久元 喜造ブログ

2017年10月31日
から 久元喜造

「総合性」について①


記者会見で、どうしても記者のみなさんと噛み合わないことがあります。
選挙の翌日の記者会見(10月23日の会見)で出されたのは、
「まず最初に取り組もうと思っていることを一つお願いします」
でした。

振り返れば、当初予算の発表のときに必ず訊かれるのが、
「今年の目玉は何ですか?」
です。
また、人口減少がよく話題になる昨今、
「人口減少を食い止めるためには、まず何をやらなければいけないと考えていますか?」
という質問もよく受けます。

私は 、
「ありとあらゆる施策をしっかりとバランスよく進めるということです」
と、答えましたが、質問された記者の方はご不満だったことでしょう。
これでは記事にしようがない、という記者のみなさんのお気持ちはよくわかります。

しかし、誠実に仕事を向き合おうとしている立場から申し上げれば、そのようにしか答えようがない、というのが率直な気持ちです。
人口減少を食い止めるためには、出生数を増やし、他地域への人口流出を減らし、他地域からの人口流入を増やすことが必要ですが、そのために、何か一つのことだけをやればよい、というものではありません。
医療・福祉、環境、教育、交通、芸術・スポーツなどあらゆる分野の政策を効果的に組み合わせてバランスよく実施し、市民生活の水準を引き上げ、魅力のある地域にしていくこと以外に方策はないのです。
行政が、総合性を発揮し、目に見える成果を挙げることが、地道なようで大事なのではないでしょうか。
何か一つ、話題をつくることは、ときには大事かもしれませんが、いっとき話題になっても、情報の洪水の中ですぐに忘れ去られてしまうからです。


2017年10月28日
から 久元喜造

所有者不明土地対策が動き出した。


一昨日の毎日新聞などに、国土交通省の「国土審議会土地政策分科会特別部会」における所有者不明土地問題の検討状況に関する記事が掲載されていました。
また、NHKニュースでも「所有者不明土地問題研究会」の座長を務めておられる増田寛也さんの記者会見の模様も放映されていました。

特別部会では、国土交通省から、所有者不明土地対策として必要な事項を盛り込んだ法案を次期通常国会に提出する方針が説明されました。
具体的には、道路事業などの土地収用制度対象事案で所有者不明土地について土地収用手続きの簡素化を行うこと、所有者不明土地に自治体の利用権を設定して防災空地の整備や直売所の設置などを可能とすることなどです。
また法務省からは、現在、検察官又は利害関係人に限定されている相続財産管理人選任の申立権者に地方自治体を加えることが示されました。

私はかねてよりこの問題に取り組む必要性を強く感じていたことから、増田さんの研究会と上記特別部会に参画するとともに、私が部会長を務める指定都市市長会総務財政部会において「所有者不明土地対策の推進に関する提言」を取りまとめ、国に対して要請を行ってきました。(2017年7月7日のブログ

このように、所有者不明土地問題については、早くから問題意識を持ち、深くかかわってきましたので、解決に向けた対策が動き出したことをとても喜んでいます。
これらの議論に引き続き積極的に参画し、所有者不明土地問題の解決に向けてしっかりと取り組んでいきます。
神戸市としても、制度改正を見据え、空き地・空家問題、所有者不明土地への対応を強化していきます。


2017年10月23日
から 久元喜造

再び市政を担わせていただきます。


神戸市長選挙が、昨日、10月22日(日)に執行されました。
午後8時過ぎ、報道機関から当選確実の情報が流れ、事務所でご挨拶申し上げました。
ちょうど台風21号が本州沖を通過中で、天気は大荒れです。
このような状況の中をお越しくださいましたみなさまに対し、感謝とお詫びを申し上げました。

このころ、神戸では、風速40メートルの暴風が吹き荒れていました。
頭の中は、被害や避難の状況はどうなっているか、初めての国政と市長選挙の同日選挙を、このような大嵐の中で無事執行できるのか、道路が途絶したら投票用紙を運搬できるのか、といったことで頭がいっぱいでした。
万歳三唱はとりやめ、せっかく祝福にお越しいただきましたみなさまには申し訳ない想いでしたが、短時間で終えました。
その後、報道機関からのインタビューが続き、質問には誠実にお答えしました。

再び、市長の重責を担うこととなり、身が引き締まる思いです。
お約束した 政策 をスピーディーに実施し、神戸を「さらなる高み」へと押し上げていくため、しっかりと仕事をしていきたいと決意しています。

きょうは、予定していた登庁式は中止しました。
また、区長以下、区役所の職員は、徹夜に近い状態のみなさんが多く、事務も残っていることを考え、幹部職員への挨拶も取りやめました。
選挙で2週間、市役所を留守にしましたが、この間、新たな課題も出てきています。
目の前の課題、そしてじっくりと取り組んでいかなければならない課題に、全力で取り組んでいきます。


2017年10月19日
から 久元喜造

昔よりマナーはよくなったと思う。


選挙戦が始まって、市内のあちこちにお邪魔しています。
これまで気づかなかったこと、知らなかったことがたくさんあります。

改めて、犬の散歩をしている方がたくさんおられることを知りました。
ほとんどの方が、糞を包んで持ち帰り、小用を足した後に、ペットボトルで水をかけておられる光景に接しました。

限られた記憶ではありますが、1960年代の神戸で、犬の糞の始末をする人はほとんどなかったのではないかと思います。
さらに記憶の幅を広げれば、電車のホームでも、並んで待つ人はまったくいなかったと言ってよいでしょう。
長距離の急行などが到着すると、窓から荷物を投げ入れて座席を確保する人がたくさんいました。

記憶をたどれば、東京オリンピックのころからマナーは改善に向かい、1970年代に入ると、かなりよくなったような気がします。
衣食足りて礼節を知る、という面もあるのでしょうが、これまでの間、学校教育や地域活動などさまざまな場面で、人間の内面を磨くとともに、マナーの向上に精魂を傾けた方々の努力も忘れてはならないと思います。

阪神・淡路大震災、東日本大震災という想像を絶する困難の中にあっても、冷静で落ち着いた行動ができた日本人に対して、海外から称賛が寄せられました。
私たちは、今の日本人のマナーなど所作のありように誇りを持ってよいのではないかと思います。
そして、それらを磨き、向上させていく意欲を共有したいと感じます。


2017年10月15日
から 久元喜造

人間の資質は多様だ。

神戸新聞が、10月12日、13日と、市長選挙の候補者にアンケートを行ってくださいました。
設定された質問の中に、「自身の長所は?」という項目がありました。
「発想力・企画力」「知識・経験」「行動力」「決断力」「発信力」などの中から、自分の中に占めている割合を最大5つ、10%単位で答えるものです。
ほかの候補者のみなさんは、素直に数字で答えられていましたが、私は、「人の構成要素は多様であり、数値化できるものではないと考えます」とお答えました。

人間の資質や能力は、5項目に限られるものではありません。
たとえば、市長を4年近くやっていて、この仕事にはつくづく「忍耐力」が必要だと感じます。
また、大所帯の組織を束ねる「マネジメント能力」、危機管理につながる「危機察知能力」は不可欠です。
自分にはこれらの能力がまだまだ不足しており、進化させていかなければならないと感じています。

そもそも人間の能力は、言葉では言い表せない複雑、多様な要素が絡み合って出来上がっているのであり、自分の中の〇〇力の存在はどれくらいかという発想で、自分自身を省みたことはありません。
仮に、上記5つの項目に絞って考えるにしても、それらの能力がどのように発現されべきかは、置かれた状況により異なりますから、これも答えようがないのです。

候補者も人間です。
人間は一人ひとり違っているし、違っていてよいのです。
報道機関が定める一定の尺度に合わせて、機械的に答えよ、と求めるのは、人間存在に対する根本的な理解を欠いているようで、残念です。


2017年10月13日
から 久元喜造

選挙事務所にお越しください。


私の選挙事務所は、東遊園地の向かい側、フラワーロードから少し入ったところにあります。(住所
喫茶店「テンプル」が入っているビル1階の、少し奥まったところです。

もし、お時間がありましたら、選挙事務所をできるだけ訪れていただきたいと願っています。
選挙事務所は、私を支援してくれる方に対してはもちろんのこと、選挙に行くかどうか、また、行くにしてもどの候補に投票するか迷っておられる方にも、開かれています。
選挙活動がどのように行われているのかについて、雰囲気の一端に触れていただきたいと思います。

一昨日の10月11日、選挙事務所に、神戸大学の学生のみなさん約20名が訪問してくれました。
私からは、用意していたパネルを使って、選挙権年齢が18歳になった国別の時期の比較、選挙のルールにおける我が国の後進性、そのことを前提としての選挙活動の実際などについて説明しました。

その後、ディスカッションに移り、ぎりぎりまで、たくさんの質問がありました。
「どうして市長選挙に出馬する気になったのか」
「希望の党に推薦依頼をしないのはなぜか」
といったさまざまな質問が出され、わかる範囲で、率直にお答えしました。

「主権者教育」(この言葉には大いに違和感を覚えますが)の必要性が論じられている中、若い世代のみなさんが選挙の雰囲気に触れることは意味があると感じます。
あらかじめご相談いただければ、日程を調整のうえ、可能な範囲で私が対応させていただきます。


2017年10月10日
から 久元喜造

若い世代も投票を。


衆議院議員選挙が本日10月10日に公示され、22日の投票日に向けて12日間の選挙戦に入りました。
私自身も現在、神戸市長選挙の候補者として、市内を奔走しているところです。

あらためて投票率の推移を見ますと、昨年の参議院議員選挙の投票率は、54.70%
50年前の昭和42年の衆議院議員総選挙の投票率は、73.99%でした。
投票率は大きく低下しています。

昨年の選挙の投票率を年代別に見ますと、高いほうから、
60歳代 70.07%
50歳代 63.25%
70歳代 60.98%

低いのは、
20歳代 35.60%
30歳代 44.24%

中高齢者の投票率が高くなっています。

50年前の投票率はどうだったでしょうか。
高いほうから順に申し上げると、
50歳代 82.68%
40歳代 82.07%
30歳代 77.88%

70歳代 56.83%
一番低かったのです。

20歳代 66.69%
70歳代よりも高い水準でした。

投票率の低下の大きな要因は、働き盛りの世代、若い世代の政治離れだと説明できます。

近年、若い世代向けの施策の充実が叫ばれています。
保育所待機児童の解消、学童保育や教育環境の改善などです。
これらの施策を含め、若い世代の意見を政治に反映させるためには、もっと若い世代に投票に行っていただく必要があるのではないでしょうか。
各候補者がどのような政策を進めようとしているのか、十分に吟味し、見極めたうえで、若い世代の声を政治に届けていただくよう、お願いいたします。


2017年10月7日
から 久元喜造

市長選挙の政策


明日、10月8日(日)に告示される神戸市長選挙に向けた政策は、去る9月28日に記者会見を開き、発表しました。
私は、現職ですから、次の選挙に向けた政策をつくる前提として、前回お約束した政策の実現状況について、説明する責任があります。
そこで、私のウェブサイトに、前回の政策についての取り組み状況についてアップしました。(政策の取り組み状況
また、これらのうち、主要なものについて、数値や写真なども取り入れながら、アップしています。(主な実績

その上で、今回の選挙に臨むにあたっての政策を作成しました。(久元きぞうの政策

是非、ごらんいただきますよう、お願い申し上げます。
「6つの柱」からなる政策群です。
市民のみなさんの知恵を集め、これらの政策を強力に実現させます。

きょうは、午前中、「音楽のまち神戸を創る会」主催で公開討論会が開催されました。

午後は、一般社団法人神戸青年会議所主催による公開討論会が行われました。

このように、立候補予定者が一堂に会して政策を議論する機会を設けていただきましたことは、とても有意義だったと思います。
残念ながら、以前存在した立会演説会の制度が廃止され、選挙期間中にこのような機会がないことはとても残念ですが、選挙戦を通じ、政策論争をしっかりと展開していきたいと念じています。


2017年10月5日
から 久元喜造

能力が衰えた分、何かが育つ。


朝日新聞に掲載されていた、宮下奈都さんのエッセイを読みました。(朝日新聞 2017年9月30日)
宮下奈都さんの小説『羊と鋼の森』については、以前 2016年6月4日のブログ で書きました。
その繊細な感覚を思い起こさせる、しみじみとしたエッセイでした。
題して、「カラメルの秋」。

プリンの底に敷くカラメルの味が苦いのは嫌だ、という子どもさんのために、細心の注意を払ってきたのに、うっかりカラメルを焦がしてしまった、という体験について記されていました。
宮下さんは、もともと嗅覚には自信があり、「幼い頃から、家族の誰にもわからないような匂いを当てた」そうです。
この繊細な感覚は、『羊と鋼の森』にも表現されています。
「鼻がいいことが私のひそかな自慢だった」宮下さんは、「がっかりし続けるわけにもいなかい」と思い直し、こう続けます。

「何かが衰えたとしても、それで不しあわせなわけではない。少しさびしいけれど、しかたがないなと思えたらいい。能力が衰えた分、きっと育っているものもあるはずなのだ

とても、元気をいただきました。
私も、ありとあらゆる能力が減退しているのを感じながら、それでも、何とか踏ん張れているのは、自分の中に、「きっと育っているもの」があるからなのだと気づきました。
家族や周囲のみなさんからの励ましのお蔭で、自分の中に何か新しいものが芽生え、息吹き、育っているのでしょう。

「カラメルの秋」
タイトルも素敵ですね。
私も、宮下さんと同じ想いで、「高い空にちぎれた白い雲」を見上げました。
秋が深まりゆく神戸。
元気いっぱい、明日も踏ん張ります。


2017年10月2日
から 久元喜造

「フレックスタイム」の導入


以前、神戸市役所における「働き方改革」についてブログで書きました。(2017年8月21日のブログ
市役所全体が明るく、働きがいのある職場になってほしい、市民のために高いパフォーマンスを発揮する市役所にしたいと念じます。

改革を支える柱の一つが、多様な働き方の推進です。
若年の子育て世代が増加する一方で、介護を理由に離職する職員もいます。
家庭の事情と仕事とを両立できる環境を整備することが、組織として持続的に最大限の力を発揮できることに繋がります。

具体的な取り組みを次々に初めていますが、そのひとつの方策が「フレックスタイム」です。
「公務の運営に支障がないと認められる範囲内で、始業及び終業の時刻について職員の申告を考慮して、勤務時間を割り振る」制度です。
平たく言えば、いろいろな事情に応じて、柔軟な勤務時間を設定しようとするものです。

現在、職員の勤務時間は、8時45分から昼休みを挟んで、17時30分までと一律に定められています。
これを以下のように改めます。

全ての職員が共通して勤務しなければならない「コアタイム」を、午前10時から12時、午後1時から3時の時間帯とします。
そして、勤務の始業・終業時刻を設定できる「フレキシブルタイム」を、午前7時から10時、午後3時から10時の時間帯とします。
つまり、コアタイムの前後に、職員の意向を踏まえた柔軟な勤務時間を設定できるようにするものです。

政令市では、全国初の本格導入となります。
「働き方改革」を進める一助になればと願っています。