神戸在住の作家、真山仁さんの作品です。(2015年12月中央公論新社刊)
主人公は、選挙コンサルタント、聖(ひじり)達磨。
高額の報酬で候補者選びから選挙を裏で仕切り、圧倒的な当選確率を誇ることから「当確師」の異名を取ります。
選挙の舞台は、日本を代表する政令指定都市・高天(たかあま)市の市長選挙というのですから、興味津々、読み始めました。
顧客からの依頼を受け、彼が打倒を目指す敵は、 3期目を狙う現職、鏑木(かぶらぎ)次郎。
検事出身で、最初の選挙で現職を僅差で破り、市行政の刷新に乗り出した後は、国際交流や企業誘致に力を入れ、日本屈指の成功した自治体の首長として全国的に名前が知られています。
聖は、意外な対立候補を選定して、盤石の現職に戦いを挑んでいきます。
そしてその結末は・・・・
表紙には、
「目を背けるな、これが日本の現実だ」
の文字が踊っています。
「裏切り、二重スパイ、金権、盗聴、恫喝、お涙ちょうだいなんでもあり。選挙という壮大な人間喜劇には、欲望の全てが詰まっている」
とも。
2年半前の自分の選挙について言えば、聖のような選挙コンサルタントはいませんでした。
もっとも、私が知らないところでそのような人物が存在した可能性は排除できませんが、聖のように、勝てる候補者選びまで任された選挙コンサルがいたとしたら、私を選ばなかったことだけは確かでしょう(笑)。
小説では、市長や市役所の日常も登場しますが、自分のそれとはあまりにも大きな落差がありました。
家に執事がいるわけがありません。
また、鏑木は好き放題、自由に時間を使っていますが、土日も含め、時間のかなりの部分は拘束されるのが現実です。