久元 喜造ブログ

2016年5月23日
から 久元喜造

あっぱれ、西宮市役所!

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「本命西宮」の文字が見えます。
駅構内に何枚も貼られたポスター、西宮市の職員募集案内です。
ちなみにここは、西宮ではありません。
阪神電車・神戸三宮駅の構内です。

阪神三宮駅に西宮のポスターがたくさん貼られているという話を聞いたので、土曜日に行事の合間を縫い、見に行ってきました。
入場券を買ってホームに降りると、確かにこのポスター、目立ちます。
迫力満点。
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上り、下り、両方のホームにずらりと貼られています。
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ポスターには、「「西宮」が第一志望の方、お待ちしております」の文字が。
神戸に乗り込んできて、西宮市に就職したいと本気で思っている人材をゲットしようというのでしょう。
あっぱれ、西宮市役所!
別に神戸市がまねをする必要もありませんが、外に打って出ようという西宮市の心意気は大いに見習うべきです。

神戸市でも、人事委員会は、局長を先頭に首都圏でセミナーを開くなど意欲的に募集活動を行っています。
しかし庁内には、まだまだ内向き志向が見られるのも事実です。
「神戸はほかの都市とは格が違う」
「神戸のことは誰でも知っている」
といった、独善的でふんぞり返った発想は時代遅れです。

神戸のプライドを大切にしながら、本市が置かれている状況を冷静客観的に調査分析し、燃えるような情熱を持って、優れた人材獲得に動かなければなりません。
官民問わず、優れた人材を神戸に集めることが、神戸の発展につながります。


2016年5月21日
から 久元喜造

スタートアップオフィス・デモディ

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若い世代のみなさんには、ぜひ神戸で起業してほしい。
そのような願いを込めて、ミント神戸にスタートアップオフィスを開設したのは、今年の1月のことでした。
開設の日に、選抜された5組のチームのみなさんと公開ディスカッションをしたことを思い起こします。

月日が経つのは早く、昨日は、デモディを迎えることになりました。
5組のチームのみなさんは、支援プログラムを運営している神戸新聞社と関西学院大学の支援、メンターの指導を受けながら、この日に向けて自らの事業プランを進化させてきました。
資金を獲得し、ビジネス展開のパートナーを見つけてひとり立ちしていくには、独善を排したビジネスモデルをつくり、プレゼン能力を磨くとともに、各方面から寄せられる疑問に自信をもって答える能力が必要です。

きょうのデモディには、ベンチャーキャピタル、金融機関、さまざまな業種の民間企業のみなさんなどから多数の申し込みがあり、会場を広いミントテラスに変更しました。
残念ながら次の予定があり、中座しましたが、チームのみなさんと参加者のみなさんが丁々発止のやりとりを交わしている場面を想像しました。

まだ不透明な面はあるでしょうが、すでに投資家と数千万円規模の資金協力を協議しているチーム、大企業との連携を進めているチームもあると聞いています。
5チームの皆さんには、未来に羽ばたくきっかけを神戸でしっかりと掴み取り、雄飛されることを期待しています。
チャレンジ精神を持った、実力のある若い世代のみなさんが、チームを組んで世界を舞台に活躍していただくことが、神戸の元気につながります。


2016年5月18日
から 久元喜造

若手のみなさん、本を読んで下さい。

今年入庁されたみなさんをはじめ若手のみなさんには、仕事の合間を縫って、できるだけ本を読んでもらいたいと思います。
私がブログで取り上げている本は、自分が好きで読んでいるだけですし、趣味が偏っていますから、あまりお薦めはしません。
新聞の書評欄は、各紙とも充実しており、それらの中で気に入った本を読むのもいいと思います。

私は、いわゆるハウツー本を読むことはほとんどありません。
小説やドキュメンタリー、政治・社会、歴史、音楽に関する本が多いです。
すぐれた小説を読むことは、感性を磨き、視野を広げ、想像力を飛翔させるのに役立ちます。
松本清張が残した一連の著作は、ストーリーの面白さとともに、戦後社会の断面、とりわけ矛盾に鋭く切り込んでいます。
よくテレビで放映されますが、原作の価値も香りもほとんど失われています。

吉村昭の著作も、そんなにたくさん読んだわけではありませんが、いずれも優れています。
私が一番好きな小説は、『破船』。
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辺境の地で起きる惨劇の物語です。
過酷な環境の中に生きる人々の逞しさと非道、突然襲いかかる危機、人々の混乱ぶりと苦しみ、村おさの決断などが生き生きと描かれています。
豊かで平和な世界に生きる私たちも、そこから何かを学び取ることができるでしょう。

私はホームで電車を待っているときなど、『破船』の中の一シーンが浮かんでくることがあります。
映画化された作品を見たわけでもないのに、不思議です。
それだけ強烈な印象が刻まれたということかもしれません。(文中敬称略)


2016年5月15日
から 久元喜造

ルワンダで感じた未来への可能性

キガリでは、政府関係機関高官との会談の合間を縫い、民間ICT企業を訪問しました。
その一つが、Hehe Limited です。
神戸情報大学院大学の福岡副学長、民間ICT事業者のみなさんとともにお邪魔し、短時間でしたが、こんなに盛り上がっていいの、というくらい有意義なひとときを過ごすことができました。

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Hehe Limited は、ICTのアプリを開発している社員が10名ほどの会社です。
CEOの クラリス・イリバビギザさん は、20代の若き経営者。
2012年に神戸情報大学院大学に留学され、ルワンダに帰国されてからは、ICTビジネスの最先端で仕事をされています。
ルワンダで出会った政府高官のみなさんは、クラリスさんのことをよくご存じでした。
2015年には、フォーブス社から、最も有望なアフリカの起業者30名の一人に選ばれています。
私も、クラリスさんのお話に耳を傾け、いろいろ質問をさせていただきました。
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Hehe Limited では、クラリスさんの指導の下に、十代後半から20代前半の若い世代のみなさんが、さまざまなアプリの開発に取り組んでいます。
3人のプレゼンを聴きましたが、実に素晴らしいものでした。
運送会社がトラックの位置情報を確認し、運行状況をリアルタイムで把握できるアプリは、すでにビジネスとして軌道に乗っていると聞きました。

幼児時代にジェノサイドの中を生き抜き、あるいは、その後に生まれたルワンダの若者たち。
日本から訪れた民間事業者とのみなさんとは、さっそく具体的なビジネス展開の話があちこちで始まっていました。
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ひしひしと感じる未来への可能性。
素晴らしい!


2016年5月13日
から 久元喜造

悲劇を乗り越え、国家の再生へ

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ルワンダでは、1994年4月から始まったジェノサイドにより、80万人とも100万人とも言われる人々が殺害されました。国民の10%以上に当たるともされています。

キガリ滞在中、私はジェノサイド記念館を訪れ、駐ルワンダ共和国坂本臨時大使、キガリ市ムカルリザ市長とともに献花を行いました。

犠牲者の多くは、それまでともに暮らしてきた顔見知りの人々の手で殺害されたと言われます。

記念館では、ジェノサイドの背景、経緯に関する多くの資料、例えば、虐殺された子供たちのたくさんの写真がプロフィールとともに展示されていました。

生きたまま焼き殺された8歳の少女が好きだった歌は、「希望を育んでくれる私の祖国よ」だったそうです。

犯罪者の処罰、コミュニティ単位での罪の告白と赦しへの取り組みについても説明を受けました。

報復の連鎖を回避して、憎しみを克復し、融和を図りながら国家の再生を達成することには、想像を絶する困難があると思われます。

そのような困難を乗り越え、国家再生の鍵を握るのが、優れた人材の育成であると考えられています。

また、資源にとぼしいとされるルワンダでは、ICTを柱とした産業と人材育成に大きな努力が傾注されています。

このような分野において、神戸が貢献できるとすれば、それは名誉のことではないかと感じます。


2016年5月12日
から 久元喜造

ルワンダ政府高官との会談


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昨日は、ルワンダ共和国政府青年ICT省でンセンギマナ大臣と会談し、今後におけるICT分野での人材育成を中心に意見交換を行いました。

続いて、SMART AFRICA を訪問し、ハマドゥーン・トゥーレ最高責任者と会談しました。

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SMART AFRICAは、アフリカ各国が加入するICT分野における国際機関で、今後この分野で非常に大きな投資が行われることを確認しました。

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トゥーレ氏は、国際電気通信連合(ITU)の事務総長を2014年まで務められた方で、内海事務総長の下で事務次長をされていたこともあり、日本の通信・放送分野のことを大変よくご存じでした。

ルワンダを含むアフリカ全体におけるICT投資の今後について鳥瞰図的な理解を深めることができ、将来的なビジネス展開の可能性を感じました。

今日は、地方行政省のカボネカ大臣と会談し、キガリ市を含む地域の活性化を巡る課題について説明をいただきました。ここでも人材育成を含むICTの進展が重要であることを力説されました。

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カボネカ大臣には、地方行政省への表敬訪問を申し入れたのですが、昨日のアポが災害の発生により一度流れたこともあり、わざわざホテルにまでお越しになりました。大変恐縮しました。

ルワンダだけはジュニアスイートを取っていたので、ホテルの私の部屋で何とか対応出来ました。料金は一泊 140米ドルです。

 


2016年5月10日
から 久元喜造

キガリ市との共同宣言

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昨日の午前は、ルワンダ共和国の首都キガリ市役所にムカルリザ市長を訪ね、今後の都市間交流について意見交換を行った後、キガリ市幹部のみなさんからマスタープランの詳しい説明を受けました。

午後は、ジェノサイド記念館を訪れ、犠牲者に献花し、夕方からキガリ市との共同宣言の署名式に臨みました。

日本政府は、アフリカの人材育成を支援するABEイニシアチブを推進していますが、神戸情報大学院大学ではICT分野でアフリカから49名の留学生を受け入れており、そのうち12名がルワンダからのみなさんです。帰国後、国際的な舞台で幅広く活躍する人材も出てきています。

神戸がルワンダのICT分野における人材育成に協力できれば、この分野におけるビジネスチャンスに繋がる可能性もあります。

神戸は戦前から未知の世界に挑戦し続け、発展を遂げて来た都市です。今の神戸市政にとり未知の世界であるアフリカに足がかりをつくる上で、治安が良好で、政情が安定しているルワンダが適切と判断しました。

 


2016年5月7日
から 久元喜造

ジョン・F・ケネディ『勇気ある人々』


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米国第35代ケネディ大統領が、上院議員時代に著した著作です。
ブリュッセルに向かう機中で読みました。
4月6日のブログ で触れましたように、キャロライン・ケネディ駐日大使から頂戴しました。
ジョン・クインシー・アダムズをはじめ、8人の上院議員がとりあげられています。

トクヴィルの「アメリカのデモクラシー」と同時に読んだので、余計に興味深かったです。

本書で紹介されているのは、政治家の「気高さの物語」です。「自らの築き上げた地位に対する脅威、自らの信念に対する世の中の無理解、人格に対する誹謗中傷、そして悲しいことにごくまれにしか受け入れられなかった本人の評価や主義主張の証明の物語」です。

たとえば、南北戦争前夜、連邦の絆の維持に奔走した3人の上院議員がいました。
南北が激しく対立していたこの時期、各州の上院議員は、連邦に対する忠誠か、自分の州や選挙区に対する忠誠のどちらを選択するのか厳しく迫られます。
3人の上院議員は、連邦の解体阻止と戦争の回避をめざし、それぞれのありようで上院を舞台に闘うのですが、その結果、選出母体である州の人々から受けた非難と攻撃はすさまじいものでした。

その一人ダニエル・ウェブスターについて、大統領はこう記しています。
「合衆国上院を、地元選挙民の見解を義務的に記録する単なるロボットの集団以上のものに育て上げた人物、あるいは大衆の感情の流れを予測しそれに乗ることだけが上手な日和見主義者の集団以上の存在にした人物・・・の話は、今改めて目を向ける価値があるのだ」。

本書では、民意と政治家の良心との衝突が現出する、過酷なドラマが展開されていました。


2016年5月5日
から 久元喜造

ブリュッセル対日投資セミナー


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ブリュッセル市内エグモン宮で開催された対日投資セミナーに参加しました。

安倍総理ご出席の対日投資セミナーに参加するのは一昨年のロンドンセミナーに続き二度目で、開始前に安倍総理にお礼のご挨拶を申し上げました。

セミナーは、安倍総理のご挨拶に始まり、ベルギーのペーテルス副首相が歓迎の言葉を述べられ、石毛博行JETRO理事長などの方々の基調講演の後、私から医療産業都市を中心とした神戸の投資環境についてプレゼンをしました。つくば市の市原市長のプレゼンを聴かせていただきました。

 

レセプションでは灘の酒を参加者みなさんに振る舞い、和やかな雰囲気で意見交換を行いました。


2016年5月1日
から 久元喜造

エイプリルフール・仕掛けるべきだったか?

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4月1日からひと月経ったので、市役所内で行った議論の一端を記しておきます。
神戸開港150年記念事業PRの一環として、エイプリルフールに合わせ、行政が奇抜なアイデアで情報を発信する試みをしたらどうかという提案を受けました。
上のような「新聞」の「号外」を1万部作成し、4月1日(金)に三宮・元町駅前で配布するという内容でした。

面白いアイデアだと思ったものの、行わないことにしました。
以前、ある全国紙がエイプリルフールの記事を大々的に掲載したのですが、あまり反応がよくなかったことを話し、
「日本人に、欧米流のユーモアのセンスは受け入れられているのだろうか?」
と疑問を投げかけました。

結果として、私の指摘は間違っていたようです
メディアでは、さまざまな企業によるエイプリルフールを使った情報発信が紹介され、大成功したケースもありました。
提案してくれた担当者は、そのような成功事例を見て、
「頭の固い役人市長の限界やな」
と思っているかもしれません。

今回感じたことは、自治体の広報戦略は民間企業と同じであるべきなのか、あるいは違ってもよいのかということでした。
同じでよいという考え方もあるでしょうが、私は、税金を使って行う自治体広報には、自ずから自己抑制が要るのではないかと感じています。
一方、南あわじ市の「独立宣言」のように、これまでの殻を破った自治体プロモーションがたくさん出てきており、さまざなご意見をいただきながら、広報戦略の進化を図りたいと思います。