久元 喜造ブログ

神戸における空き家対策の重要性


空き家対策はどこの地域でも求められますが、神戸ではとりわけ重要です。
もっとも力を入れなければならない分野のひとつです。
なぜなら、神戸における空き家の増加は、神戸の街づくりの歴史と密接に関連している からです。

空襲で壊滅的に破壊された神戸の街は、戦後、急速に復興しました。
戦災復興事業も進められましたが、その一方で、山麓部が次々に開発され、家が建っていきました。
都市計画の線引きもなく、建築ルールも不十分な中で、無秩序な開発が進められていったのです。
このような開発ラッシュから、地域によってはすでに70年近い年月が経過し、多くの家屋は老朽化して人口が流出し、空き家が増えています。
老朽危険家屋が増え、ごみステーションや街灯の管理もままならず、荒廃が進んでいる地域もあります。

1960年代に入ると、人口増加に対応し、市街地の過密を解消するため、灘区、東灘区、須磨区などで計画的な団地造成が始まり、さらに、現在の西区、北区ではニュータウンの開発も進められました。
これらの計画的開発地域が生まれてからすでに半世紀近い歳月が流れ、空き家が増えている地域も見られるようになっています。

このように、神戸市は、かつて短期間に集中的に開発された地域が一気に老化し、大量の空き家が生まれる宿命を背負っています。
「他都市並み」にと、のんびりやっていては、都市の空洞化が進み、人口減少が加速する要因にもなります。
新年度予算には、空き家・空地対策として、これまでにない施策も盛り込みました。
全庁一丸となり、使える空き家の有効活用、そしてすでに存在している老朽危険家屋の除去を、断固たる決意で進める必要があります。