久元 喜造ブログ

2020年4月14日
から 久元喜造

データが示す外出抑制の効果


いま、緊急事態宣言を受け、外出抑制が呼びかけられています。
感染者への治療などに当たっておられる医療従事者のみなさんの負担を少しでも減らすためにも、さらなる外出自粛について、昨日も、臨時記者会見(4月13日) でお願いしました。

神戸市は、ただ外出抑制を呼び掛けるだけではなく、市民や神戸に来られる方々の行動がどのように変わっているのかを、データとしてお示しすべきではないかと考えました。
そこで、「新型コロナウイルス感染症対策 最優先宣言」の中で、「データ解析チーム」を設置し、データの収集・解析・提供を行うこととしました。
9名の「データ解析チーム」は、直ちに作業を開始し、わずか1日で、とりあえずのデータを収集してくれました。
そして、その状況は、「新型コロナ対策データ解析サイト」でご覧いただけるようにしました。
地下鉄の駅の乗降客数、山麓バイパスの通行車両数、赤外線センサーによる人の流れがわかりやすく示されています。

これを見ると、地下鉄の乗降客数は、土日、祝日は、とくに緊急事態宣言の後、大幅に減っていますが、平日の減少は緩やかなものにとどまっています。
金曜日の繁華街の人出は、かなり減っています。
このデータも参考にしていただき、土日の繁華街などへの外出抑制を継続するとともに、通勤のさらなる減少をお願いしたいと思います。

「データ解析チーム」は、新しい種類のデータの収集や充実に取り組んでいきます。
市民や来街者が自らの行動変容につなげていただきたいと思います。
市内の大学からも、データ解析への協力の申し出もいただいています。
学界からも助言をいただきながら、データ活用の取り組みを進めていきます。


2020年4月9日
から 久元喜造

市役所組織を挙げてコロナ対策に。


きょうの各紙朝刊にも掲載されていますが、昨日「新型コロナウィルス感染症対策・最優先宣言」を発しました。
いま私たちは、新型コロナウィルス感染症という見えない敵と闘っています。
神戸が震災以来迎える最大の危機です。
市役所が持っている人的資源を、感染症対策に集中させる一方、緊急性の低い業務は当面実施を見合わせます。

感染症対策の中心を担っているのが、保健所長以下保健所の職員です。
ウィルスとの闘いもかなり長期間となり、今後の収束も見通すことができない今、保健所への応援体制を強化する必要があります。
専門的な仕事は、医師、保健師、看護師のみなさんに担ってもらう必要がありますが、電話対応、各方面との連絡・調整、情報の収集、整理、資料の作成、広報などについては行政職の職員でも対応することが可能です。
このため、本日付で「保健所支援班」(120名)を設置し、各区の保健センターを含め態勢を大幅に強化することにしました。
このほか、迅速で分かりやすい情報発信・広報の体制を強化するため「広報支援班」(9名)を設置するとともに、市民のみなさんの行動変容につなげていただくうえで必要なデータの収集・解析・提供にあたる「データ解析班」(9名)も設置しました。
必要な兼務発令も今日付で行いました。

職員は、新型コロナウィルス感染症に関連しない対外的な会議、会合を開催したり、出席したりしないようにします。
市役所、区役所などへの営業、挨拶などを目的とした来庁はお断りします。
市役所のロビーの椅子も大幅に削減するとともに、24階の展望ロビーも閉鎖し、直行エレベーターも休止しました。
神戸市役所は、緊急事態対応の態勢に移行します。


2020年4月1日
から 久元喜造

新型コロナ最優先で新年度がスタート


きょう4月1日から、令和2年度がスタートしました。
神戸市も定例の人事異動を行いましたが、新型コロナウィルス感染症への対応を最優先にしたシフトを敷くことにしました。

まず、庁内全体のマネジメントを担当する行財政局長、医師の資格を持って感染拡大防止に全力で取り組んでいる保健所長(保健福祉局担当局長)は、定年退職の予定でしたが、それぞれ本人の同意を得て、地方公務員法に基づく勤務延長の措置を執り、引き続き現在の職務に当たってもらいます。
保健福祉局は事務が大幅に増えてきたたため、4月から福祉局と健康局に再編成することにしましたが、新型コロナウィルス感染症への対応に最も深く関わる健康局長には、これまで感染拡大防止の陣頭指揮をとってきた保健福祉局長が就任します。
さらに、健康局には担当局長を配置し、体制の強化を図ります。

例年、人事異動の時期には、庁内外での挨拶回りが行われてきましたが、感染リスクを少しでも減らすとともに、事務の停滞を来すことがないよう、職員の挨拶回りは行わないこととしました。
各方面のご理解をお願いいたします。

今年度は、神戸市職員として289人のみなさんを迎えます。
心から歓迎申し上げるとともに、フレッシュな感覚を私たちの組織に注ぎ込んでほしいと期待しています。
例年行っている入庁式については、感染防止を図るために野外で十分な距離をとって行うことを予定していましたが、残念ながら雨天のため中止することにしました。

神戸市は、きょうから新しい仲間を迎え、改めて職員が一丸となって新型コロナウィルス感染症と闘うとともに、神戸を見違えるような街にすることができるよう、全力で取り組みます。


2020年3月20日
から 久元喜造

就職内定取り消しへの対応


昨日の 定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症への第2弾の対策を発表しました。
その中の一つが、就職内定の取り消しへの対応です。

これまでは空前の人手不足で、就職戦線も売り手市場でしたが、感染拡大の影響で風向きが変わってきているようです。
多くの企業は従業員の雇用を守る努力をされていますが、中には解雇や雇い止めなどが起きているようです。
そして、就職の内定を取り消す動きも出ていると言います。
厚生労働省の調査ではごくわずかにとどまっていますが、実態がどのようになっているかは見えにくい面もあると思われます。
社会人になることを心待ちにし、期待に胸を膨らませていた学生にとって、入社目前で内定取り消しに遭うようなことがあれば、とても大きなショックだろうと思います。
目の前の生活をどうするのか、途方に暮れる方もおられることでしょう。
神戸は、大学などの高等教育機関が集中しており、そのような実態があるとすれば、影響は相対的に大きいのではないかと推察されます。

そこで、緊急の対策として、4月に入社予定だった企業などから内定を取り消された学生の方々を、原則1年間の任期付きで市職員として採用することにしました。
対象者は、神戸市在住で大学、短大、高専、専門学校を卒業予定の方、そして市外在住で市内の大学などを卒業する方です。
募集人員は、100人程度。
会計年度職員として採用し、年収はおおむね300万円程度を考えています。
詳細は、来週に発表しますが、今月下旬にも募集を始め、4月から順次面接して採用します。
当面の生活費を得ながら、新たな就職先を探していただき、これからの人生設計を描いていただきたいと考えています。


2020年3月17日
から 久元喜造

日常との折り合いをどうつけるのか。


神戸市内では、今日現在21例の感染症患者が報告されています。
病院で、PCR検査、救急、学童保育の現場で、福祉施設などあらゆる場所で、多くのみなさんが感染拡大防止のために懸命の努力を続けてくださっています。
市民のみなさんも、学校の休校などの対応に理解を示してくださり、この危機を乗り越えるために行動していただいています。
そのおかげで、何とか感染の拡大を防ぐことができています。

市内では小規模なクラスターが発生しており、クラスターが次のクラスターを生みださないようにすることが不可欠です。
神戸には、感染症指定病院である中央市民病院をはじめ、多くの病院・医療機関があり、今回の肺炎治療に対しても高水準の医療サービスを提供することができています。
重症化した患者に対し、適切な医療を提供することが求められます。
神戸の医療の力を結集し、最善の医療提供体制を確保します。

私たちは、いま見えない敵と闘っています。
これからどうなるのか、正確に先を見通すことができる人はいないと思います。
闘いは短期間では終息しないかもしれません。
このような状況の中で、多くの人々が過度に行動を委縮させることは、私たちの平穏な日常を損ない、経済活動を長期にわたって停滞させるおそれがあります。
そうならないようにするために、感染拡大防止を最優先にしながら対応することが必要です。
今日からは、図書館、博物館・美術館を、制約はありますが、開館することにしました。
子どもたちの居場所づくりへの支援も広がっています。
感染の拡大防止と日常の暮らしとの間でどう折り合いをつけるのか、感染のフェーズに応じた賢明な判断と行動が求められています。


2020年3月15日
から 久元喜造

大木毅『独ソ戦』(岩波新書)


著者は、本書の冒頭で独ソ戦の性格をこう断定します。
ヒトラー以下のドイツ側指導部にとって、対ソ戦は「世界観戦争」であり、「みな殺しの闘争」、「すなわち絶滅戦争にほかならなかった」と。
これに対し、スターリン以下のソ連指導部たちは「コミュニズムとナショナリズムを融合させ」、ロシアを守るための「大祖国戦争」と規定したのだと。
ソ連側では、対独戦は通常の戦争ではなく、イデオロギーに規定された、交渉による妥協など考えられないものになっていきます。
このような性格を帯びた戦争は、もはや戦時の国際法規が適用されるわけでもなく、帯にあるように「戦場ではない 地獄だ」としか言いようのない様相を呈していったのでした。

ヒトラー、そしてスターリンの思考や行動についても詳しく記されており、興味深いものです。
開戦当時、ソ連軍は著しく弱体化していました。
スターリンの大粛清の矛先が軍にも向けられ、何と軍の最高幹部101名中91名が逮捕され、80名が銃殺されていたという戦慄すべき事情があったからです。
ドイツ側においては、ハルダー陸軍参謀総長をはじめとした中枢部の楽観的で杜撰な作戦計画も明らかにされます。

独ソ戦の転機となったスターリングラードの攻防は、地図を交え、詳しく語られます。
当然のことながら、市民を巻き込んだ市街戦は壮絶なものでした。
もちろんレニングラードの攻防も凄まじいものでした。
敗戦が確実になってもなお、ヒトラーが交渉で戦争終結に向かうことはありませんでした。
「世界観戦争」を妥協なく貫徹するというその企図はまったく動揺していなかったという著者の指摘は、地獄を現出させた根源を言い当てているように感じました。


2020年3月3日
から 久元喜造

神戸市内で初めて感染者が発生。


神戸市では、きょう3月3日から、市内の小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校を、15日まで臨時休業としました。
この特別の対応を始めたきょうの昼前、神戸市内で初めて新型コロナウィルス感染症の感染者が確認されました。
直ちに記者会見を行い、感染の事実を公表するとともに、昼過ぎから、第1回新型コロナウィルス感染症対策本部員会議を開催し、今後の方針を確認しました。
この感染者の方の行動歴や接触歴を調査するとともに、国・兵庫県と連携しながら、感染拡大防止に向けた万全の措置を講じていきます。

残念ながら、ネット上ではデマや不確かな情報が飛び交っています。
正しい情報にもとづき、こまめな手洗いなど地道な対応をきちんととっていただくことが、ご自身の感染防止と地域社会における感染拡大防止につながります。
疑問点は、神戸市の24時間相談窓口にお問い合わせください。
078-322-6250

また、きょう 神戸市ホームページ をトップページから更新し、神戸市がとっている措置の内容をより分かりやすくご覧いただけるようにしました。
内容は日々更新していきます。

神戸市内のインフルエンザ発生件数は、去年に比べて激減し、また救急出場件数も前年同期比で約8%減少しています。
市民のみなさんの予防のための行動が、このような結果に結びついているとも考えられます。
私たち一人ひとりの行動が、新型コロナウィルス感染症の拡大防止につながります。

夜には、2件目の感染者が確認されました。
この方についても、1件目と同様の対応をとります。
神戸市としては、今後のあらゆる可能性を想定し、緊張感を持って万全の態勢で臨んでいきます。


2020年2月28日
から 久元喜造

神戸市立小・中・高は、3月3日から休校。


国の方針を受け、神戸市の対応方針 を決定し、きょう午前中に記者会見を開き発表しました。
何よりも子供たちの健康・安全を第一に考える見地から、神戸市立の小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校を、3月3日(火)から15日(日)まで臨時休業とします。

共働き家庭などの子供たちの居場所を確保するため、春休みなど通常の長期休暇と同じように、3月3日(火)から午前中からの学童保育を実施します。
学童保育中の感染リスクを減らすためには、子供の空間密度を少しでも下げることが求められます。
そこで、この措置による学童保育は、小学校3年生以下の子供を対象とします。
小学校4年生以上で家庭で対応できない子供については、それぞれの学校で預かるようにします。
これら学童保育にあたる職員を確保するため、職員の人件費については、市単独で特例加算を行うとともに、民間学童保育施設に対する特別補助を実施します。

このように子供の居場所を確保するための措置は講じますが、子供の感染防止のためには、できるだけ家庭で過ごしてもらうようにすることが求められます。
企業などにおかれては、子供を養育する従業員などの休暇の取得、在宅勤務などが可能となるよう、緊急の対応をとっていただくようお願いします。

市立図書館、博物館・美術館、地域体育館、区民センター、勤労市民センター、水族園、こべっこランドなどの施設については、3月3日(火)から15日(日)まで閉鎖します。

今がまさに感染の流行を早期に収束させるための極めて重要な時期です。
市民、企業のみなさんには、ご不便をおかけしますが、ぜひご理解の上ご協力、ご支援をお願いします。


2020年2月22日
から 久元喜造

教員間いじめの根絶を。


昨年秋に発覚した市内小学校の教員間いじめ事件に関する神戸市教育委員会の調査委員会の報告書がとりまとめられ、昨日公表されました。
これまで報じられてきた教員間のいじめの実態やその背景がかなり明らかになりました。
衝撃を受けるのは、加害教員たちが行った行為の数々です。
125項目ものおぞましい行為が列記されており、それらの異常さ、陰湿さ、残忍さに言葉を失います。
前々校長、前校長の行動も健全な社会常識からかけ離れています。

今後どうすればよいのか。
理解できないのは、朝日新聞などに登場する学者の見解です。
「学校を責めるだけでは解決しない。社会全体で再発防止を考えるべきだ」と。
問題の所在や責任をあいまいにすることは許されません。
今回の事件が起きたのは社会のせいだとでも仰るのでしょうか。

いま、誰が何をすべきなのか。
まず教育委員会には、このようなおぞましい行為に及んだ加害教員に対して厳正な処分を行うことを求めます。
また前々校長などの責任も問われるべきです。
この事件の後に教員のみなさんに対して行ったアンケートでは、約1600人もの教員がハラスメントを受けたことがあると答えています。
これらの実態も調べ、明らかにするとともに、万全の再発防止策を講じるべきです。
子どもたちのために苦労している教員のみなさんが、こんなつらい目に遭うことがないようにしなければなりません。
教育委員会、学校現場におけるマネジメントのあり方については、事件の後、公開で総合教育会議を開催し、議論してきました。
教委による処分が行われた後、しかるべき時期に同会議を開催し、教育現場の再生に向けた方向性を確認したいと考えています。


2020年2月17日
から 久元喜造

新型コロナウィルス感染症への対応


新型コロナウィルス感染症への対応については、神戸市としては、以下の事項を基本に対応していく方針を確認しています。
今後、状況は刻々と変化していくと考えられ、国の方針を踏まえながら、機敏にかつ冷静に対応していきます。

・神戸市内において新型コロナウィルス感染症が発生することに備え、関係部局及び関係団体等との連絡連携体制を強化する。
・専門的見地から新型コロナウィルス感染症を強く疑われる場合については、医療機関との緊密な連携に基づき、柔軟に検査を実施する。
なお、検査結果については、陽性反応が出た場合に限り、速やかに公表する。
・神戸市における検査体制の強化を進める。
・市民から直接、検査の申し込みは受け付けず、心配な方については、設置済みの相談窓口、あるいは帰国者・接触者相談センターへの相談を行っていただく。
・市民に対しては、市HPなどを通じて、今後とも適時適切に情報提供に努めることとするが、現時点においては、冷静に一人ひとりの咳エチケット、こまめな手洗いなどの励行を呼びかける。

神戸市ホームページ

この問題に対して関係部局が一丸となって対応していきますが、同時に、神戸市の行政活動は通常どおり進めることとし、行事も基本的には予定どおり実施します。
きょうも、「アイカサ」に関する連携協定の締結、世界パラ陸上選手権大会組織委員会第2回総会など予定どおり実施しました。
市民のみなさんの健康を守ることを基本にしながら、経済活動などの諸活動が極力停滞することがないよう、関係機関と連携して対応していきたいと考えています。