久元 喜造ブログ

2018年1月4日
から 久元喜造

明治維新150年の御用始め


きょう、1月4日は御用始めです。
朝、幹部職員に新年の挨拶を申し上げた後、正午からポートアイランドの国際会議場で開催された「平成30年新年合同祝賀会」に臨みました。
経済界をはじめ各界から、約1600人のみなさんが参加されました。

昨年は神戸開港150年の年で、さまざまな記念事業が目白押しでしたが、各方面から大きなご支援をいただき、所期の成果を挙げることができたことに対し、感謝を申し上げました。
そして今年は、兵庫県政150年、明治維新150年の年です。
初代兵庫県知事を務めた伊藤博文公をはじめとした明治のリーダーが目指したのは、アジアで最初の憲法の制定と立憲主義に基づく国家経営でした。
神戸は、明治の近代国家建設とともに発展し、1889年、大日本帝国憲法発布の年に神戸市が設置されてからは、東京市などとともに六大都市の一角を占め、我が国の近代化をリードしていったのでした。

近代国家日本、そして近代都市神戸を創り上げていった先人たちが、物凄い使命感とスピード感を持って仕事に邁進していった姿に学びながら、今年の神戸市政はさらにスピードを上げ、神戸の発展に突き進むことをお約束しました。
陸海空の拠点として発展してきた神戸の強みをさらに発揮するため、神戸港の港勢の拡大、神戸空港の利活用、大阪湾岸道路西伸部、神戸西バイパス、三宮の再整備などの主要プロジェクトの推進を加速させます。
震災後ゼロからスタートした神戸医療産業都市のシナジー効果を発揮させるとともに、水素産業、海洋産業クラスターなど次世代産業の育成を経済界とともに推進していくことなどをお話ししました。


2017年12月31日
から 久元喜造

東京一極集中是正への一歩


東京に一極集中しているお金をどう地方に移転していくのか。
年末に決定された「平成30年度税制改正大綱」の中に、このテーマに貢献する大きな改正が2つ盛り込まれました。

1つ目は、「地域拠点強化税制の対象地域の拡充」です。
「地域拠点強化税制」は、東京23区内から地方へ本社機能を移転した場合などに、企業が税制優遇を受けられる制度です。
しかし、制度創設時より、近畿圏の「既成都市区域」(神戸市では概ね阪急神戸線以南)が適用除外地域となっており、企業集積を目指すポートアイランドや三宮周辺、兵庫区南部でこの制度を活用した企業誘致を進めることが出来ませんでした。
このため、神戸市では独自の補助制度を創設する一方、対象地域を拡充するよう、国に要望してきました。
今回、近畿圏及び中部圏の既成市街地が対象地域となったことは大きな前進です。
ご尽力いただいた国会議員各位に感謝申し上げます。

2つ目は、「地方消費税の清算基準の抜本的な見直し」です。
消費税率8%のうち1.7%が地方消費税として、国から地方自治体に配分されますが、現行制度では、消費税収全体のうち75%を消費額、17.5%を人口、7.5%を従業員数に基づき配分しています。
これでは、東京などごく一部の大都市の消費額が過大に反映されることになり、これを是正するため、配分の基準において、従業員数を用いず、消費額50%と人口50%で配分するという抜本的な見直しが盛り込まれました。
神戸市では、この改正により約8億円程度の増収が見込まれます。

神戸市としても、今回の税制改正を追い風としながら、財源の確保に努めていきます。


2017年12月29日
から 久元喜造

ファーマーズマーケットの進化


今年進化した事業の一つが、東遊園地で土曜日に開催しているファーマーズマーケットではなかったかと思います。
振り返れば、ファーマーズマーケットがスタートしたのは、2015年(平成27年)6月のことでした。
東遊園地を芝生化する社会実験と軌を一にした試みでした。
平成28年度は、ファーマーズマーケットの定期開催と将来的な民間運営のモデルをつくるために、一般社団法人KOBE FARMERS MARKET を設立。
春・夏・秋にそれぞれ10日間の定期開催にチャレンジしました。

今年はお陰様で、年間40回開催することができました。
東遊園地以外の場所での展開を求めて、5月20日、21日には、神戸まつりの時期に合わせて、大丸神戸店の東側道路で開催し、大盛況でした。
このようにファーマーズマーケットが定着したのは、東遊園地の芝生化の実験が成功し、雰囲気が格段に良くなったことも影響していると思います。

市内の至るところで「食」や「農漁業」を発信するイベントが数多く開催されるようになれば、「食都神戸」の本格展開に一歩近づくのではないかと考えます。
2015年6月14日のブログ では、「サンフランシスコの取り組みも参考にしながら、神戸のファーマーズマーケットを進化させていきたいと思います」と記しましたが、たくさんのみなさんの参画と応援のおかげで、確実に進化を遂げていることをありがたく感じています。


2017年12月26日
から 久元喜造

世界初の水素発電実証事業


今月、ポートアイランドで、水素発電の実証プラントが完成し、式典が開催されました。
来年の2月、世界初の水素発電による地域への電気と熱を供給する実証事業が始まります。
水素は、利用時に二酸化炭素を排出しない環境にやさしいエネルギーです。
今回のプロジェクトは、実証プラントで水素を燃料としてつくった電気と熱を、ポートアイランドスポーツセンター、神戸国際展示場、下水処理場、中央市民病院に供給するという、これまで類を見ないチャレンジです。

振り返れば、総理大臣官邸で開催された経協インフラ会議(議長:菅義偉官房長官)に招かれ、水素エネルギーを活用した「スマートコミュニテイ構想」として水素発電の実証事業を提案したのは、市長に就任して間もない平成26年3月のことでした。
この会議では、世界初の液化水素の長距離大量輸送と荷役システムを開発し、水素サプライチェーンを構築する構想も提案しました。
この二つの構想が、関係者の努力により、ともに動き出していることをありがたく感じています。

水素発電実証事業は、大林組と川崎重工業が実施主体として取り組まれるプロジェクトで、式典には、川崎重工業の金花芳則社長のほか、資源エネルギー庁の日下部聡長官、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長、関西電力の岩根茂樹社長、岩谷産業の牧野明次会長が出席されました。
我が国のエネルギー分野のトップが一堂に会し、本格的な水素社会の実現に向けた扉が開かれたことは、神戸市にとりたいへん名誉なことと感じています。
水素エネルギーの利活用に向けて関係者がしっかりと連携し、最先端の取組みを進めていきます。


2017年12月21日
から 久元喜造

「みんなの掲示板」の増設


神戸市では、主要な駅前や繁華街に、公共掲示板である「みんなの掲示板」を設置しています。
市民同士のコミュニケーションを活発にし、広告や募集の一助としていただくためです。
ビラなどが無秩序に街の中に貼られることを防ぐねらいもあります。

公職選挙法など法令に違反するものなどを除き、自由に掲示することができます。
原則として、毎月末に撤去しますから、最大1か月間、掲示することができます。
これまで、三宮、元町のほか、JR神戸駅、阪神御影駅、阪急六甲駅、地下鉄長田駅、神戸電鉄西鈴蘭台駅、山陽電鉄西舞子駅など23か所に25基を設置してきました。

広報・広告などの伝達手段は、SNSなどネット利用が花盛りですが、「みんなの掲示板」のような古典的なやり方も、まだまだ意味があるのではないかと思います。
むしろ、ネット全盛の時代だからこそ、このように一見時代遅れの手法が意外と新鮮に感じられるような気がします。
少しは街のにぎわいに役立つかもしれません。

そこで、このほど、「みんなの掲示板」を、市街地西北部を中心に、さらに10か所増設することにしました。
下の写真は、神戸電鉄岡場駅です。

谷上駅です。

地下鉄西神山手線西神南駅です。

このほか、神戸電鉄道場駅、田尾寺駅、五社駅、北鈴蘭台駅、JR鷹取駅、山陽電鉄板宿駅、地下鉄西神山手線伊川谷駅に設置します。
たくさんのみなさんに利用していただきたいと願っています。

 


2017年12月17日
から 久元喜造

吉原祥子『人口減少時代の土地問題』


「「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ」というサブタイトルが付けられています。
空き家・空地、所有者不明土地問題については、ブログで何回も取り上げてきましたように、強い問題意識を持って取り組んできましたので、興味深く読みました。
本書が取り上げている問題の所在と現状、対応方策の進捗状況については、おおむね知っていましたが、問題が生じてきた背景、制度の由来、解決方策へのアプローチについて、さらに理解を深めることができました。

筆者の問題意識のひとつは、「なぜ、国土管理の基本である土地の所有者情報について、任意である権利の登記がその中心になったの」か、という点です。
不動産登記制度は、「不動産の物理的状況を明確にする機能」と「所有権などの権利の変動を公に示す機能」の二つの役割を持っていますが、これらはもともと別の制度でした。
前者の機能は、地租を徴収するためにつくられた土地台帳が始まりで、税務署が担っていました。
後者の機能は、民法の制定に対応するために不動産登記法が担い、法務局が管轄しました。
戦後、地租が廃止されて、市町村が固定資産税を課すことになりましたが、この結果、税務署が土地所有者の把握を行わなくなり、さらに土地台帳の廃止による登記簿と台帳の「一元化」により、前者の機能は後者の機能を有する登記制度に吸収されてしまったのです。

このような経緯を考えれば、登記の義務化はなかなか奥行きの深いテーマであることがわかりましたが、何とか解決に向けて自治体としても積極的に検討に参画していきたいという思いを新たにしました。


2017年12月13日
から 久元喜造

「所有者不明土地問題研究会」最終報告


今朝は、午前7時半から麹町で開催された「所有者不明土地問題研究会」(第4回)に出席しました。
これまでの議論を集大成した最終報告がまとめられました。
今年の5月に指定都市市長会が政府などに提出した提言の項目(2017年7月7日のブログ)が、ほぼ取り入れられています。
「所有者不明土地を円滑に利活用・管理できる社会」「所有者不明土地を増加させない社会」「我が国のすべての土地について真の所有者が分かる社会」の実現のために、具体的な方策が盛り込まれました。

最終報告のサブタイトル「眠れる土地を使える土地に「土地活用革命」」が示すように、「土地基本情報総合基盤」(仮称)、「現代版検地イメージ」など、これまでにない新しい発想が取り入れられています。

座長をつとめられました増田寛也東京大学客員教授(神戸市顧問)には、議論の過程で国民に対して強いメッセージを発信され、この問題に対する関心の喚起にも貢献されました。
また、加藤勝信厚生労働大臣には、大臣の激務の中、きょうも研究会に出席され、発言をいただきました。
すでに政府は、関係法案の次期通常国会への提出を明言されており、法案の内容が注目されるところです。
制度改正をにらみながら、自治体もしっかりと取り組んでいくことが必要です。
神戸市も、来年度予算に、所有者不明土地への対応も意識しながら、空家・空地対策に必要な予算を盛り込んでいきたいと考えています。


2017年12月12日
から 久元喜造

銭湯改修への支援を開始します。


一般公衆浴場、いわゆる銭湯は、現在市内に39か所あります。
震災前には約180か所ありましたが、自家風呂普及による利用者の減少、営業者の高齢化、後継者不足などで減ってきています。
しかし、未だ自家風呂がない世帯もあり、一人暮らしの方の中には、自家風呂があってもシャワーで済ませ、湯船につからない方もおられるようです。
銭湯でゆっくりしていただくことは、心身ともによい効果をもたらすという意見もあります。
また、銭湯は地域コミュニティの場ともなっており、銭湯の活性化は、地域コミュニティにとっても必要です。

そこで神戸市は、今年の9月、神戸市浴場組合連合会と「地域の銭湯の活性化に向けた協定」を締結し、積極的に連携・協力を進めることにしました。
この協定を踏まえ、現在、市内39か所の銭湯を巡る「神戸三十九箇所 オフンロ巡り」を実施しているところです。

これまでの取り組みに加え、銭湯の持続的な営業に資する見地から、12月6日に市会で議決いただいた補正予算に、銭湯の老朽設備改修事業、バリアフリー化事業に補助する経費(上限は150万円)を盛り込むことにしました。
具体的には、①浴室、脱衣室、空調、タイル張替などの内装、②煙突、屋根、塗装などの外装、③ボイラー、配管、貯湯槽などの給水湯設備 を対象に補助を行います。

銭湯は、災害発生時に避難者が入浴できる場としての役割も期待されているところです。
銭湯がこれからも社会的な役割を果たし続けていくうえでの一助になればと考えています。


2017年12月9日
から 久元喜造

フランス領事の神戸滞在 1891-1906


11月20日まで 神戸北野美術館 で開催された「フランス領事の神戸アルバム」にお邪魔しました。
興味深い展覧会でしたので、遅くなりましたが、少し記しておきたいと思います。

この展覧会の主人公は、神戸・大阪フランス領事だったド・リュシィ・フォサリウ(1859-1908)です。
1899年(明治32年)、神戸の外国人居留地が我が国に返還されたときの領事です。
フォサリウ領事は、1891年(明治24年)から1906年(明治39年)まで、約16年間、神戸・大阪フランス領事として神戸に滞在しました。

展覧会に先立ち、フォサリウ領事のひ孫に当たられるフランソワ・マルブリュノさん、そして、今回の展覧会の開催に尽力された「北野・山本地区をまもり、そだてる会」の会長、浅木隆子さんが市役所を訪問してくださり、展覧会開催に至る経緯などをお聞きすることができました。

会場には、広壮な領事邸や屋敷の中の調度品、フォサリウ一家が舞子海岸に遊んだ様子などを映した写真などが展示されていました。
フォサリウ一族の家系図も展示されていました。
これらの写真は、代々子孫に引き継がれたそうです。
展示の説明で、フォサリウ領事の母上と生後3か月の長男が神戸で亡くなり、神戸の外国人墓地に眠っていることを知りました。
お墓は今でも神戸市によって、大切に管理されています。
子孫の方々から神戸市への謝辞が浅木会長を通じて伝えられ、ありがたく存じました。


2017年12月6日
から 久元喜造

職員の地域貢献活動を支援


昨日の記者会見で、読売新聞の記者の方から神戸市の職員の地域貢献について質問を受けましたが、きょう、記事として取り上げられていました。
記事の内容は、神戸市の職員有志が今夏から、経済的理由で学習塾へ通えない中学生を対象に、ボランティアで学習塾を運営している様子を紹介するとともに、神戸市の取り組みにも触れるものでした。
職員有志のみなさんは、「インターネットを通じた寄付で運営費を賄うなどし、手弁当で息の長い活動を目指している」とのことでした。

神戸市の職員が、仕事としてではなく、市民として、地域で起きているさまざまな問題の解決のために汗を流すことは、とても意義があることだと思います。
職員として培ってきた知識や経験を活かし、さまざまな活動を行ってほしいと願います。
職員のみなさんは、人のために役に立ちたい、地域のために貢献したいという想いを抱いて、市職員としての道を選ばれたことと思います。
地域活動への貢献は、職員として与えられた仕事の遂行とは違う方法で、そのような想いを具体化していくことにつながるように思います。
勤務時間外に地域で活動し、地域の現実や空気に触れることは、職務を遂行する上でも得るところが大きいのではないかと感じます。

また、第二の人生が長くなっている今日、退職後に息長く地域に貢献していくことは、とても有意義ではないかと感じます。
高齢者部分休業制度(2017年11月14日のブログ)をうまく使っていただき、なだらかに、第一の人生から第二の人生に移行していただければと願っています。