「これでいいのか 神戸市」は、2013年7月に刊行されました。
神戸への強い思いを持っておられた3人のライターによる労作です。
当時の神戸と神戸市政についての厳しい言葉が並びます。
「いま神戸市のあちこちから聞こえてくるのは景気の悪い話ばかり
ガラガラの観覧車が寂しく回るハーバーランド、
ゴーストタウンのような一画もあるポートアイランド・・・
飲食店は閑古鳥が鳴く三宮の歓楽街――」
「かつては国際貿易の拠点として港が存在感を発揮し、
のちには鉄鋼や造船といった重工業が街の活気を生み出してきたが、
いまや起爆剤となる存在すら見当たらない」
当時私はすでに副市長の職を辞し、10月の市長選挙の準備に入っていました。
神戸の現状を知る上で、本書をよく読みました。
「不都合な真実を含め、今、神戸が抱えている課題、現実から目を背けることなく、どうすれば、神戸がもっと元気になれるかについて、考えていきましょう」と記しました。(2013年8月10日のブログ)
この12年間、頻繁ではありませんが、ときどき本書を開き、そこに示された危機感、嘆き、神戸への愛情と向き合ってきました。
世の中が移ろっていく中にあって、変化への対応も考えながら、本書が問題提起してくれた風景を少しでも変えられるように取り組んできました。
「神戸市のお財布はスカスカ」と揶揄されましたが、財政の健全性を保ちながら、投資的経費も増やしてきました。
王子公園の再整備も進めました。
「単なる大阪のベッドタウン」になってしまう、との指摘には抗い、三宮などの都心には商業・業務機能の集積を進めてきました。
これからも本書から得られる示唆と向き合い、格闘し続けます。