久元 喜造ブログ

2017年5月7日
から 久元喜造

東遊園地の芝生 再び!



冬から春にかけて消失していた東遊園地の芝生が復活し、連日、大勢のみなさんが訪れています。
この黄金週間にも、「078」、「ファーマーズマーケット」が開催され、大賑わいでした。

振り返れば、本格的な芝生化の実験を開始したのは、昨年6月でした。(2016年6月14日のブログ
東遊園地では、追悼式典やルミナリエなどさまざまな行事が行われるため、 芝生が損傷することは、初めから予想されていました。
このため、芝の種類や保護材、土壌改良材を組み合わせた10以上のパターンを用意し、日常的な利用や大規模イベント時における芝生の損傷具合、その後の回復状況などを検証することにました。
うまくいく保証はありませんでした。

案の定、冬を越すと、芝生の葉や茎が擦り切れて、元の地面が露出してしまいました。

今年の1月、芝生の根や地下茎がどの程度残っているのか調査をしたところ、夏芝の種類によっては、かなりの部分が残っていることがわかりました。
そこで、この芝生を回復させるため、3月から地下に空気を送るエアレーションという作業を行い、さらに冬芝の種を播き、上部にシートを張って養生しました。
その結果、緑の芝生が復活したのです。
公園部のみなさんの努力に敬意を表します。

ただ、冬芝は暑さに弱く、夏が近づくにつれ衰退していくため、替わって、地下部に残っている夏芝を育成する必要があります。
このため、5月末からグラウンドを一時閉鎖することについて、ご理解をいただきたいと思います。
順調に生育すれば、夏休み前には再びオープンできると見込んでいます。
引き続き、東遊園地の芝生化実験に取り組んでいきます。


2017年5月3日
から 久元喜造

憲法・地方自治法施行70周年

きょう、5月3日は、憲法記念日です。
日本国憲法は、1947年5月3日に施行されました。

最近の議論では、現行憲法が一度も改正されていない理由として、憲法の規定が概括的、抽象的であり、具体的な内容の多くを法律にゆだねていることがよく指摘されます。
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項」がその典型で、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」とされています。
そして、この規定に基づき、地方自治法が制定され、憲法と同日に施行されました。

全体として簡素な憲法の条文ですが、その中にあって、憲法でここまで規定する必要があるのかという議論があるのが、長の直接公選です。
憲法には都道府県や市町村すら登場せず、その権能について何の規定もないのに、長の直接公選を一律に定めているのは奇妙です。
この点については、知事の直接公選を実現するというGHQの強い意志が働いたと考えられています。

地方自治法は、憲法の規定を前提に、いわゆる二元代表制の制度を定めていますが、法律レベルで別の構造を定めることは可能です。
総務省自治行政局長のとき、地方行財政検討会議 の場で、長を直接公選にした上で、「純粋二元代表型」「議員内閣型」「自治体経営会議」など多様なモデルを提案し、活発な議論を期待しました。

しかし全国知事会は、「パンドラの箱を開けるような議論になる」と及び腰で、議論は深まりませんでした。
地方自治法は画一的、と、日ごろさんざん批判しておきながら、抜本的な検討を呼びかけると、たちまち腰が引ける全国知事会の姿勢に、たいへん失望したのを思い出します。


2017年4月29日
から 久元喜造

空家・空地対策・この1年


神戸市の空家の比率は、直近で、13.05%。
全国平均(13.52%)に近い水準です。
こうしたことから、私は、市長就任以来、空き家対策に力を入れてきました。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の成立にも全力で取り組みました(2014年11月21日のブログ)。
この法律の施行を受け、昨年4月、全庁的な実施体制を整えました。
その後、新しい条例も制定し、樹木が繁茂した迷惑空家・空地なども対象に追加しました。

こうして本格的な空家・空地対策を始動させてから、1年が経ちました。
「近所の空家の屋根瓦が通学路に落ちてきそうで危ない」
「隣の空地から張り出した樹木の枝が我が家に当たって迷惑している」・・・
といった通報は、空家に関するものが455件、空地に関するものが294件でした。

これらに対し、神戸市では、改善の指導、勧告、命令、代執行などの措置を講じてきました。
次の写真は、長年放置されてきた老朽家屋です。

神戸市の指導により、撤去されました。

全体の改善件数は、平成28年度は、269件でした。
前年度が115件でしたので、着実に取り組みは進んでいます。

残念ながら、神戸市からの度重なる改善指導にも応じない所有者が少なからず存在する一方、相続手続きがなされないまま長年放置されてきたものもかなりあります。
正直、苦慮する案件が多いのは事実ですが、関係職員も頑張ってくれており、粘り強く、またスピーディーに対策を講じていきたいと考えています。
所有者が不明のケースにも対応できるよう、引き続き、国に制度改正を求めていきます(2017年4月6日のブログ)。


2017年4月25日
から 久元喜造

バスロケーションシステムがスタート


神戸市では、4月1日から、市バスのロケーションシステムのサービスを開始しました。
スマートフォンやパソコンの画面で、バス停への接近情報を確認することができます。
以下のURLに直接アクセスすると、使えるようになります。

https://location.its-mo.com/kobe/

QRコードを読み込んで利用することもできます。

ご利用になるバス停名や系統を指定すると、乗ろうとしているバスが現在どこにいるのか、バス停にあと何分で到着するのかを確認することができます。
もし、バス停でスマホを持っていない人が、バスの到着を気にしていたら、情報を教えてあげていただければ幸いです。

どこか目的地に行く際の経路を調べたいときは、スマートフォンやパソコンで「KOBE乗継検索」を利用していただければ、経路検索もできます。

今年は市営交通が始まって100周年の節目の年で、市民の足である市バスではさまざまな取り組みを進めています。
今後、このバスロケーションシステムの通信システムを活用して、デジタルサイネージの設置や見守り支援を行う、第2弾の実証実験も予定しています。


2017年4月22日
から 久元喜造

川崎草志『崖っぷち役場』


愛媛県の架空の町、南予町が舞台。
もちろん、といっては失礼ですが、「消滅可能性都市」にランキングされています。

主人公は、町役場に就職して2年目の沢井結衣。
松山出身ですが、祖母が昔から住んでいる南予町に移り住み、スクーターで役場まで通勤しています。
彼女の配属先は「推進課」。
前町長がつくった組織です。
役場職員出身の前町長は、「まじめに町の再興を図り、こつこつと無駄を削り、地道に産業を育て、南予町の状況を改善しようとして」いました。
「毎晩、自宅で遅くまで仕事をしていた」町長は、自宅の机に俯したまま急死。
「東京の有名大学を出て企業につとめていた」本倉町長が就任します。

外部出身の本倉町長は、「毎月のように新しい提案を町役場の各部署に持ち込み」ます。
本倉町長のことを陰で『ぼんくら町長』と呼んでいる職員は、町長の提案を、「前向きに検討します」とか、「法規によると困難です」とかの、公務員お得意の対処で流していくのですが・・・・

過疎と人口減少に悩む南予町を舞台にした、7つの短編小説。
観光資源の開拓、路線バスの廃止、高齢者の徘徊、新旧住民間の葛藤、空き家問題・・・・地域が抱える問題がテーマになっています。
自治体で仕事をしている者から見ると、現実がリアルに描かれているかどうかは議論が分かれるかもしれませんが、参考になる対処法もずいぶんありました。
それに何よりも、ほのぼのとした気分に浸ることができたことはありがたかったです。


2017年4月17日
から 久元喜造

「神戸国際フルート音楽祭」開幕


神戸国際フルート音楽祭~音楽で楽しむ開港150年~」が、去る3月18日に開幕しました。
とても感慨深いものがあります。

振り返れば、「神戸国際フルートコンクール」について、税金投入の是非について問題提起したのが、2年前のことでした。
さまざまな議論と経過がありましたが、東京都ご在住の辻正司氏(セレモア文化財団会長)とご家族から、3年間で合計4200万円のご寄附をいただけることになり、税金を投入せずに開催のめどが立ちました。

これを受け、私は、コンクールにとどまらず、市民のみなさんが主体となって、コンサート、公開レッスンなどを開催する「国際音楽祭」に進化させることができないか、提案しました(2015年11月20日のブログ)。
昨年4月に、そのための企画検討会議が設置され、演奏家・演奏団体、音楽教育関係者、マスメディア、楽器制作・販売会社、文化振興に関心のある企業・団体のみなさんから、具体的な事業提案がありました。
こうして、たくさんのみなさんの参画を得て、「神戸国際フルート音楽祭」がスタートしました。

プログラムは多彩です。
ぜひ、 音楽祭のウェブサイト を覗いてみてください。

音楽祭の一環である  「第9回神戸国際フルートコンクール」は、5月25日(木)~6月3日まで、神戸文化ホールで開催されます。

そして、さらなる広がりが生まれています。
神戸財界を中心とした「神戸国際フルートコンクール応援実行委員会」が設立され、「ガラ・コンサート」のほか、市民が祝う「祝賀晩餐会」の開催が決まり、準備が進められています。
大変ありがたいことで、心から感謝申し上げます。


2017年4月14日
から 久元喜造

鈴蘭台駅ホームの広告


今年の初め、神戸電鉄に乗って鈴蘭台駅を通った時、駅のホームから見える広告にたくさん空きがあり、さびしく感じました。
地下鉄のホームの広告にもたくさんの空きがあり(2016年8月12日のブログ)、神戸市の広告を掲載して空きをほぼ解消したことがあるので(2016年10月1日のブログ)、同じことができないか、庁内で検討を行いました。
神戸電鉄との協議で、神戸市の広告を掲載することが決まり、このほど、看板が出来上がりました。

かなり空きスペースが少なくなり、雰囲気が変わりました。
残ったスペースには、民間の広告が掲載されることを期待したいと思います。
神戸電鉄のほかの駅でも、神戸市広報の掲載により、空きスペースがずいぶん少なくなりました。

鈴蘭台駅前では、再開発ビルの建設が進み、北区役所も入居することになっています。
駅前広場を整備し、交番も駅前に移転し、さらに、駅前広場から小部小学校方面への幹線道路の建設も計画しています。

これらハード事業を着実に実施するとともに、みんなでいろいろな知恵を出し合って、明るく、賑わいのある街づくり、街の雰囲気づくりを進めていければと思います。
些細なことでも、ひとつずつ現状を変えていく努力が大切だと感じます。


2017年4月11日
から 久元喜造

神戸市史紀要「神戸と難民」


リトアニア領事代理の杉原千畝氏が、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民に日本通過ビザを発給し続け、約6,000人もの命を救ったことは、よく知られています。
ユダヤ難民は、シベリア鉄道でウラジオストクに向い、福井県の敦賀に上陸したのでした。
そして、ユダヤ人難民の多くは、その後数か月間神戸に滞在し、神戸港から世界の各地へ逃れていきました。

私は、神戸が当時ユダヤ難民とどのように関わり、どう支援をしたのかを調べ、記録として残すべきではないかと考え、情報の提供を呼び掛けました。
その結果、これまで知られていなかった写真の提供などがありました。
次に2枚は、中島信彦さんから提供いただいた写真です。

次は、村井衡平さんから提供いただいた写真です。

当時の神戸市民とユダヤ難民との交流の一端が窺えます。
これらの写真を含め、収集された資料をもとに、昨年11月、神戸市文書館において企画展を開催いたしました。

さらに、専門家の先生方にご協力をいただき、 新修神戸市史紀要「神戸の歴史」(第26号)の編纂を進め、このほど刊行することになりました。
「開かれた国際都市」としての神戸の歩みを振り返るとともに、具体的なテーマとしては、「神戸とユダヤ難民」 「勝田銀次郎と陽明丸」 「トルコ軍艦エルトゥールル号生存者の神戸での日々」を取り上げています。
ご執筆、ご協力いただいたみなさまに、心より感謝申し上げます。
ジュンク三宮書店でも販売が予定されています。(販売価格500円)


2017年4月6日
から 久元喜造

自民党「所有者不明土地問題」懇談会


きょうは、日帰りで上京し、自民党本部で開催された「所有者不明土地問題」に関する議員懇談会(会長:保岡興治衆議院議員)で、神戸市の現状と制度改正の方向性について、陳述させていただきました。

私は、空き家・空地問題とともに、所有者不明土地問題に取り組んできました。
現在、指定都市市長会で総務・財政部会長を仰せつかっていますが、この問題をテーマに取り上げ、夏ごろには、提言をとりまとめる予定です。

所有者がわからない土地の増加は、地方の山林や中小都市の問題としてとらえられがちですが、大都市でも大きな問題になっています。

私からは、神戸市でも、登記上の所有者の所在がわからず、八方手を尽くしてようやく探し出すことができた事例、どのような方策を講じても見つからなかった事例が増えていることを報告しました。

所有者不明の土地の増加は、たとえば、擁壁が破損していても改善を求めることができないなど、放置された土地や家屋が周辺環境に悪影響を及ぼす事態を生じさせています。
また、道路や公園の整備を行おうにも、用地の買収に入ることができず、事業の進捗に支障を来す事例も出てきています。

私からは、相続人が不存在の場合に選任される相続財産管理人の選任申立権者に地方自治体の長を加える、国または自治体が共同で所有者不明土地を一覧できるポータルサイトを設け、一定期間を経過して申し出がないときは、自治体が管理できるようにする、といった具体的な制度改正を提案しました。
早急に改善策を講じていただくよう、引き続き活動を進めます。


2017年4月3日
から 久元喜造

神戸市 職員辞令交付式


きょうは、ポートアイランドの国際会議場で、神戸市の新規採用職員への辞令交付式が行われました。
開会に先立ち、神戸室内合奏団による歓迎演奏があり、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」など4曲が演奏されました。

私から、273名の職員の代表に辞令を交付し、代表職員による 宣誓が行われました。

最後に私から歓迎の言葉を申し述べました。

「神戸市役所はさまざまな闘いをしています。
災害をはじめとするさまざまなリスク、貧困や格差など社会的不公正との、そして、成長や発展を阻害するさまざまな要因との闘いです。
それらは互いに矛盾する面もあり、闘いには大きな苦労があることも事実です。
みなさんには、今日から私たちの戦列に加わっていただくことになりました。
苦楽を共にし、私たちに与えられた任務を全うしていきましょう」

「苦難を乗り越えてきた神戸は、いま新しいステージを迎えています。
これからの街づくりに、みなさんの新しい感覚を注ぎ込んでください」

「私たちの闘いには厳しい面がありますが、みなさんを独りにしたり、孤独にすることはありません。
みなさんがその使命を全うすることができるように、私たちは、しっかりとサポートをしていきます。
チームとしての力を発揮できるよう、我々はこれからも組織としての改革に取り組みます」

今日、私たちの仲間になったみなさんが、やりがいを持って仕事に打ち込み、神戸の発展のために全力で取り組んでくれると確信しています。