久元 喜造ブログ

2017年9月21日
から 久元喜造

三宮再整備は何のために。


三宮には、JR、阪急、阪神、地下鉄西神山手線、同海岸線、ポートライナーの6つの鉄道駅があります。
神戸の玄関口にこれだけの駅が集まっていることは、大きな強みです。
しかし現状を見ると、それぞれの駅のコンコースは、地下であったり、地上部であったり、2階や3階とばらばらで、乗り換え動線がたいへんわかりにくい状況にあります。
また、バスターミナルも分かれている上に、遠距離バスの停留所と市内の近距離バスの停留所が入り乱れて配置され、市民のみなさんですらよく迷うという話を聞きますし、来街者や観光客にはまったく不親切です。

三宮の再整備は、不便な現状を改めるため、公共交通と歩行者優先の空間を創出するとともに、バスの乗降場を集約し、バスターミナルを整備しようとするプロジェクトです。
利便性が高く、快適であると同時に、神戸らしい景観が備わった空間に整備していこうとするものです。

このように、三宮の再整備は、巨大開発を進めるためでも、商業床を大量に供給するためでもありません。
政府の成長戦略に足並みを合わせるための施策でもありません。
日本を代表する大都市・神戸の玄関口としてふさわしい姿にしていために進めているものです。

三宮の再整備は、市だけでできるものではなく、民間の知恵と力が必要です。
丁寧にご意見をお聞きしながら、スピーディーに進めていきます。
三宮が生まれ変わることにより、あるいはその過程で、民間の投資活動が誘発され、神戸経済の活性化につながると信じます。


2017年9月14日
から 久元喜造

「暗雲」払いのけ、神戸空港は視界良好。

015年1月28日、神戸空港を拠点空港としている スカイマーク が経営破たんし、民事再生法の適用を申請しました。
当時の新聞記事を改めて読みますと、神戸空港に暗雲がたれこめている、というトーンの記事が目立ちます。

見出しも暗いです。
神戸空港 暗雲どう払う
神戸空港 曇る先行き
赤字の神戸空港 ピンチ
中には、「神戸空港「廃港」も現実味」という見出しもありました。

マスコミ報道の暗い見通しは外れ、スカイマークは、2016年3月、民事再生手続きを終結させました。
債権者への弁済が計画どおりに終わったのです。
経営破綻から1年2カ月で法的な処理を完了したことになります。
佐山展生代表取締役会長、市江正彦代表取締役社長をはじめスカイマークの経営陣のみなさまのご努力に敬意を表します。

最近の記事は、スカイマークの明るい動静を伝えています。
搭乗者 8年ぶり260万人超 スカイが貢献
スカイマーク 路線拡大へ

昨日の神戸新聞朝刊も、
神戸空港 8月搭乗率が最高 86.9%、スカイマークけん引
との見出しで、「搭乗率と搭乗者数は、7月まで4か月連続で各月の過去最高の更新するなど高水準で推移している」ことを報じていました。

おかげさまで神戸空港、スカイマークとも視界良好です。
これまでの方針に基づき、就航各航空会社とともに、粛々と、かつスピーディーに、神戸空港の利活用を進めます。


2017年9月9日
から 久元喜造

KIITO「minneのアトリエ 神戸」の歩み


minneのアトリエ神戸」が、2016年(平成28年)4月、中央区のウォーターフロントの KIITO に開設されてから、1年半近くが経とうとしています。
㈱GMOペパボ が運営する minne(ミンネ) は、自宅にいながら、趣味や特技を活かした作品を商品化して販売し、収入が得られるオンラインマーケットです。

「minneのアトリエ神戸」は、関西を拠点として活躍するハンドメイド作家が集い、ハンドメイドに興味のある方々を支援する支援拠点として、KIITO の2階に開設されました。
国内で2か所目の支援拠点です。

価格のつけ方・写真の撮り方などをレクチャーする会員向けの勉強会が毎月3、4回ほど開催されています。
毎回9人の定員に対し、3倍以上の申し込みがあるとのことです。
人気作家を招いた作品展やイベント、交流会なども開催されてきました。
アトリエの開設をきっかけに、神戸女子大学の学生さんたちとminneの作家さんとのコラボによる物づくり企画などが生まれています。
6月上旬には、アトリエ開設1周年を記念したトークイベント、minneの作家交流会が、神戸に本社がある国内通販大手の㈱フェリシモさんとのジョイント企画として開催されました。

KIITO の中に今春オープンした新しい賑わい創造空間「フェリシモステージ」が会場となり、ハンドメイドに関心のある多くのみなさんが来場されたとお聞きしています。

先日も外から覗かせていただきましたが、今後の展開が楽しみです。


2017年9月4日
から 久元喜造

玉一アクアリウム「魚類図鑑」


先日、市役所で環境功労章をお送りしました団体に、「玉一アクアリウム」があります。
明石川を守り育てる活動をしている小中高生のグループです。

表彰式の後、「明石川魚類オリジナル図鑑 2017年改訂版」をプレゼントされました。
開いてみて、驚きました。
明石川に生息する魚たちが写真、イラストとともに紹介されているのですが、その数は何と50種類近く。
たくさんの種類の魚たちが生息していることがわかります。

河口には、アカエイがいます。

ニホンウナギは、上流には少ないながら成魚が、河口にはたくさんの幼魚がいるそうです。

準絶滅危惧種のヤリタナゴも最近見つかったそうです。
うれしいですね。

拙著「ひょうたん池物語」にも登場するドンコもいます。

有害外来魚であるオオクチバス、ブルーギルの駆除に積極的に取り組み、料理して食用にしているとのことでした。


このような活動の結果、有害外来魚が減り、在来の魚が増えていると書かれてありました。
とても素晴らしいことだと思います。

すべてのページに目を通しましたが、単なる解説ではなく、それぞれの魚たちの最近の生息状況について、実体験に基づいて記されていて、感銘を受けました。
この素晴らしい活動を後輩たちに引き継ぎ、明石川をさらに魚影の濃い豊かな川にしてほしいと願っています。


2017年8月31日
から 久元喜造

朝日新聞・社説の誤解を解くために


朝日新聞・社説(2017年8月17日)は 「関西3空港 一体運営で浮揚を」という見出しを掲げつつ、神戸空港についてこう記しています。

「42年間の運営権の対価として市が得る基本額は191億円。空港島の造成などで投じた総事業費3140億円の1割に満たず、多額の借金が当面残る」
「当面」と書いてくれてはいますが、読者は、9割以上の借金が神戸市財政にのしかかり、遠い将来に先送りされるか、市民の税金による埋め合わせを余儀なくされる、と受け止めることでしょう。
そうでないことは、 2017年8月18日のブログで書いたとおりですが、神戸市としても、この社説が引き起こす誤解を解きたいと考え、ウェブサイトで、きちんと説明することにしました。
もともと、空港のような公共事業には住民の税金の投入が想定されており、ほかの地方空港もそうなっているのですが、そもそも神戸空港の整備には、税金は投入されていません。
神戸市ウェブサイト・「変わる神戸」特別編

朝日新聞社説は、「市民の強い反対運動」を「押し切っ」て、空港を建設したとし、「運営権売却で過去のツケが消えるわけではない」「市は責任を改めて重く受け止めるべきだ」と主張しますが、的外れな批判です。
市民の意見が分かれる中、神戸空港の建設に踏み切ったのは、当時の神戸市の英断であったと思います。
難しい判断だったと想像しますが、この政策決定があったからこそ、現在の神戸空港があるのです。
私は、市民のみなさんをはじめ、各方面にきちんとした説明責任を果たした上で、三空港一体運用を実現させ、関西全体の浮揚に貢献していくことが神戸市政の「責任」であると考えます。


2017年8月29日
から 久元喜造

真夏にジビエを楽しむ。


先日、兵庫県猟友会神戸西支部のみなさんと、有害鳥獣対策について、懇談する機会がありました。
供されたのは、イノシシとシカの肉を使った料理です。
イノシシ肉の焼き肉、ボタン鍋、シカ肉の燻製などが出されました。

どれもたいへんおいしかったです。
今まで、「イノシシ肉は冬に楽しむもので、夏は臭くて食べられない」とさんざん聞かされてきました。
しかし、この日いただいたイノシシ肉は、臭みはまったくありませんでした。

ボタン鍋も、あっさりしていて、みそ仕立ての汁には深い味が出ていました。
捕獲後の処理、料理方法が見事であったことも大きいと思いますが、「夏のイノシシも食用にできる」ことを、身を以て実感しました。

懇談の中では、最近のイノシシ、シカの出没や捕獲状況についてお話を伺いました。
捕獲作業についても、今まで知らなったご苦労がおありになることがわかりました。
神戸市が行っている狩猟免許取得に対する助成の効果もあり、会員が大きく増えているとお聞きし、とてもうれしかったです。
吉岡勝則支部長をはじめ、西支部のみなさんのご努力に感謝申し上げます。

懇談に先立って、松下勇人さんが代表をされている梨園「三水園」にお邪魔し、梨の栽培の模様を見学させていただき、梨農家のみなさんとお会いできました。

懇談会の中では、梨を使ったソース「リンジャンソース 梨醤」も出されましたが、驚くほど美味しく、このソースだけで、酒のアテになります。

イノシシの焼き肉にかけると、絶品の味わいでした。
最近、「道の駅  Farm Circus」でも好評を博しているのにも納得です。


2017年8月27日
から 久元喜造

呉座勇一『応仁の乱』

中世史の新書としては、30万部を越す異例のベストセラーで、どこの書店に行っても、平積みです。
売れるからには、分かり易い本なのだろうと簡単に考えて読み始めましたが、「第1章 畿内の火薬庫、大和」で早くも難渋し始めました。
とにかく夥しい数の人物、地名が登場するのです。
繰り返し前に戻って人物を確認しながら読み進めましたが、正直、何度も挫折しそうになりました。

本書の基本資料は、 奈良の興福寺の門主、経覚と尋尊が残した日記です。
まず初めに登場するのは、二人の高僧が連なる摂関家のほか、学侶、衆徒、六方、国民などの僧侶です。
僧侶の多くは武装集団であり、応仁の乱の中でも重要な役割を果たしました。

そして、足利義持、義教、義政、義視、義尚、義材など足利家将軍たち、細川勝元、山名宗全などの諸大名、大名の配下にあり、あるいは独立した動きをする武士たち、貴族など膨大な数の人物が登場し、戦乱の舞台も、大和、京のほか、山城、越前、備前、伊勢など各地に及び、複雑な動きが丁寧につづられていきます。

骨肉の争いが随所に登場し、裏切り、謀殺は日常茶飯事で、土一揆も頻繁に登場し、全体を掌握する者が不在のうちのまま、応仁の乱は長々と続いたのでした。
しかし、ひらすら殺戮のみが時代を覆ったのではなく、在京武士は、貴族や五山の僧とともに、連歌や茶の湯を楽しむなど京での文化的生活を謳歌したのでした。

乱の経過を理解するのには骨が折れましたが、「第7章 乱後の室町幕府」「終章 応仁の乱が残したもの」は分かり易く、この有名な大乱が日本をどう変えたのかを理解することができました。


2017年8月24日
から 久元喜造

『ひょうたん池物語』重刷御礼!


お陰様で、拙著『ひょうたん池物語』(神戸新聞総合出版センター刊)が、重刷となりました。
お読みくださいましたみなさま、ありがとうございます。

ときどき、どこで買えるのですか、と尋ねられます。
アマゾンでも購入できますが、市内では、以下の書店に置いてありますので、お立ち寄りの折にご覧いただければ幸いです。

ジュンク堂書店(三宮店、三宮駅前店、住吉店、舞子店、神戸さんちか店、明石店)
紀伊國屋書店(神戸店、加古川店)
喜久屋書店(西神中央店、神戸学園都市店、新長田店、須磨パティオ店)

また、「NPOメダカのコタロー劇団」が、「ひょうたん池物語」を「子ども絵本劇場」で取り上げてくださいました。
脚本は、kei.コタローさん、作画は、上田真輝さんです。
声優の原愛紗実さん、難波克也さんによる上演を動画で拝見しましたが、まさに迫真の演技でした。
ありがとうございます!!!


2017年8月21日
から 久元喜造

「働き方改革」を進める。


お盆休みも終わり、市役所もまた仕事モードに復帰です。
日本社会全体で「働き方改革」が求められている中、神戸市役所でもこの改革に本気で取り組む必要があります。
職員のみなさんには、勤務時間内に高い成果を挙げ、市民サービスと行政水準の向上につなげるとともに、早く帰宅し、家庭や地域での役割もしっかり担ってほしいと思います。

私は、市長に就任してから、市役所改革を進めてきましたが、なお不十分であることを痛感しています。
少し前になりますが、職員満足度調査を行ったところ、煩雑で膨大な事務作業、時代にそぐわない理不尽な慣行、長時間勤務、業務量に対する不公平感、コミュニケーション不足、変わらない状況に対する閉塞感・・・など、職場の環境に対するさまざまな課題や意見が寄せられました。

「働き方改革」は、職員全員で取り組む必要があり、全員の取り組みを後押しし、支援する「働き方改革推進チーム」を行財政局と企画調整局で結成することにしました。

また、外部の目を取り入れながらで改革を進めるため、新たに民間人材を登用することとし、 ICT業務改革専門官として、砂川洋輝氏を任命しました。
砂川氏は、民間企業での勤務を経て、ごく最近までフィンランド市の市民サービスの改善プロジェクトにも従事した経験があります。
ICTに関するスキル・ノウハウを活かして、民間の視点から課題と原因を分析し、解決方策について助言してもらいます。

何よりも大事なことは、職員のみなさんが、ただ不満をぶつけるのではなく、自ら考え、討議し、実践していくことです。
強い当事者意識を持って取り組んでいただきたいと、強く望みます。


2017年8月18日
から 久元喜造

神戸空港は負けない。


神戸空港のコンセッション手続きが進み、神戸空港に関心が集まる中、実態からかけ離れた報道や論評が全国的に報道されることがあります。
昨日は、神戸空港利用推進協議会が開かれましたので、私から、神戸空港の財務状況について、簡潔に説明させていただきました。

一部には、神戸空港を整備するために3000億円を超える事業費が投入され、運営権対価として、191億円しか神戸市に入らないので、多額の借金が残る、という主張がありますが、まったく事実無根です。
平成29年度末の空港本体(滑走路や誘導路、駐機場等)と周辺用地の造成事業に関する債務の残高は、936億円です。
そして、両者の事業内容、財源は全く異なります。

まず、「空港本体」の債務は、平成29年度末で490億円を見込んでいます。
一方で42年間のコンセッション期間中、運営権対価、191億に加え、地方交付税、航空機燃料譲与税等を合わせ、452億円の収入を見込んでいます。
その結果、運営期間終了後には、38億円の債務が残りますが、これは運営期間終了後の次の運営期間の収入で十分償還することができます。

一方、空港周辺用地を埋立・造成したのは、他の産業用地も造成している「新都市整備事業」です。
空港周辺を含むこの事業会計の財務状況は、大きく改善しています。
平成17年度には、債務残高が3,661億円、現預金残高は1,360億円でした。
これが平成29年度末では、債務残高は1,387億円、現預金の残高は1,059億円となる予定です。
企業誘致により、飛躍的に財務状況は改善されていますし、これからもこの基調は維持できます。
さらに関西3空港の一体運営が実現すると、空港島の事業用地のポテンシャルが上がることでしょう。

明確な数字でしっかりと説明責任を果たし、神戸空港が関西全体の発展のために貢献できるよう、使命を果たしていきます。
神戸空港は、根拠のない非難には負けません。