
あの天才作曲家、モーツァルトも似たようなことをやっていました。
モーツァルトは、雇い主であったザルツブルクの大司教シュラッテンバッハが亡くなり、新しい大司教コロレドが就任したとき、新しい大司教を歓迎する祝典劇として《シピオーネの夢》を献上しています。しかしこの作品は、前のシュラッテンバッハ大司教の僧籍50周年を記念する祝賀行事のための小オペラを、ほとんどそのまま転用したものでした。
前の大司教が亡くなったので、その人のためにつくった作品を、後任者に別の名前をつけて献上したというわけです。
また、モーツァルトは、シンフォニーの注文を受けて作曲が間に合わなかったとき、ヨーゼフ・ハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンの作品を、自分の新作として発表、演奏しています。

もちろん、今回の佐村河内守氏の行為は、モーツァルトとは本質的に違っています。
佐村河内守氏は、曲をつくることすらできない人物で、存在そのものが虚構だったようです。
障害者であったことにも、深刻な疑念が差し挟まれています。

とんでもないペテン師、いかさま師だったようですが、このような人物は、いつの時代にも存在するのであり、問題は、そのような人物を、天才としてもてはやしてきた側の見識のなさです。
とくに、マスメディアの報道のあり方については、十分な検証が求められます。


2014年2月15日
から 久元喜造

市役所ロビー~花物語~

神戸市役所の1号館ロビーに、素敵な「ガーデン」がつくられています。
~花物語 Flowers’ Story 市役所ロビーガーデン~
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ロビーガーデンを飾る花々は、神戸市内の北区と西区で栽培されています。
北区淡河町では、色とりどりのチューリップが咲き誇っています。
また、西区伊川谷町では、いい香りのするストックや、春の花壇を彩ってくれる鉢花の数々が、可愛い顔を見せてくれています。
この『市役所ロビーガーデン』は、3月2日(日)まで設置しますので、市役所のロビーで、春を感じていただければと思います。

淡河町では、チューリップのほかに、ユリとグラジオラスが栽培されています。
淡河のユリは、昨年『神戸リリィ』という愛称がつけられました。
とても気品のあるユリです。
また、伊川谷では、花壇苗の生産が盛んです。

もうすぐ、『神戸花物語2014春』が開催されます。
神戸で栽培されているさまざまな花々を観ることが出来ますし、販売も行われる予定です。
《開催期間》
2月28日(金) 13時半~18時
3月2日(土)・2日(日) 10時~17時
《開催場所》 神戸ハーバーランド地下「デュオドーム」(JR神戸駅前地下街)

是非、足を運んでみてください。


2014年2月9日
から 久元喜造

吉野弘さんの逝去

詩人の吉野弘さんが、1月15日に逝去されました。
いくつかの新聞が、吉野弘さんの追悼記事を掲載していました。

私が始めて吉野弘さんの詩に接したのは、山田中学校3年生のときに受けた国語の授業でした。国語の教科書に取り上げられていたのは、『奈々子に』という詩だったと記憶しています。

国語の担任の先生は、この詩が、作者自身の人生経験に根ざしたものであることを強調していました。きっと、吉野弘さんの生き方に思い入れがあったのでしょう。
「赤い林檎の頬をして 眠っている奈々子」という初めの部分は、その後も、しばらく記憶していました。
そして、長く、この詩のことは忘れていましたが、吉野弘さんの訃報に接し、改めて、本当に久しぶりに、『吉野弘詩集』を紐解きました。1968年(昭和43年)の発行です。

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(中略)

唐突だが 奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが ほかからの期待に応えようとして
どんなに 自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり 知ってしまったから。

お父さんが お前にあげたいものは
健康と 自分を愛する心だ。

ひとが ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは 他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。

自分があるとき 他人があり 世界がある

そして「お父さんにも お母さんにも 酸っぱい苦労がふえた」と告白した上で、「苦労は 今は お前にあげられない」とし、

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。

と、結ばれます。

中学生の私は、おそらく、教科書に載っていた彼の詩に心動かされるものがあり、海文堂かどこかの書店で、『吉野弘詩集』を購入したものと思われます。