行政の「総合性」について、少し続けたいと思います。
今年度の当初予算を発表したとき、神戸新聞は、 「「総合性」ゆえに迫力不足」 との見出しを立て、解説を掲載されました。
久元市政の特徴に「総合性」を挙げる市幹部は多い。例えば「子育て施策が地域活性化にもつながる」というように、副次な効果を持つ施策を細かく張り巡らせることで、政策効果を狙っている。ただ、総花的である分、インパクトに欠けることは否めない。
「総合性」の発揮は、私が勝手に唱えているわけではありません。
それは、地方自治体の基本的な役割なのです。
地方自治法は、このように規定しています。
「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」(1条の2)
この規定は、第1次地方分権改革(1999年改正)によって追加された重要な条文です。
以前は、地方自治体は、機関委任事務を担わされ、各省庁から個別の指揮監督を受けていました。
政府の中でこれらの指揮監督が相互に調整されることはなく、地方自治体は個別には合理的であっても、現場の実態からみれば不合理な事務処理を余儀なくされていたのです。
侃々諤々の議論の末、機関委任事務は廃止され、上記の規定が追加されました。
この結果、地方自治体は、各省庁によってバラバラに分断されていた行政を「自主的かつ総合的に」実施することになりました。
「総合性の発揮」は、地方自治体の基本的な任務であり、神戸新聞からいかに批判されようと、私はこの任務に忠実でありたいと考えています。