6月5日、日曜日の日経新聞に「居酒屋の灯に時代が映る」という見出しを見つけました。
大島三緒論説副委員長による「中外時評」です。
昭和の頃、酒を飲むと大騒ぎするのが普通で、ひとり酒にはうら寂しい雰囲気がつきまとっていました。
「高倉健さんの代表作「駅STATION」では、健さんが倍賞千恵子さんの店でコップ酒をあおり、そこに「舟唄」が流れるのである」。
そういう飲み方は、すっかり変わりました。
「『ひとり』を楽しみつつ必要なときは集まり、またさっと離れる」と、大島さんは言います。
その背景には、「集団主義、横並び主義を旨としてきた近代日本社会の転換」があるとか。
最近は、「ひとりなら、自分のペースで、そのときの懐具合に合わせて酒を楽しめる」ようで、外食チェーンの「ちょい飲み」、仕事を適当に切り上げて一杯やる「4時飲み」などがあるそうです。
若いころから、ほとんど飲むスタイルを変えていない私にとっては、新鮮な情報でした。
飲み方がどのように変化するにせよ、この時評が最後に指摘しているように、
「居酒屋は人を街に滞留」させます。
神戸に限らず、日本の都市は、昭和の頃に比べ、人口は増えているのに、街の賑わいが減っているのはなぜか。
その大きな原因としては、人々が自分の部屋に閉じこもり、街に出てこなくなったことが挙げられます。
今年度、「いかにして賑わいを創り出すのか」をテーマにしたプロジェクトチームを立ち上げました。
居酒屋に関する議論も参考にしながら、まったく新しい視点で、斬新なアイデアを出してほしいと期待しています。