久元 喜造ブログ

2016年10月31日
から 久元喜造

神戸市役所職員採用試験私見③

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試験区分「法律」の試験問題を見てみました。
憲法が5問、政治・法律が1問、行政法が12問、民法が12問の計30問です。
私の印象ですが、出題が行政法に偏りすぎているように感じます。
地方自治体は幅広い仕事をしており、法律を修めた職員は、法律に関するバランスのとれた知識を活用し、リーガルマインドを発揮していくことが求められます。
そういう観点から言えば、刑法、民事訴訟法、労働法の初歩的な問題が全くなくてもよいのか、疑問です。
また、「政治・法律」というカテゴリーが設けられ、国会議員の地位と権能に関する質問が1問だけありましたが、法学部の授業やゼミでは政治学は重要な位置を占めており、政治学・行政学の分野から数問の出題があってもいいのではないかと感じます。

問題の内容を見ると、民法は、常識的な出題で考え方の基礎を問う良問が多いと思いましたが、全体の半分以上を占める憲法、行政法では、マニアックで難しすぎる出題が散見されました。
たとえば、住民訴訟に関する問題を読むと、外国人の訴訟提起の可否、損害賠償を求める訴訟における職員の被告適格、財務行為に先行する行政処分の取り扱いなど住民訴訟制度の内容に踏み込んだ内容でしたが、この問題に正しく答えられる市役所職員は何パーセントくらいいるのでしょう。
法学部の学生であれば、住民訴訟の存在と性格を知っていれば十分で、こんな制度の各論は、市役所の法務・財務部門に配属されてから勉強するような内容ではないかと感じました。


2016年10月28日
から 久元喜造

都心の賑わいづくり

この前の日曜日、次の公務との間に、1時間弱あったので、三宮の都心を散策しました。
まず、東遊園地を覗きました。
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芝生化の社会実験(6月14日のブログ)を始めてからしばらく経ちましたが、週末を中心に訪れる方が増えています。
この日は、多文化共生に関するイベントが行われ、たくさんのみなさんが日曜の午後を楽しんでおられました。

続いて、以前「メディテラス」と呼ばれていた「三宮ゼロゲート(仮称)」へ。
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で実際に使われた小道具や衣装、写真パネルなどでドラマの世界を紹介する『NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」展』(NHKサービスセンター主催)が開催されていました。
神戸別品博覧会」は、地元企業とクリエイターのみなさんがコラボし、新しい商品を開発し、販売する試みです。
これからどんどん品ぞろえが増えていくようで楽しみです。
私は、地下のフロアで、神戸ワインが使われた「神戸ワインカレー」と「明石ダコのアヒージョ」を買いました。
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三宮中央通りに出て、これも現在社会実験中の「KOBEパークレット」(10月19日のブログ)を眺め、「三宮プラッツ」へ。
「三宮プラッツ」は、三宮中央通りと京町筋の交差点にある半地下の広場です。
華やかに野外ライブが行われ、たくさんのみなさんが、演奏を楽しんでいました。
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これからも、都心の賑わいづくりのために、市民、民間事業者のみなさんからアイデアを出していただき、さまざまな取り組みを進めていきます。


2016年10月26日
から 久元喜造

ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』

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ウンベルト・エーコの傑作『薔薇の名前』は、私の愛読書の1冊で、日経新聞「リーダーの本棚」(平成27年9月20日掲載)でも取り上げました。
ウンベルト・エーコは、今年の2月、逝去し、時を同じくして我が国で刊行されたのが本書です。

舞台は19世紀後半のヨーロッパ。
主人公のシモニーニは、イタリア人で、小説の前半では、トリノなどが登場しますが、後半はパリが舞台です。
物語は、ヒトラーの『わが闘争』にも登場する偽書「シオン賢者の議定書」をめぐって展開されます。

本書を読むと、ヨーロッパの反ユダヤ主義がひじょうに根深いものであったことがよくわかります。
人々の間に存在する反ユダヤの感情を利用して、フランス、プロイセン、ロシアの諜報機関、イエズス会などの宗派、革命家、政治家、文筆家などが暗躍します。
そして、反ユダヤ主義に染まった膨大な著書、刊行物、書簡などが物語にはめ込まれ、次々に虐殺、謀殺、テロが起きます。
パリ・コミューンの凄惨な大量殺人の現場も描かれます。

物語は、シモニーニの手記をもとに展開されますが、彼が意識を失っている間は、イエズス会士のピッコラが手記を書いているようです。
そして、全体の語り手が別におり、手の込んだ進行を見せます。
膨大な数の登場人物ともあいまって、本書が現出する世界は、『薔薇の名前』よりも複雑怪奇でした。
恥ずかしいながら、途中でわけがわからなくなり、100頁ほど前に戻らなければなりませんでした。
19世紀後半のヨーロッパには、中世の僧院とはまったく異なった様相のグロテスクがありました。


2016年10月26日
から 久元喜造

「しるかれ」ってわかるんでしょうか?

明日は本会議です。

しあわせの村で開催されている「シルバーカレッジ」が質問に出るそうですが、答弁の打ち合わせで、幹部は「しるかれ」って説明していました。
私に対してだからかもしれませんが、市民のみなさんに、「しるかれ」って言ってわかるのでしょうか?
わかるのならいいのですが・・・・


2016年10月22日
から 久元喜造

新長田から湊川公園へ

昨日、14時07分に鳥取で地震が起きた時、私は、淡路の洲本市で開催された「淡路政経懇話会」(神戸新聞社主催)での講演を終え、神戸淡路鳴門自動車道を長田に向けて帰る途中でした。
緊急地震速報が流れ、すぐにラジオをつけました。

神戸市では、14時08分、消防局に緊急消防援助隊後方支援本部を開設、統合機動部隊の出動準備をするとともに、消防庁からの要請を受け、兵庫県消防防災航空隊ヘリコプターを鳥取県に派遣し、現地上空から情報収集を行うなどの対応を行いました。
その後、他県に応援要請はしないという鳥取県の意向などを踏まえ、危機管理室において引き続き情報収集を行っているところです。

危機管理室からの報告に注意を払いながら、きょうは、夕方から新長田に出かけました。
JR新長田駅を降りると、「ふたば学舎」のポスターがすぐに目に入ります。(3月29日のブログ
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商店街にも。
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野田高校ダンス部への応援メッセージもありました。
市役所にお越しいただいたことを想い起します。
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地下鉄西神山手線・新長田駅のホームへ。
ホームなどの空きスペースに、統一されたデザインでの神戸市広報を掲載することにしましたが(10月1日のブログ)、ほぼ全駅にいきわたったようです。
新長田のホームにも、少なくとも3箇所ありました。
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湊川公園駅。かなりありました。
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広告の効果だけではありませんが、かなり雰囲気が明るくなったように感じました。
「明るい神戸」を目指して、地道なことも、ひとつひとつです。


2016年10月19日
から 久元喜造

三宮中央通りに「KOBEパークレット」を設置

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現在、三宮中央通りにおいて、車道の停車帯と歩道にまたがるエリアに「KOBEパークレット」を設置する社会実験を行っています。

パークレットとは、上の写真のように、車道や歩道にウッドデッキを敷き、テーブルや花壇を設置してつくります。
歩行者のためのエリアです。
サンフランシスコが発祥の地とされ、国内でも類似事例はありますが、車道の一部(停車帯)を利用したパークレットの設置は、日本では初めての取組みです。

三宮中央通りでは、「三宮中央通りまちづくり協議会」が主体となって、年に2回(春・秋)、オープンカフェが開催されてきました。
今回の社会実験でも、同協議会がパークレットの清掃、花壇などの日常管理を行っていただいています。

デザインについては、神戸芸術工科大学 からご助言をいただき、ベンチやテーブルの配置を変えた3つのパターンのデザインを制作しました。
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今回の社会実験の期間は、平成28年10月13日から平成29年3月までの予定です。
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期間中、KOBEパークレットの利用状況、周辺地域の自動車交通・歩行者の状況、沿道の事業者への影響などについて調査し、引き続き、実施できるのかどうかについて検討を行っていきます。
三宮以外でも実施できないか、可能性を探っていきます。
パークレットをはじめとしたさまざまな取り組みを行い、街の賑わいづくり、回遊性の向上につなげていきたいと考えています。


2016年10月15日
から 久元喜造

阪神連続立体交差事業

きょうの土曜日は、石井啓一国土交通大臣をお迎えし、神戸市が阪神電鉄とともに進めている連続立体交差事業を視察していただきました。
この事業は、住吉駅東-芦屋市境の約4キロで実施している連続立体交差事業です。
1983年(昭和58年)に都市計画決定され、長い時間をかけて事業を進めてきましたが、いよいよ大詰めを迎えています。

昨年12月には、魚崎駅と芦屋市境の約3.2キロで、下り線が高架に切り替わりました。
今後は、上り線の高架化を進め、できるだけ早期に完成することが必要です。

きょうは、石井啓一大臣に、南方向から踏切を横断していただき、北方向から深江駅にお越しいただきました。
深江駅の踏切で、阪神電鉄の原田さんから説明をしていただきました。
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阪神電鉄の魚崎-芦屋間の踏切は、11カ所あり、朝には約40分間遮断する「開かずの踏切」もあります。
すでに下り線のみの高架化で、かなりの効果が出ていますが、上り線の高架化を急ぎ、踏切の完全解消を進める必要があります。

下り線の開業で、すでに深江駅も部分営業しています。

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外から光が射し込む、明るい深江駅ホームです。
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連続立体交差事業は、数多くの自治体から要望が殺到していますが、予算枠が限られています。
私からは、阪神電鉄の藤原崇起社長とともに、事業の早期完成を石井大臣に要請し、理解を深めていただきました。
東灘区での南北交通の円滑化が一気に進むよう、全力を傾けていきます。


2016年10月11日
から 久元喜造

神戸市役所職員採用試験私見②


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採用試験は、試験区分として一般行政、福祉、土木、建築、電気、機械、消防など17区分、
さらに一番多くを占める一般行政は、選択科目として法律、経済など4科目に分かれて実施されます。
共通して課されるのが、「基礎的能力試験問題」です。
25問は必須で、最初の5問は英文解釈、その後に、文章読解能力、論理的思考能力、数学的処理能力などを問う問題が続きます。

英文は、要旨として妥当なものを5つの選択肢の中から選ばせるものです。
文章は、5問それぞれ異なるジャンルの文章が選ばれ、大学卒業者向けの出題としては常識的と感じました。

選択試験問題は、いずれも時事問題に関する設問で、20問の中から15問選択して回答する方式となっています。
内容は、女性の人権、障害者問題、インターネットの普及状況、表現の自由、雇用情勢、労働法制、金融政策、観光、交通政策、地方自治、安全保障法制、災害、難民問題、エネルギー問題など多岐にわたっています。
私は、ほとんど毎日、全国紙5紙と神戸新聞に目を通しており、時事問題については自分なりに関心を持ってきましたが、正直、答えられない問題がたくさんありました。
自分が答えられないから難しすぎる、などと言うつもりはありませんが、時事問題に関心を持っているのかどうかを確かめるのであれば、細かな知識や数字を問うのではなく、それぞれの分野における考え方を問うような問題が適切なのではないでしょうか。
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たとえば、空港の民営化を取り上げるなら、どの空港が民営化されたのか、ではなく、民営化とは何か、その目的は何なのかについて問う方が意味があるのではないかと感じます。


2016年10月9日
から 久元喜造

福永文夫『日本占領史 1945 – 1952』

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どのような国家、民族であっても、他国に占領され、その統治を受けることは屈辱であり、被占領国の国民が塗炭の苦しみを味わうのは、歴史が教えるところです。
我が国が有史以来初めて経験したGHQ(連合国最高司令官総司令部)による占領においても、数多の理不尽や悲劇が生じたことは確かです。
しかし、日本占領の最高責任者であったマッカーサーが解任され、帰国するとき、衆参両院は感謝決議を全会一致で可決し、数えきれない日本国民が沿道にぎっしりと詰めかけ、その帰国を見送ったのでした。

本書では、1945年8月から1952年4月まで、7年近くにわたったGHQによる占領を丹念にたどります。
GHQが一方的に指令を発し、日本政府がこれにひたすら従ったのではなかったことがわかります。
本書には、総理大臣のほか歴代内閣の閣僚、与野党の政治家、官僚、経済界、労働組合、報道機関などの指導者が登場しますが、占領統治は、これらのアクターとGHQとの間でのさまざまな交渉、駆け引きが繰り広げられる中で実施されたのでした。
昭和天皇も節目節目に大きな役割を果たします。
また、GHQ内部も決して一枚岩ではなく、マッカーサーは、国務省などワシントンとしばしば対立、ときには衝突を繰り返したのでした。
複雑な政治過程と偶然が重なりあい、戦後日本の諸制度が出来上がっていきました。

全体として日本の占領統治は成功であったという認識は、米国では共有されており、本書を読んでそのような認識に違和感は覚えません。
残念ながら、この時代の見識と経験は、イラク占領では発揮できなかったようで、イラク占領の失敗は、今日の混沌につながっているように感じます。


2016年10月4日
から 久元喜造

マルセイユでビジネスセミナー

神戸 マルセイユ姉妹都市提携55周年記念事業参加のためマルセイユに来ています。

今日は、フランスを代表する有名百貨店 ギャラリーラファイエット マルセイユ店で、日本週間オープニングセレモニーが開催されました。

imageimage神戸ビーフ、灘の酒、須磨海苔、有馬山椒味噌などの試食、試飲、販売をしました。

ルヴェック支配人が店内を案内して下さいました。日本食がマルセイユにみなさんに知られるようになり、食習慣に繋がっていくことに期待されていました。

夕方は、マルセイユ商工会議所のご協力を得て、ビジネスセミナーを開催し、神戸の投資環境についてプレゼンしました。日本イーライリリーのベルクラ本部長、キスコインターナショナルの塩野茂社長、神戸市機械金属工業会の藤浪芳子会長、永吉一郎社長がそれぞれのお立場からプレゼンされました。

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台風18号の情報と対応については、報告を受けています。