久元 喜造ブログ

NHK報道の検証が不可欠~佐村河内守問題②~

2月21日のブログ でも触れましたが、佐村河内守問題では、やはり、マスコミ報道のあり方が改めて問われるべきではないでしょうか。
とりわけ、この人物を、昨年3月放送の「NHKスペシャル」で取り上げ、賞賛したNHKは、番組制作の検証を誠実に行うことが求められると思います。

「NHKスペシャル」は、NHKのドキュメンタリーの分野での看板番組です。
これまでも、幅広いテーマを取り上げ、国際社会や地域社会、現代史、科学技術など、知られざる事実を広く紹介し、深層を深く抉り、深刻な矛盾に切り込む番組が制作されてきました。
私も、ずいぶん以前から、「NHKスペシャル」を見てきました。そして、いろいろ考えさせられることが多かったものでした。
しかし近年は、芸能人、スポーツ選手、芸術家を持ち上げるような番組も増え、Nスペがどこか変わってきているような気がして、見ることは少なくなっていました。
そういえば、NHKの番組全体を見ても、じっくりと見せるというよりは、その場限りの受けや笑いをとることばかりを狙ったシーンが増えているように思えます。

今回の事件で、看板番組の制作に当たった方々が、ペテン師を見破ることができなかったことは、やはり深刻に受け止めていただきたいと思います。
NHKには友人や知人がいますが、いずれも、有能で良識的なみなさんばかりです。
報道のみならず、映像、音楽、編集などのさまざまな分野でも、一流の人材がひしめいているはずです。
真に才能があり、良識的な人材が組織の中で登用され、重要な役割を果たしていただくようになることが、NHKの信頼回復の鍵を握るのではないでしょうか。
今回の恥ずべき事件を契機として、実効ある改革が進められることを願わずにはおれません。