久元 喜造ブログ

2018年8月6日
から 久元喜造

道路の通行止め箇所の解除


先月の豪雨により、神戸市内でも各地で土砂災害、崩落などがあり、土砂が崩落して道路を塞いでいる箇所については、区間を指定して通行止めを行ってきました。
発災以来、建設局を中心に全力で復旧作業に当たってきた結果、以下のとおり開通の見通しが立ちましたので、きょう発表することにしました。

夢野白川線」(上の写真)については、 ひよどりIC~鵯越交差点(約3.6km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午前 6 時をもって通行止めを解除します。

神戸六甲線(表六甲ドライブウェイ) 」については、 新六甲大橋下交差点~丁字ヶ辻交差点(約4.8km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午前 10 時をもって通行止めを解除します。
一部の区間については、片側交互通行となります。
新六甲大橋下交差点~旧料金所前までの旧道については、工事中のため引き続き通行止めとなり、鉢巻展望台については当面の間、立ち入ることはできません。

明石神戸宝塚線」については、 森林植物園前~六甲山牧場前(約6.0km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午後5時をもって通行止めを解除します。

神戸は山間部が多く、急峻な地形に道路が整備されてきたため、豪雨により崩落が発生し、今回のようにしばしば通行止めが余儀なくされてきました。
引き続き、法面の補強、崩落防止工事の実施など道路の防災事業を進めていきますので、市民のみなさんのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


2018年8月4日
から 久元喜造

真山仁『オペレーションZ』


1000兆円にも積みあがった国の借金を前に、財政再建のために立ち上がった政治家、官僚たちのたたかいを描いたフィクションです。
前総理の辞任に伴い就任した江島隆盛総理は、国家予算の歳出半減を宣言します。
総理官邸に集められたのは、財務省の若手官僚たちでした。
題して「オペレーションZ」。
彼らは、財務省の事務次官、官房長などの幹部と微妙な間合いを取りながら、使命感に燃えてオペレーションを進めていきます。
チームの中心的役割を担う周防篤志は、母子家庭に育ち、苦労して大学を出て、財務省に入ったという経歴の持ち主。
そして、総理を内心見下している盛田正義大臣官房参事官の小心で傲慢不遜な態度と行動が、ロシアの動きとも絡んで異彩を放ちます。

歳出100兆円を半減するということは、24兆円の国債費は削れないので、残りの75兆円を25兆円にすることを意味します。
チームは厚生労働省に対し、年金、医療、介護保険給付費をゼロに、総務省に対しては、地方交付税交付金をゼロにすることを提案します。
周防は、気鋭の若手准教授宮城慧とともに、財政再建団体晴野市などを回ります。
「 潰せる市町村は潰して都道府県の統治下に」
「地方自治体に独自に税の徴収を奨励」
「カネではなく労力を対価にした地域コミュニティ創生」・・・
宮城は視察から得た考察をもとに、大胆な提案を連発していきました。

江島総理の歳出半減プランは与党からも反発が出て、閣僚からも辞任が続出します。
江島総理は衆議院を解散しますが、敗北。
政権は野党の民政党に移ります。
周防はナイジェリアに赴任し、財務省に残ったチームのメンバーには左遷人事が待っていました。


2018年7月31日
から 久元喜造

7月5日23時45分梅田発阪急電車


7月5日(木)、私は東京出張中でしたが、豪雨が予想されたことから、翌日の用務を欠席することとし、夜の新幹線で急遽帰神することにしました。
新幹線は新大阪で運転を取り止め、在来線の神戸線も運転中止になりました。
運転再開を待っても展望がないので、地下鉄御堂筋線で梅田に出て、阪急電車 のホームに駆け上がり、23時45分発の急行電車に滑り込みました。

車内は超満員でした。
私は終点の三宮に何とか到着してほしいと願いながら、予想される事態や対応について考えていました。
電車が駅に止まるたびに車内アナウンスが流れました。
停車時間は十分にとっています。前の方を押すことなく、ゆっくりとお降りください。停車時間は十分にとっています
乗客は、アナウンスに従い、互いにぶつかり合うことなく、整然と電車を降りていきました。

また、車内アナウンスが流れます。
「現在、JR神戸線、阪神電車は、大雨により、運転が中止になっております。このため車内は大変混雑しております。しばらくの間、ご辛抱いただきますようお願いいたします」

電車は無事、神戸三宮駅に到着しました。
「現在大雨のため、神戸には警報が出されております。どうぞ気を付けてお帰り下さい」

車掌さんの判断なのか、決められたマニュアルに従ってのことなのかわかりませんが、的確で落ち着いた語り口の車内アナウンスは、不安な心理状態の乗客に安心感を与えました。
厳しい状況の中での対応に、敬意を表したいと思います。

三宮に到着した私は、土砂降りの雨の中を徒歩で市役所に向かいました。

災害対策本部、続いて消防局で状況説明を受け、役所に泊まり込みました。


2018年7月28日
から 久元喜造

水の恵みをどう受け取るのか。


台風12号が日本列島に接近しています。
明朝、近畿地方に最も接近すると見込まれています。
今月初めの豪雨で被害が出た地域を含め、気象情報に注意し、いざというときは、避難指示などに従い、迅速な行動をとっていただくようお願いします。

豪雨の後、雨が降らない炎暑の日が続き、そしていま台風の襲来を前にして、改めて「水」とどう向き合うかが問われているように感じます。
水はときとして猛威を振るい、私たちに大きな被害をもたらす一方、私たちは水なしに生きていくことはできず、水の恵みをどう受け取るかという古くからの課題に向き合っていかなければなりません。

初期の神戸市政の課題は、当時禿山だった六甲山系を植林し、水害を防ぐとともに、水源を涵養し、水道を敷設することでした。
その後、神戸市は阪神水道企業団から水の供給を受けるようになり、神戸市水道は十分な供給能力を保持しています。
水は大切に使わなければなりませんが、余力のある水道水を活用し、熱した街を冷やしていくことは可能です。
「打ち水」(7月26日のブログ)は、古くからの知恵ですが、水を活用して炎暑に立ち向かう方策はほかにも必ずあるはずです。
衆知を結集し、具体的な方策を見出していきたいと思います。

水は、ひとところに滞留すれば、澱み、水質が悪化します。
きれいな水が絶えず流れ、うるおいと安らぎを与えてくれるような街を目指したいものです。
幸い、神戸には、山から流れ出るたくさんの中小河川があり、美しい渓流にも恵まれています。
中小水力発電の展開も含め、自然の営みに対する敬意を忘れず、水の活用方法を広げていきたいと考えています。


2018年7月26日
から 久元喜造

市民のみなさん、打ち水をしましょう。


昨日の定例記者会見で、異常高温対策について説明しました。
神戸は、京都や大阪に比べて少し最高気温は低いのですが、それでも異常な高温が続いています。
猛暑の原因としては、地球の温暖化が指摘されており、国際的な枠組みの下で対応していくことが求められます。
神戸市では、すでに小中学校の空調設備の整備は完了していますが、自治体、また地域として、このほかにできることはすぐに行動に移していく必要があります。

その一つが、打ち水です。
打ち水は、古くからの風習で、私が子供の頃の新開地周辺では、路地裏などでよく打ち水が行われていました。
打ち水された玄関先や道路ではひんやりとした雰囲気が漂いますが、実際に周囲の気温を下げる効果もあります。
昨年行った「こうべ打ち水大作戦」 では、2℃から3℃の冷却効果が確認 できました。
今年は、きょう7月26日(木)午後3時から、JR三ノ宮駅南広場で実施します。

ひんやりとした空気を感じいただくため、ミストも普及させていきたいと考えています。
ミストは、水道水を気化させて霧状にし、散布する装置です。
市立学校園全298校、メリケンパークなど市内の大きな公園、市営地下鉄の駅前広場などに設置します。
私立の幼稚園や保育所、認定こども園など約500カ所についても、それぞれの施設の判断で設置していただき、1万円を上限に全額を神戸市が補助します。
ミストは気温を下げる効果はありませんが、少しでも冷気を感じていただき、元気を回復させていただきたいと願っています。

また、猛暑で体調の異変を感じ、とくに、熱中症が疑われる場合は、救急相談ダイヤル(#7119)に気軽に電話してください。


2018年7月21日
から 久元喜造

鵯越墓園に合葬墓が完成


神戸市で初めての合葬墓が 鵯越墓園 に完成し、7月18日に開所式が行われました。
「合葬墓」とは、ご遺骨を一緒に埋葬するお墓です。
合葬墓にご遺骨が埋葬されると、ずっと安置されることになります。
お墓の維持管理や承継者の心配がなくなり、経済的負担も少なくなります。
生前申し込みも可能ですし、これまでのお墓を閉じ、ご遺骨を合葬墓に改葬することもできます。
また、市外の在住者の方で、神戸市に在住をしたことがある方の焼骨をお持ちの方もご利用できます。

合葬墓とは別に、個別安置施設も用意しました。(上の写真)
合葬墓にほかの方のご遺骨と一緒に埋葬されるのではなく、10年間、骨壺に安置し、その後で合葬墓に埋葬されます。

今回合葬墓を開設した背景は、お墓に対する意識の変化です。
現在のお墓は、先祖代々のお墓を子々孫々まで引き継いでいく区画式の墓地が大部分です。
その一方で、ふるさとを離れ、墓じまいをされる方、子や孫にお墓の負担させたくないと感じておられる方も増えてきました。
従来型のお墓のほか、納骨堂や合葬式の墓地に対するニーズが高まってきています。
開所式典と内覧会には、予想を上回るみなさんが参加され、合葬墓に対する関心の高さが伺えました。

このようなニーズを背景にオープンした合葬墓のモニュメントは、海、まち、山、そして、ポートタワーがイメージされています。
中心にある球体には、最近、産出が少なく、加工が難しい六甲山の御影石が用いられています。
合葬墓が建立された丘からは、明石海峡大橋、そして神戸の市街地を遠望することができます。


2018年7月18日
から 久元喜造

災害時における水の確保


今回の豪雨で神戸市内でも被害が出ており、土砂の除去、道路の不通個所の解消などに全力で取り組んでいます。
同時に、大きな被害を受けた自治体に対し支援を行うことは、神戸市の大きな使命です。
緊急消防援助隊、保健衛生職員などのほか、給水応援隊など水道職員の派遣を行い、職員はこれまでの経験を活かし、頑張ってくれています。

神戸市では、23年前の阪神・淡路大震災で市内のほとんどが断水し、避難所でも悲惨な状況に陥りました。
この経験と反省の上に立ち、震災の翌年の1996年から大容量送水管の整備を開始し、20年の歳月をかけ、2016年3月に完成しました。
大容量送水管は、芦屋市との境界から神戸市内の市街地の地下を通り、兵庫区の奥平野浄水場までの延長約 12.8kmです。

水道水は、送水トンネルによって水道管に送られますが、送水トンネルが地震などによりが被災した場合には、大容量送水管が代替送水ルートとなり、バックアップ機能を果たします。
送水が停止した場合でも、管内に貯留された飲料水を応急給水に利用することができます。
市街地に立坑を利用した8か所の給水拠点から、約12日間分の飲料水を供給することができます。

このほか、市内には、半径2km毎に災害時給水拠点、54か所が整備されています。
配水池への緊急遮断弁の設置、配水管に大口径の管路を組み込んだ大容量貯水槽により、貯留された水を応急給水に活用し、約14日間分の水量を確保します。

このようにして、現在、神戸市では、全市民に対し、約26日分に相当する飲料水が確保できるようになっています。
引き続き、災害時における水の確保に万全を期していきます。


2018年7月12日
から 久元喜造

豪雨災害における消防団の活動


今回の豪雨により、各地で大きな被害が出ています。
神戸市内では、80年前の阪神大水害を超える雨量を観測しました。
阪神大水害では、当時の神戸市区域で616名の命が失われましたが、 今回の豪雨による人的被害は、現時点で軽傷1名にとどまっています。
この背景としては、長い間、六甲山系を中心に、砂防ダムなどの整備、植林など山林の整備、急傾斜地崩壊防止対策などの対応が進み、山腹崩壊、土石流の発生が抑止されたことが挙げられます。

もう一つは、高い災害対応力です。
今回の豪雨でも数多くの救急要請が寄せられ、神戸市消防は全力で被災者の救出に当たりましたが、同時に、消防団も災害応急対策を迅速に実行するうえで大きな役割を果たしました。
7月5日から8日までの4日間に、延べ2065名の消防団員が消防団詰所などに待機し、実際の活動回数は、延べ382回、活動人員は延べ1186名に上りました。
灘区篠原台の土石流発生現場では、30名の消防団員が避難誘導や土のうの作成に当たりました。
また、被災者に女性や子どもがいたことから、3名の女性消防団員も現場での活動に従事しました。
消防団のみなさんの日頃の精進と、今回の災害現場での活躍に感謝申し上げたいと思います。

消防団の存在は、高い災害対応力を維持していくうえで大きな意義があります。
神戸市としては、引き続き消防団装備の充実を図るとともに、消防団員のみなさんが活動しやすい環境を整え、消防団がその社会的使命を全うしていくことができるよう、全力で取り組んでいきます。


2018年7月8日
から 久元喜造

今回の豪雨災害への対応について


今回の豪雨により、西日本各地で甚大な被害が出ており、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
神戸市内では降り続いていた雨も小康状態になり、今日の日曜日は、晴れ間も広がっています。
避難指示・勧告は順次解除しており、防災指令も午後5時に灘区を除き解除しましたが、天候が激変し、局地的な豪雨に見舞われる可能性もあります。
引き続き、気象情報に注意していただくとともに、新たな避難情報が出された場合には、速やかに避難するなど自ら身を守る行動をとっていただきますようお願いいたします。

今年は、1938年の阪神大水害から80年に当たり、私は今年に入ってから、折に触れ、当時の被害に言及してきました。
このときは、7月3日から5日までの3日間に、市街地で461.8㎜の雨量を観測し、当時の神戸市内で、616名の死者・行方不明者がありました。
今回の豪雨では、7月5日から7月7日深夜までに、当時を上回る466.0㎜(中央区三宮)を記録しましたが、人的被害は、現時点では、軽傷1名となっています。
長い間、国、兵庫県、神戸市が密接な連携の下に、砂防ダムの整備、急傾斜地崩壊対策など災害予防の取組みが営々と続けられてきた成果が現れているのではないかとも考えられます。
また、救助要請も多数寄せられましたが、懸命に救助活動に当たり、また協力していただきましたみなさまに感謝申し上げたいと思います。

人的被害は軽微であったものの、市内では多数の土砂崩れが発生し、灘区篠原台をはじめ大きな被害が出ている地域があります。
引き続き、災害復旧と被災者支援に全力で取り組みます。


2018年7月3日
から 久元喜造

市長公印に関する事務改善


市役所前で献血キャンペーンがあり、献血車の待合椅子で、20代と思しき若い職員と隣り合わせになったことがありました。(2018年5月10日のブログ
彼は出先機関の職員で、大きな布袋にたくさんの書類を入れ、片道約1時間かけて市役所に来ていました。
決裁済みの書類に市長印を押すためでした。

こんな仕事の仕方は改めたいと問題提起をしたところ、行財政局がさっそく改善案を考えてくれました。
これまでは、この職員のように、市長公印を押す必要があるときは、決裁文書を公印窓口(行財政局総務課)へ持参し、一枚ずつ文書に押印しなければなりませんでした。
大量の定型文書については、印影が印刷された文書を作成しますが、多くの場合、出先機関の職員は、決裁文書を抱え、市役所に出向く必要がありました。

行財政局の改革案は、これを改め、庁内メールで公印申請をできるようにするものです。
文書管理・電子決裁システムを使用し、市長の押印が必要な文書を添付してメールで申請すると、決裁どおりの文書であることを確認の上、市長公印が押された文書が返送されます。
すでに、6月11日(月)から実施しています。

今回は、たまたま献血車で職員から話を聞き、改善につながりましたが、事務改善は、職員のみなさん自身の自発的な発想や提案により進めてほしいと思います。
たとえば、市長の権限を出先機関の長への事務委任することなどが考えられます。
私が事細かな指示を出すと、うんざり感が広がるでしょう。
しかし、何も言わなければ改革が進まないのも困ります。
職員のみなさんからの積極的な提案と実行が必要です。