久元 喜造ブログ

2017年3月30日
から 久元喜造

道の駅「フルーツフラワーパーク大沢」オープン

神戸フルーツフラワーパークに、道の駅がオープンしました。
愛称は、FARM CIRCUS
レストラン、販売施設、休憩施設などを兼ね備えた拠点です。

きょうは、春らしい陽光に包まれ、たくさんのみなさんが、待ち望まれた「道の駅」のオープンを祝いました。
建物には、木材がふんだんに使われ、柔らかで、おしゃれな雰囲気が漂います。

食材には、北区など地元の食材が使われています。

「食都神戸」を象徴する新しい魅力が加わりました。

4年少し前、私が神戸市役所に務め始めたころは、フルーツフラワーパークには、暗雲が漂っていました。
入場者数は減り続け、施設は老朽化し、外郭団体は多額の負債を抱え、フルーツフラワーパークの存続そのものが危ぶまれていました。

矢田市長の決断によって、ホテルを運営していた㈱神戸ワインは清算することとし、神戸市の債権放棄は議会で議決されました。
ホテルは民間譲渡され、いま、観光客でにぎわっています。
また、新たに、最先端の技術を導入した農業生産支援施設も整備されました。
そして、今回の「道の駅」のオープンによって、フラワーパークは、完全に蘇りました。

私からは、きょうのオープンに至るまでの経過に触れながら、開設にご支援、ご協力くださいましたみなさまに感謝を申し上げるとともに、今後の北区における農業振興と地域活性化、「食都神戸」構想の推進についての決意を申し述べました。


2017年3月27日
から 久元喜造

「しあわせの村」の住所変更


2月18 日、25日に放映されたNHK「ブラタモリ」。
興味深かったですね。
内海の痕跡を今に伝える、船大工町、磯之町の地名も出てきました。

住所が歴史を踏まえたものであることは大切です。
昭和40年前後、旧自治省は住居表示の実施を推進することとし、新宿区は、これを受け、新宿(東新宿)何丁目何番何号 といった住居表示を広げようとしました。
これに敢然と立ち向かったのが、新宿区の住民でした。
文化人などの参加も得て、全国地名保存連盟を結成し、反対運動を展開しました。
新宿区は方針を転換し、喜久井町、馬場下町、余丁町といった、夏目漱石、永井荷風ゆかりの地名が守られました。

このように、住所が歴史と由来を踏まえることは必要ですが、その一方で、便利で分かり易いという要請も無視できません。
これら両方の要請を踏まえながら、私が問題提起したのが、「しあわせの村」の住所の表示でした。

「しあわせの村」は、205ヘクタールの広大な敷地にさまざまな施設が点在する総合福祉ゾーンです。
平成元年4月にオープンして以来、住所は、
神戸市北区山田町下谷上字中一里山14番地の1
です。
私は、「しあわせの村」がオープンして30年近くが経過し、歴史を刻んできたことを踏まえ、慣れ親しんだ名前に住所を変更する方がよいのではないかと考えました。
そこで、このエリアに住居表示を実施する議案を市会に提出し、関係議案は、本日、全会一致で可決されました。
住所は、
神戸市北区しあわせの村1番1号(本館の場合)
などとなります。
市民や関係者の間で、定着していってほしいと願っています。


2017年3月26日
から 久元喜造

ノエスタは、ハイブリッド芝へ。


きょうは、ノエビアスタジアム神戸で、INAC神戸レオネッサの開幕戦があり、恥ずかしいながら、キックインセレモニーのキッカーを務めさせていただきました。
試合は、INAC神戸が、ノジマステラ神奈川相模原に、3-0で勝利しました。

ノエスタのピッチコンディションをいつも良好な状態に維持していくことは、神戸市の責任です。
そこで、現在取り組んでいるのが、ハイブリッド芝の導入です。
ハイブリッド芝は、天然芝に人工繊維を埋め込んだもので、欧米ではよく使われています。

芝が生長すると根が人工繊維に絡み、芝の耐久性を向上させます。
また、水はけや通気性が良くなることから、天然芝の生育を促進すると言われています。

そこで、 2016年12月29日のブログ でも記しましたように、ハイブリッド芝の実証実験を昨年から行ってきました。
これまでのJリーグの規約では、ピッチは天然芝だけに限られていましたが、今年1月25日の理事会で「Jリーグが認めたハイブリッド芝」が追加されました。
「ピッチ全体が天然芝と5%以下の人工芝を組み合わせたもの」で、「ピッチ外でテスト敷設して事前に検証すること」が必要です。
神戸市では、現在行っている実証実験の結果を今年の夏ごろにJリーグに提示して承認を求める予定です。

承認が得られれば、年内にも敷設工事に入り、来年春の完成を目指します。
Jリーグの2018シーズンは、ハイブリッド芝で行われることになります。

2019年には、神戸でラグビーワールドカップが開催されます。
ノエスタは、サッカーもラグビーも両方がハイブリッド芝で開催される、我が国で初めてのスタジアムになります。


2017年3月23日
から 久元喜造

長田区の公示地価がプラスに。

昨日、3月22日の新聞各紙は、今年1月1日時点の公示地価をいっせいに報じていました。
神戸市内で目立った動きとしては、長田区の住宅地、商業地ともプラスになったことが挙げられます。

神戸新聞によれば、「JR新長田駅北側は阪神・淡路大震災の復興土地区画整理事業が落ち着き、若い世代に人気のエリア。駅南側の再開発地区は、県と市の合同庁舎移転を2019年度に控え、昼間人口が約2000人増加する見込み」です。
記事は、地元の飲食店主の男性(62)の「復興の効果が出てきた。今後オープンする店もあるので、にぎわい復活を期待したい」という話を紹介していました。

長田区の公示地価(公示地)の変動率は、住宅地で、平成21年から平成28年まで8年連続マイナスでしたが、今年は0.2パーセントのプラスでした。
また、商業地は、平成21年から平成28年を見ると、平成26年を除き、マイナスでしたが、今年は0.3パーセントのプラスでした。

上昇幅はごくわずかですし、にぎわいが大きく回復してきたわけではないと思いますが、空気が変わってきたことは確かです。
1月24日のブログ でも紹介しましたように、2019年度の県市合同庁舎オープンを見据え、すでに周辺地域への出店、事務所の開業も相次いでいます。
地元のみなさんの雰囲気も盛り上がってきています。
県市合同庁舎を絶好の好機ととらえ、みんなで力を合わせて、新長田をはじめとする長田区の活性化を進めていきたいと思います。


2017年3月20日
から 久元喜造

新消防艇「たかとり」就航式


今日の午後は、うららかな陽光に包まれ、新しい消防艇「たかとり」の就航式が行われました。

神戸市の消防艇は、「たちばな」「くすのき」の2隻です。
平成3年建造の「たちばな」は、阪神・淡路大震災で活動した最後の消防装備ですが、老朽化が進み、昨年9月から新しい消防艇の建造を進めてきました。

新消防艇の名称「たかとり」は、2016年12月21日のブログ でも触れましたが、市民のみなさんの投票により決められました。
「たかとり」は、全長24.5メートル、総トン数は、46トン。
最大速力は、29ノット、定員は、19名です。
大型船舶、石油コンビナート火災に対応する高所放水塔、夜間でも安全に航行できる監視装置などを備えています。

折しも、入港中のクィーン・エリザベス号が、今日の就航式を見守ってくれています。
私から、先般発生した長野県消防ヘリの墜落事故で9名もの隊員が殉職されたことを踏まえ、消防のみなさんには安全に最大限の注意を払いながら任務を遂行していただくよう、お願いしました。

「たかとり」の就航を契機に、海上の安全確保のため、関係機関との連携を一層密にし、全力で取り組んでいきます。


2017年3月17日
から 久元喜造

『べっぴんさん』に「名の無い茶房」が登場

連続テレビ小説『べっぴんさん』は、録画して、1週間か10日遅れくらいで見ています。
先日は、良子のご主人の小澤勝二が、定年の後、キアリスの跡地に喫茶店を開店するシーンが出てきました。
喫茶店の名前はなく、看板には何も書かれていません。
いわば「名の無い茶房」です。

このシーンを見て、新開地にあった喫茶「名の無い茶房」を想い起しました。
違いは、名前が「名の無い茶房」であったことです。

1960年代前半、私は、旧川池小学校に通っていました。
どこにあったのか、よく想い出せませんが、よくお店の前を通ったことは確かななので、通学路にあったのか、よく遊んだ新開地の通りにあったのだろうと思われます。
勝二が開店した「名の無い茶房」は、グリーン系の色ですが、新開地にあった店は、何となく茶系統のイメージだったように記憶しています。

当時の新開地は大変な人出で、喫茶店もたくさんありました。
「スリに気ぃつけなあかんで」
と祖母によく言われました。
神戸を代表する繁華街だった新開地も、その後少しずつ人出が少なくなり、1980年代にはかなり寂れていたように思いますが、ここ10年くらい、地域のみなさんの積極的な取り組みにより、かなり蘇ってきたように感じます。

3月13日には、「新開地演芸場(仮称)」の計画が正式に発表されました。
県市協調で計画を支援していきます。
新開地がさらに賑やかで楽しい街になるよう、神戸市としても全力で取り組んでいきます。


2017年3月14日
から 久元喜造

マイナンバー通知 受取りのお願い

平成27年10月、全国一斉にマイナンバーが郵送されました。
神戸市では約78万通に上ります。
簡易書留で住民票の住所にお送りしましたが、不在による郵便局での保管期間が経過した後は、神戸市に返送され、現在約2万6千通を保管しています。

これまで、通知の再送や個別のご案内などを行ってきましたが、この3月31日をもって、番号通知の再送受付を終了します。
まだ番号通知を受け取られていな方は、至急、マイナンバー交付本部(電話078-322-6961)へ連絡していただきますようお願いいたします。
神戸市では、幅広く市民のみなさんに呼びかけを行っているところです。

マイナンバーは、納税、就職、転職、退職などさまざまな場面で必要になります。
勤務先からもマイナンバーの提示を求められることがあります。
ご自身のマイナンバーを知っておくことは、行政手続きだけでなく、勤務先や取引先との関係でも不可欠です。

また、マイナンバー通知を持っているだけではなく、顔写真入りのマイナンバーカードも是非お持ちいただきたいと思います。
マイナンバーカードは、誰でも持つことができる身分証明書です。
就職やアルバイト、金融機関などでマイナンバーを提示する際、自分のマイナンバーであることを確実に証明できます。
また、住民票、印鑑証明、戸籍の証明、所得証明などの証明書をコンビニで取ることができ、区役所に行く必要もなくなります。
マイナンバーカードの手続きについては、各区役所・支所市民課または出張所、もしくは区政振興課(電話 078-322-5072)までお問い合わせください。


2017年3月11日
から 久元喜造

東日本大震災から6年

6年前の2011年3月11日午後2時46分、私は、総務省自治行政局長室にいました。
地方自治法改正に関する地方六団体との交渉が難航し、その打開策を練っていました。
突然、大きな横揺れが始まりました。
局長室を飛び出て、行政課総務室の部屋に入ると、私の秘書を含め複数の職員が、ロッカーが倒れないよう、手で押さえているのです。
私は、部下を怒鳴りつけることはまずないのですが、そのときは、
「何をしてるんだ。すぐに机の下に潜れ!」
と叫びました。

すぐに片山善博総務大臣に呼ばれ、福島県と連絡が取れないので情報収集に全力を挙げるよう指示を受けました。
テレビをつけっぱなしにし、さまざまなルートで情報収集を行いました。
大槌町では、津波で町長が行方不明との情報も入りました。
災害対策の司令塔たるべき自治体が壊滅している可能性がある、未曽有の事態でした。
選挙部長室にも行き、4月に迫っていた統一地方選挙への対応を促しました。

無我夢中の日々が続きました。
福島第一原発周辺の地域をはじめとする福島県への対応がとくに大きな課題でした。
片山善博大臣に随行して、何度か福島県に赴き、当時の佐藤雄平知事や、双葉郡の町村長さんと協議しました。

翌2012年9月、私は総務省を辞し、11月、40年ぶりに神戸に帰ってきました。
神戸では、震災の経験を踏まえた支援が、市民、企業、行政の各レベルで行われていました。
被災地との交流は、幅広い分野で続けられています。
神戸市では、来年度も被災自治体に職員派遣を行うなど、息の長い支援活動を行っていきます。


2017年3月5日
から 久元喜造

遠藤乾『欧州複合危機』


大変感銘を受けました。
複雑な事象が深く掘り下げられ、体系づけられるとともに、思考の枠組みが明確に示されていました。

第1部では、2010年代に起きた複数の危機-「ユーロ」「欧州難民」「安全保障」「イギリスのEU離脱」-が具体的に語られます。
これらの異なる危機は、バラバラに生じたのではなく、互いに連動しており、「国と地域・地方の利益を分岐させ、結果的に多次元にまたがる「多層危機」の様相を呈する」ようになっていきました。
筆者は、欧州統合の複雑な過程を丹念にたどった上で、「EUが歴史的に見て第一級の危機のなかにあり、ヨーロッパが重大な岐路にいることを明らかに」します。
EUは、もともと民主的正統性が希薄で、機能的正統性に対しても疑義が生じていました。
EUが次第に市民生活に浸透し、期待と反感が生まれていったところに、複合的な危機が襲い掛かります。
典型的には、域内国境を開放し、自由な往来を実現させたことが、テロリストの侵入と越境をもたらしました。
今、移民をめぐって、欧州は大きな世論の分裂に直面しています。

そして、イギリスのEUからの離脱。
筆者は、このことによる混乱は、「先進国が抱えるグローバル化、国家主権、民主主義の間の緊張関係を、劇的な形で、「見える化」してしまった」と考えます。
その答えは、「国家主権=民主主義に引きこもる」ことではありません。
そのような動きが加速化している今日であるからこそ、「グローバルな協力・再編を多方面、包括的に進める」一方、「国内においても中間層以下への支援を全面的に推し進める必要がある」と筆者は結論付けます。
違和感がない方向性です。


2017年3月2日
から 久元喜造

アライグマ捕獲大作戦

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アライグマは、北アメリカ原産の動物です。
1970年代に、当時放映されていたテレビアニメの影響などから、ペットとしてアメリカから大量に輸入され、販売されました。
しかし、愛くるしい幼獣が成獣になると、凶暴になって飼いきれなくなり、野外に捨てられるようになりました。
全国で、農業被害や人家での被害が相次いでいます。
また、狂犬病など人への感染症を媒介する可能性も指摘されています。

神戸市では、鳥獣相談ダイヤルを開設していますが、動物の種類別の相談件数は、アライグマがトップになっています。
相談を受けた神戸市では、事業者に委託し、箱わなを設置して捕獲します。
箱わなは、市民のみなさんに管理していただきます。
アライグマは力がとても強く、箱わなは壊されないよう頑丈につくられています。

全国的にもアライグマの捕獲数は年々増加しており、各自治体は対策に追われていますが、神戸市のように市民の鳥獣相談ダイヤルへの通報から捕獲事業者への捕獲依頼といったワンストップサービスの体制を構築している都市は、ほかにはありません。
この結果、神戸市の平成27年度の捕獲数は、1,225頭で、さいたま市317頭、横浜市285頭などを大きく引き離しています。

アライグマが野生化し、被害を及ぼすようになったのは、アライグマを安易に輸入・販売し、無責任に捨てたり、不充分な管理により逃亡させた人間の責任です。
ある意味、アライグマも人間の得手勝手な行動の被害者であるとも言え、このようなことがほかの動物で起きることがないようにしなければなりません。