久元 喜造ブログ

2023年5月1日
から 久元喜造

牧原出『田中耕太郎』

10年を超えて最高裁判所長官を務めた田中耕太郎の経歴は、実に多彩です。 東京帝国大学法学部を卒業し、内務省に入省しますが、すぐに大学に戻り、助教授・教授として学部、大学全体の運営にも関わりました。 1930年代になると、 … 続きを読む

2023年3月12日
から 久元喜造

佐藤 優『よみがえる戦略的思考』

ウクライナ情勢は、日々刻々と変化しています。 本書が刊行されたのは、昨年(2022年)10月ですが、ロシアのウクライナ侵攻から1年余りが経った今日において、終戦の気配が見えないという状況は変わっていません。 本書は、我が … 続きを読む

2023年2月26日
から 久元喜造

宮内 悠介『かくして彼女は宴で語る』

本書について、著者自身はこう記しています。 「本作は、アイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』の形式を、明治期に実在した会に当てはめた」 「したがってアシモフにならい、覚え書きを附すことにした」 こうして、明治時代の終わ … 続きを読む

2023年2月13日
から 久元喜造

瀧井一博『大久保利通』

大久保利通と西郷隆盛が幼少期から近所同士で、竹馬の交わりを結んだことは知られています。 西南戦争で非業の死を遂げた西郷に比べ、大久保利通に対する人びとの視線は冷たく、冷酷な独裁者とのイメージが定着しました。 著者は、出店 … 続きを読む

2023年1月28日
から 久元喜造

川本三郎『荷風の昭和』

だいぶ前に知り合いからもらった雑誌のコピー『荷風の昭和』を、夜遅くときどき読んでいます。 今回のテーマは「市川左團次との親交」。 親しい友人をつくろうとしなかった永井荷風にとり、数少ない友人が歌舞伎俳優の二世市川左團次で … 続きを読む

2023年1月15日
から 久元喜造

揖斐高『江戸漢詩の情景』

帯に、「江戸の人びとの感情や思考のあり方を広く掬い上げ、江戸文学の奥深い魅力へと迫る詩話集」とあります。 文学に造詣の深い方には、文学の観点からの発見や気づきがたくさんあることと想像します。 そうでない私にとり、江戸時代 … 続きを読む

2023年1月3日
から 久元喜造

片山杜秀『音盤考現学』

近年論壇に頻繁に登場する著者は、慶應義塾大学に学び、現在、慶應義塾大学法学部教授。 専攻は政治思想史のようですが、学生時代は三田レコード鑑賞会に所属し、ピアノ調律師で音楽プロデューサーの原田力男が主宰していた「零の会」の … 続きを読む

2022年12月5日
から 久元喜造

永濱利廣『日本病』

著者は「日本病」を、「低所得・低物価・低金利・低成長」と定義します。 「日本病」は、今や海外の国々から日本化(Japanification)と呼ばれ、世界の経済学の研究テーマになっているそうです。 その本質は「デフレスパ … 続きを読む

2022年10月1日
から 久元喜造

饗庭 伸『平成都市計画史』

冒頭、著者は、成熟期を迎えた1968年(昭和43年)の都市計画法には「二つの方向への拡大に対する呪い」が仕込まれたと指摘します。 一つは、横方向への呪い―「線引き」と呼ばれる都市と農村の境界線です。 もう一つは、「容積率 … 続きを読む