神戸新聞が、10月12日、13日と、市長選挙の候補者にアンケートを行ってくださいました。
設定された質問の中に、「自身の長所は?」という項目がありました。
「発想力・企画力」「知識・経験」「行動力」「決断力」「発信力」などの中から、自分の中に占めている割合を最大5つ、10%単位で答えるものです。
ほかの候補者のみなさんは、素直に数字で答えられていましたが、私は、「人の構成要素は多様であり、数値化できるものではないと考えます」とお答えました。
人間の資質や能力は、5項目に限られるものではありません。
たとえば、市長を4年近くやっていて、この仕事にはつくづく「忍耐力」が必要だと感じます。
また、大所帯の組織を束ねる「マネジメント能力」、危機管理につながる「危機察知能力」は不可欠です。
自分にはこれらの能力がまだまだ不足しており、進化させていかなければならないと感じています。
そもそも人間の能力は、言葉では言い表せない複雑、多様な要素が絡み合って出来上がっているのであり、自分の中の〇〇力の存在はどれくらいかという発想で、自分自身を省みたことはありません。
仮に、上記5つの項目に絞って考えるにしても、それらの能力がどのように発現されべきかは、置かれた状況により異なりますから、これも答えようがないのです。
候補者も人間です。
人間は一人ひとり違っているし、違っていてよいのです。
報道機関が定める一定の尺度に合わせて、機械的に答えよ、と求めるのは、人間存在に対する根本的な理解を欠いているようで、残念です。