久元 喜造ブログ

2019年1月12日
から 久元喜造

神戸の歴史「県政150年」「明治150年」


昨年は、神戸開港150年、兵庫県設置150年の年でした。
初代兵庫県知事、伊藤博文公の台座周辺の環境整備を行ったことを踏まえ(2018年10月12日のブログ)、伊藤博文公の銅像・台座や大倉山の整備を記した「神戸市史」の補遺を編むことができないか、企画調整局にお願いしていたところ、昨年12月に、神戸市史紀要「神戸の歴史」第27号 として刊行することができました。
年始に読みましたが、たいへん興味深い内容でした。

研究論文は、以下のとおりです。
瀧井一博「開港期神戸と初代兵庫県知事伊藤博文」
津熊友輔「伊藤博文銅像・台座と大倉山公園」
山本一貴「幻の神戸市公会堂の建設計画と設計競技」

瀧井論文の冒頭には、神戸海洋博物館のメインエントランスに置かれてある、19世紀英国の軍艦、ロドニー号模型の写真が掲載されています。
1868年1月1日、神戸開港の日、ロドニー号を旗艦とする英国艦船団12隻が兵庫港に来航します。
このロドニー号に長崎から乗船して神戸の地に降り立ったのが、後の伊藤博文公でした。
同論文は、初代兵庫県知事としての事績、そこから垣間見える伊藤博文公の政治思想の原点について語っています。
津熊・山本両論文は、それぞれ銅像・台座と公会堂建設をめぐり、戦前の大倉山で展開された物語です。
公会堂の設計コンペに応募された作品の写真も掲載されています。

お忙しい中、論文を執筆してくださいました瀧井一博先生をはじめ研究者の先生方、紀要を編んでくださいました神戸市文書館のみなさんに感謝申し上げます。
本号は、定価500円(税込み)で市内書店で販売されています。
店頭で手に取ってご覧いただければ幸いです。(文中敬称略)


2019年1月7日
から 久元喜造

本邦初?「つなぐ課」設置


来年度の組織改正で検討しているのが、「つなぐ課」の設置です。
組織と組織をつないで、政策課題に一体となって対応することができるようにするための取り組みです。
国でも地方自治体でも、縦割り行政の弊害は、頭の痛い問題であり続けてきました。
とくに国、規模の大自治体では、組織の階層が多く、細分化され、国民・住民から見れば、どこで何をやっているのかわかりません。
切実な課題を抱えて相談に訪れた市民や企業がたらい回しにされ、あちこちに足を運ばされたりしています。

神戸市でも、縦割り行政の打破を目指すための取組みは進めてきました。
「市民・職員協働プロジェクトチーム」のほか、庁内のプロジェクトチームを設置し、有益な提言を出してもらったことはありますが、結局は、各課室それぞれの施策として具体化されるという改善策にとどまってきました。
縦割り行政の抜本的な改革には、結びついていません。

新年度、企画調整局に設置を検討している「つなぐ課」は、定常的な仕事は持たず、ひたすら各局部、課室の橋渡しを行う組織です。
特定の政策課題に対して、どのような施策が行われているのか、それらが整合性のとれた形で、連携をとりながら実施されているか、市民に届いているかなどを点検します。
役所の中の行政組織を「つなぐ」だけでなく、市民、地域団体やNPOなどと行政を「つなぐ」役割も期待しています。
「つなぐ課」の職員に求められるのは、リサーチ能力です。
ある意味、記者のような取材能力が求められる仕事です。
まずは、ひたすら庁内、地域を歩き周り、丹念に取材し、問題の所在を明らかにしてほしい。
縦割り打破のため、是非、成果を上げていきたいと思います。


2019年1月4日
から 久元喜造

神戸市「新年合同祝賀会」


御用始めのきょう、ポートピアホテルで、恒例の合同新年祝賀会が開催されました。
経済界、政界、行政、文化・スポーツをはじめ各界の約1,600名が出席されました。
開会に先立ち、スーパーストリングスコーベ による弦楽合奏が披露されました。


昨年暮れ、松方ホールで、スーパーストリングスコーベ の演奏を聴き、たいへん感動したことを想い起します。
私からは、今年も世界水準の素晴らしい演奏を、多くのみなさんに届けていただくよう、期待を申し上げました。

今年は、1889(明治22年)に神戸市が市制を施行して、130年になります。
そしてこの年、新橋と神戸間の鉄道の全線が完成し、東海道本線が開通しました。
神戸は、海上交通・陸上交通の拠点として発展してきた都市です。
私からは、昨年12月22日の大阪湾岸道路西伸部着工式、24日の三空港懇談会の開催、27日の北神急行の神戸市交通局への譲渡交渉に関する阪急電鉄との共同記者会見に触れつつ、今年は、陸・海・空の要衝としての神戸をさらに発展させる決意を申し上げました。
人と物の流れをさらに活発化し、神戸と神戸経済が関西全体の発展に寄与できるよう、全力で取り組んでいきます。

人口減少時代に入り、神戸の都市としての価値、ブランド力を高めていく取り組みが求められます。
今年は、我が国で初めてのラグビーワールドカップが神戸でも開催されます。
たくさんのみなさんに神戸の街を満喫していただけるよう、神戸観光局とも連携し、態勢強化を加速させます。
神戸を見違えるような街に進化させることができるよう、全力で取り組んでいきますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2018年12月31日
から 久元喜造

神のお告げに背いたかもしれない。


今年、5月、丹生神社に参拝し、おみくじを引いたところ、「末吉」でした。

「風さわぐ 秋の夕は 行船も
いりえ しづかに 宿を定めて」

運勢は、
何事も進みいずるは宜しからず
心静かに諸事控え目にし、これまでの職業を守り、身を慎みて勉強すべし。
その内に悪しき運気去りて幸福の時来るべし

とありました。

一年を振り返ると、迷うところもありましたが、諸事控えめにせよ、というこのお告げは、あまり守らなかったように感じます。

このおみくじを引いてほどなく、市役所にヤミ専従が横行している、という情報に接しました。
当局も含めた市役所ぐるみの慣行であることが推認され、不用意に動くと、文書の改ざんなど隠ぺい工作が行われる可能性も否定できませんでした。
ずいぶん悩みましたが、9月には第三者委員会を設置し、徹底的な調査に踏み切りました。
これまでの調査では、この悪しき慣行の淵源は昭和20年代にまで遡り、数十年にわたって続けられてきたことが明らかになってきています。

北神急行の運賃問題は、これまでも悩みの種でした。
抜本的な引き下げを実施するには、神戸市交通局がこれを引き受けるしかないと思い定め、水面下で協議を開始しました。
御用納めの直前ぎりぎりに、阪急電鉄と交渉開始について合意し、共同記者会見を行うことができました。

いずれも、前に進めるには大きなリスクを孕んだ課題でした。
結論は、来年に持ち越されます。

心静かに年を越し、新しい年を迎えたいと思います。
年が明けると、スピーディーに作業を進め、速やかに結論を出していきたいと考えています。
今年一年、お世話になりましたすべてのみなさまに、心より感謝申し上げます。


2018年12月28日
から 久元喜造

すでにあるインフラを活用すべきだ。


12月22日、大阪湾岸道路西伸部の起工式が行われました。
これまで待ち望まれながら、なかなか進まなかったプロジェクトが始動しました。
遅れている関西のインフラ整備。
スピード感を持って取り組んでいくことが大事です。

同時に、人口減少時代を迎え、新しいインフラ整備への投資とともに、すでにあるインフラをどう有効活用していくのか、という視点も大事です。
そこで浮かび上がってくるのが、30年前に開通した、 北神急行 です。
神戸電鉄との結節点の谷上駅から、新幹線の新神戸駅まで、およそ8分、神戸の玄関、三宮まで、わずか10分で結びます。

抜群のアクセス性を持ちながら、利用者数は伸び悩んできました。
理由は、高い運賃です。
谷上駅から新神戸駅までは、北神急行が、新神戸駅から三宮までは、神戸市営地下鉄が運行します。
神戸市と兵庫県が毎年2億7千万円を補助してきましたが、初乗り運賃がかかる結果、谷上から三宮までは、540円です。
ほぼ同じ運賃で、阪急三宮からは、京都市内の桂まで行ける料金です。

高すぎる運賃をさらに引き下げて、北神急行の利用者増を図り、神戸市北部の活性化を目指したいと、阪急電鉄と水面下で協議を進めてきましたが、大きな方向性で意見が一致し、神戸市交通局が北神急行の経営を引き継ぐ方向で交渉を開始することで合意しました。

人口減少時代を迎え、必要なインフラを整備するとともに、すでにあるインフラを有効に活用して、街の活性化を図っていくことが必要です。
今回の交渉がうまく行けば、ほとんど投資を行うことなく、神戸の活性化に大きな一歩を踏み出すことができます。
実現に向けて、全力で取り組んでいきます。


2018年12月25日
から 久元喜造

8年ぶりの「関西三空港懇談会」


今朝の新聞各紙が報じていますように、昨日、大阪で、「関西3空港懇談会」が開催され、出席しました。
関西国際空港、伊丹の大阪国際空港、そして神戸空港の役割分担などを議論する懇談会で、国土交通省、関係自治体の知事・市長、㈱関西エアポート、経済界などから構成されます。
前回開催されたのは2010年ですから、8年ぶりの開催となります。

この間、関西の航空需要は大きく拡大しました。
この4月には、神戸空港のコンセッションが行われ、3空港一体運用が実現しました。
また、台風21号による被害を踏まえた災害対応力の向上も課題となっています。

昨日の懇談会では、これらの環境変化を踏まえつつ、3つの空港の最適活用のために何をすればよいのかについて、議論が交わされました。
私からは、関西国際空港を基幹空港として、3つの空港が適切に機能分担しながら関西全体の航空需要の増大に寄与していくことが重要であること、そして、3空港の一体運用が実現した今、実質的な運営主体である㈱関西エアポートの意見を尊重する必要があることを申し上げました。
その上で、まずは、発着枠の拡大、運用時間の延長などが求められることを説明しました。

懇談会の議論や雰囲気からは、神戸空港の役割拡大についての理解が深まっていることを感じました。
終了後の記者会見で、座長の松本正義関経連会長は、「短期的には神戸空港の利活用が議論の中心になる」とおっしゃっています。
神戸空港をめぐる環境は、おかげさまで、大きく変わってきています。
今日の議論を踏まえ、3空港の利活用についての議論を加速させ、ひとつずつ具体的な成果に結実させていくことができるよう、全力で取り組んでいきます。


2018年12月22日
から 久元喜造

イタリアンレストランも東京一極集中?


少し前のことになりますが、12月7日に開催された 神戸ルミナリエ 点灯式に、ジョルジョ・ストラーチェ駐日イタリア大使 が出席してくださいました。
このとき、大使からいただいたのが、日本のイタリア料理レストランのカタログでした。
それぞれのレストラン自慢の料理がきれいな写真付きで紹介されていて、楽しく読ませていただきました。

カタログの冒頭に掲載されている大使のご挨拶には、次のように記されてありました。

「東京と大阪を主に、北は北海道から南は沖縄まで日本各地に散在する最も素晴らしいイタリアンレストランの選りすぐりの140軒をセレクトして紹介しております」

確かに、地域別に数えてみると、
東京23区が、35軒
大阪市内が、16軒
これに対し、神戸は、3軒 でした。
ちなみに、札幌、横浜、名古屋がいずれも1軒なのに対し、ともに海産物が美味しい、富山市内が6軒、小田原市内が4軒と目立ちます。

別に気にすることはないのかもしれません。
しかし、「食都 神戸」を目指しているのに、少々寂しい気がします。
もちろん、オーナーやシェフの方の中には、「お馴染みさんが来てくれればいい」という方もいらっしゃるでしょうが、全体として、神戸の「食」の存在を、もっと全国に、そして海外にも発信するというアプローチがあってもよいのではないでしょうか。

来街者を増やしていくために、行政としてもしっかりと取り組んでいきます。
魅力のあるお店に関する情報発信を強化し、このことが来街者の増加につながり、お店を訪れるお客が増え、さらに素敵なお店が神戸に集積していくという好循環をつくっていければと感じます。


2018年12月18日
から 久元喜造

神戸市職労「英語による政策討議」批判

きょうの午前中、職員研修所で、「英語による政策討議」が行われ、私も参加しました。
テーマは、外国人市民のみなさんに気持ち良く暮らしていただけるようにするための方策でした。

この「英語による政策討議」に冷ややかな視線を向けるのが、神戸市職労です。
機関紙「公鏡」(2018年7月1日)は、次のように批判しました。
新聞でも報道された「英語による政策討議」が盛り上がらない。平成28年11月に始まり、本年2月に第5回目が開催されている。のべ66人が参加し平均して13人と低調だ

この指摘は、事実に反します。
確かに、きょう討議に参加した職員は10名でしたが、これは、充実した討議ができるようにするため、発言する参加者の数を制限しているからです。
討議参加者のほかに、31名の職員が聴講し、討議に聞き入りました。
きょうで6回目になりますが、これまでに、75名の職員が討議に参加し、聴講者は183名、合計258名の職員が参加したことになります。

神戸市職労がどうして事実を捻じ曲げてまで、この研修を批判するのか、私には理解できません。
神戸は、我が国を代表する国際都市です。
外国人住民も、外国人観光客も増えています。

職員の英語力を高めていくための取り組みがどうして気に障るのでしょうか。
この研修は、職員の自発的な意欲が前提になっており、参加を強制してはいません。
私も決して英語は得意ではありませんが、少しでも英語力を高めたいと思い、参加しています。
市職労のみなさんには、もうそろそろこんな後ろ向きの姿勢ではなく、私たちの組織が前を向いて進んでいくことができるよう、協力していただきたいと願います。


2018年12月15日
から 久元喜造

山崎史郎『人口減少と社会保障』


著者は、社会・援護局長、総理秘書官などを務めた厚生労働官僚で、社会保障制度に精通する一方、幅広い人脈を持ち、地域の実情にも通じておられるようです。
人口減少社会における社会保障はどうあるべきなのか、私たちはそれぞれの立場で何をすべきなのかについての視点や提言は、説得力があります。

筆者の視点は幅広く、包括的です。
大きな視点に立った時、日本の社会保障制度は、縦割りの社会保険方式によって支えられており、社会保険方式が導入された分野(例えば、介護保険)では、「費用負担について国民の理解が比較的得やすく、その結果、サービスは拡大しやすいが、社会保険の論理が成立しづらい分野は、サービスの拡大がなかなか進まない」のが実情です。
後者の典型が「子育て支援施策」であり、諸外国に比較して、大きく立ち遅れています。
国による制度の充実が急がれるとともに、自治体も全力で取り組んでいかなければなりません。
大きな方向性は、「全世代型」の社会保障です。

著者の包括的視点は、「すまい」にも向けられます。
我が国では、住宅行政と社会保障行政が分立した形で展開されてきました。
人口減少時代においては、その連携、さらには融合が図られる必要があります。
居住空間の「希薄化」に対して、サービス形態の革新、生活関連サービスを集約した拠点の整備、「住み替え」の促進、空き家、空き地の利活用などが挙げられており、これらの施策はいずれも自治体が対応しなければならない分野です。
どうすれば、行政組織内の縦割りを排し、市民、企業、NPOなどの参画を得て、政策の刷新を図ることができるのか、自治体の力量が問われるところです。


2018年12月9日
から 久元喜造

三ツ星ベルト・ニューイヤー・コンサート2019


㈱三ツ星ベルト は、来年創業100周年を迎えられます。
西河紀男会長は、昨年1月17日、NHKニュースに出演され、震災の時のことを語っておられました。
震災時には、会社と街を守り、その後も防災訓練や地域貢献を続け、今日を迎えられました。
創業100周年を記念し、2019年新春、華やかなコンサートが開催されます。

ウィーン・サロン・オーケストラ ニューイヤーコンサート2019」。

2019年 1月6日(日) 午後7時 開演
神戸文化ホール 中ホール

音楽の都、ウィーンで抜群の人気を誇る名門オーケストラで、優雅な響きが新春を彩ることでしょう。
モーツァルトのピアノ協奏曲 第26番 KV537「戴冠式」では、家内の久元祐子がピアノを弾きます。
メインは、ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」「皇帝円舞曲」などウィーンゆかりの名曲です。

チケット: SS席:10000円(売り切れ)、S席:7000円、A席:5000円

お問い合わせ先:神戸文化ホール のプレイガイド
078-351-3349 (10:00~18:00)

お申し込みフォーム

とても楽しいコンサートになることと存じます。
たくさんのみなさんにお越しいただければと願っています。