久元 喜造ブログ

2018年8月16日
から 久元喜造

「神戸で、保育士・幼稚園教諭になろう!」


お盆も過ぎ、特に力を入れなければならない政策課題の一つが、待機児童の解消です。
神戸市では、「待機児童対策緊急プロジェクト」として、平成30年度に思い切った予算を計上しましたが、これをしっかりと執行していかなければなりません。
その柱となるのが、保育人材の育成 です。
中長期的な視点を交えながら、高い志をもって子どもたちと向き合える人材を育成してくことが必要です。
そして当面の対応としては、処遇の改善を行っていくことが急務です。
神戸市では、国の制度を活用するとともに、市単独の予算を上乗せし、5つの処遇改善策を講じることにしました。
決め手は『5つのいいね』です。

給料がいいね!」
神戸市内で保育士・幼稚園教諭として採用された方に、7年間で最大140 万円の一時金を支給します。

家賃がいいね!」
保育士の宿舎を借り上げる施設に対して、月額8万2千円を上限に、最長5年間の家賃を補助します。

家族に優しくていいね!」
神戸市内で働く保育士・幼稚園教諭が保育園などに子どもを預ける場合、月額5万4千円までの保育料が1年間、実質無料になります。

自分のペースでいいね!」
保育士・幼稚園教諭の資格・免許を持ちながら働いていない方がパート職員として「朝」「夕」の時間帯、あるいは「休日」を含む勤務を行う場合、復職6カ月後に10 万円の一時金を支給します。

夢の実現にいいね!」
保育士資格試験のために要した30万円までの学習費用の半額を補助します。

神戸市のこれらの施策をたくさんの志望者のみなさんに知っていただくため、これからも情報発信に努めます。


2018年8月12日
から 久元喜造

三浦展『都心集中の真実』


副題に「東京23区町丁別人口から見える問題」とあるように、区よりもさらに細かい町丁ごとに人口動向を細かく分析し、何が起きているのかを鮮やかに提示してくれます。

近年における23区の人口増加の原因としては、外国人の増加、都心における金持ちの増加、 女性、特に若い女性の増加、子どもの増加、つまりファミリー層の増加、の4つが挙げられています。
都心3区と江東区の、特にウォーターフロントでは、1980年代に端を発し、今日まで営々と高層マンションが建設されてきました。
これら地域には、高所得層が増え、23区間でも所得格差が拡大しています。

この辺りは常識的な解説ですが、筆者は、「分類不能業種が都心で増殖している」など、ユニークな視点を提供してくれます。
また、女性が長い通勤時間を嫌い、都心で働く未婚女性が隅田川沿いなどのマンションに数多く住んでいる現状にも注目します。
都心人口の増加は、職住近接や「スタイル・高価格・超都会的」消費イデオロギーへの転換も関係しています。

それでは、郊外にはまったく未来はないのでしょうか?
筆者は、自治体などの「やる気」を取り上げ、「本当に郊外の人口減少をどうにかしたいのなら、もっと本気で組織ごと変わってほしい」と訴えます。
「住宅地の中に店やオフィスが作れないなどという近代主義的都市計画思想を捨てて欲しい」と。
「郊外だから専業主婦、パート主婦でしか生きられないのではなく、正社員としても、在宅勤務、ワークシェアリング、サテライトオフィスなどをフル活用しつつ、多様な世代の男女が多様な働き方で働き続けやすい街をつくること」だと。

全く同感です。


2018年8月9日
から 久元喜造

天津市との交流を強化します。

神戸市と天津市との友好都市提携45周年を記念し、天津市を訪問しています。

天津市は、人口 1550万人を擁する大都会です。日本からもたくさんの企業が立地しています。

昨日の夕方には、天津市迎賓館に張国清市長を表敬訪問、約50分間会談し、その後、歓迎晩餐会に臨みました。

張市長からは、港湾に関する長い歴史に触れられつつ、現在の天津市の産業活性化や環境保全に留意しながらの街づくりについてお話がありました。

私からは、神戸医療産業都市の歩みや、災害に強い街づくりについて説明しました。

これまでの長い歴史を大切にしながら、未来志向で、医療、先端産業分野などでの交流強化について意見交換を行いました。

これに先立ち、午前中には、国際医療交流シンポジウムが開催され、神戸医療産業都市構想の進捗状況にについて説明がありました。たくさんのみなさまに参加していただきました。

午後には、天津音楽学院で、NPO国際音楽協会主催の歌劇「夕鶴」を鑑賞しました。

神戸の音楽家と天津の子どもたちが共演した素晴らしいステージでした。

経済の大きな発展可能性を感じながら、自然との共生や歴史を大切にしていく天津市の街づくりの姿勢に、共感を覚えました。

今後、新たな時代を見据えた交流強化に取り組んでいきたいと感じています。


2018年8月6日
から 久元喜造

道路の通行止め箇所の解除


先月の豪雨により、神戸市内でも各地で土砂災害、崩落などがあり、土砂が崩落して道路を塞いでいる箇所については、区間を指定して通行止めを行ってきました。
発災以来、建設局を中心に全力で復旧作業に当たってきた結果、以下のとおり開通の見通しが立ちましたので、きょう発表することにしました。

夢野白川線」(上の写真)については、 ひよどりIC~鵯越交差点(約3.6km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午前 6 時をもって通行止めを解除します。

神戸六甲線(表六甲ドライブウェイ) 」については、 新六甲大橋下交差点~丁字ヶ辻交差点(約4.8km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午前 10 時をもって通行止めを解除します。
一部の区間については、片側交互通行となります。
新六甲大橋下交差点~旧料金所前までの旧道については、工事中のため引き続き通行止めとなり、鉢巻展望台については当面の間、立ち入ることはできません。

明石神戸宝塚線」については、 森林植物園前~六甲山牧場前(約6.0km)が通行止めになっていますが、 8 月10 日(金曜)午後5時をもって通行止めを解除します。

神戸は山間部が多く、急峻な地形に道路が整備されてきたため、豪雨により崩落が発生し、今回のようにしばしば通行止めが余儀なくされてきました。
引き続き、法面の補強、崩落防止工事の実施など道路の防災事業を進めていきますので、市民のみなさんのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


2018年8月4日
から 久元喜造

真山仁『オペレーションZ』


1000兆円にも積みあがった国の借金を前に、財政再建のために立ち上がった政治家、官僚たちのたたかいを描いたフィクションです。
前総理の辞任に伴い就任した江島隆盛総理は、国家予算の歳出半減を宣言します。
総理官邸に集められたのは、財務省の若手官僚たちでした。
題して「オペレーションZ」。
彼らは、財務省の事務次官、官房長などの幹部と微妙な間合いを取りながら、使命感に燃えてオペレーションを進めていきます。
チームの中心的役割を担う周防篤志は、母子家庭に育ち、苦労して大学を出て、財務省に入ったという経歴の持ち主。
そして、総理を内心見下している盛田正義大臣官房参事官の小心で傲慢不遜な態度と行動が、ロシアの動きとも絡んで異彩を放ちます。

歳出100兆円を半減するということは、24兆円の国債費は削れないので、残りの75兆円を25兆円にすることを意味します。
チームは厚生労働省に対し、年金、医療、介護保険給付費をゼロに、総務省に対しては、地方交付税交付金をゼロにすることを提案します。
周防は、気鋭の若手准教授宮城慧とともに、財政再建団体晴野市などを回ります。
「 潰せる市町村は潰して都道府県の統治下に」
「地方自治体に独自に税の徴収を奨励」
「カネではなく労力を対価にした地域コミュニティ創生」・・・
宮城は視察から得た考察をもとに、大胆な提案を連発していきました。

江島総理の歳出半減プランは与党からも反発が出て、閣僚からも辞任が続出します。
江島総理は衆議院を解散しますが、敗北。
政権は野党の民政党に移ります。
周防はナイジェリアに赴任し、財務省に残ったチームのメンバーには左遷人事が待っていました。


2018年7月31日
から 久元喜造

7月5日23時45分梅田発阪急電車


7月5日(木)、私は東京出張中でしたが、豪雨が予想されたことから、翌日の用務を欠席することとし、夜の新幹線で急遽帰神することにしました。
新幹線は新大阪で運転を取り止め、在来線の神戸線も運転中止になりました。
運転再開を待っても展望がないので、地下鉄御堂筋線で梅田に出て、阪急電車 のホームに駆け上がり、23時45分発の急行電車に滑り込みました。

車内は超満員でした。
私は終点の三宮に何とか到着してほしいと願いながら、予想される事態や対応について考えていました。
電車が駅に止まるたびに車内アナウンスが流れました。
停車時間は十分にとっています。前の方を押すことなく、ゆっくりとお降りください。停車時間は十分にとっています
乗客は、アナウンスに従い、互いにぶつかり合うことなく、整然と電車を降りていきました。

また、車内アナウンスが流れます。
「現在、JR神戸線、阪神電車は、大雨により、運転が中止になっております。このため車内は大変混雑しております。しばらくの間、ご辛抱いただきますようお願いいたします」

電車は無事、神戸三宮駅に到着しました。
「現在大雨のため、神戸には警報が出されております。どうぞ気を付けてお帰り下さい」

車掌さんの判断なのか、決められたマニュアルに従ってのことなのかわかりませんが、的確で落ち着いた語り口の車内アナウンスは、不安な心理状態の乗客に安心感を与えました。
厳しい状況の中での対応に、敬意を表したいと思います。

三宮に到着した私は、土砂降りの雨の中を徒歩で市役所に向かいました。

災害対策本部、続いて消防局で状況説明を受け、役所に泊まり込みました。


2018年7月28日
から 久元喜造

水の恵みをどう受け取るのか。


台風12号が日本列島に接近しています。
明朝、近畿地方に最も接近すると見込まれています。
今月初めの豪雨で被害が出た地域を含め、気象情報に注意し、いざというときは、避難指示などに従い、迅速な行動をとっていただくようお願いします。

豪雨の後、雨が降らない炎暑の日が続き、そしていま台風の襲来を前にして、改めて「水」とどう向き合うかが問われているように感じます。
水はときとして猛威を振るい、私たちに大きな被害をもたらす一方、私たちは水なしに生きていくことはできず、水の恵みをどう受け取るかという古くからの課題に向き合っていかなければなりません。

初期の神戸市政の課題は、当時禿山だった六甲山系を植林し、水害を防ぐとともに、水源を涵養し、水道を敷設することでした。
その後、神戸市は阪神水道企業団から水の供給を受けるようになり、神戸市水道は十分な供給能力を保持しています。
水は大切に使わなければなりませんが、余力のある水道水を活用し、熱した街を冷やしていくことは可能です。
「打ち水」(7月26日のブログ)は、古くからの知恵ですが、水を活用して炎暑に立ち向かう方策はほかにも必ずあるはずです。
衆知を結集し、具体的な方策を見出していきたいと思います。

水は、ひとところに滞留すれば、澱み、水質が悪化します。
きれいな水が絶えず流れ、うるおいと安らぎを与えてくれるような街を目指したいものです。
幸い、神戸には、山から流れ出るたくさんの中小河川があり、美しい渓流にも恵まれています。
中小水力発電の展開も含め、自然の営みに対する敬意を忘れず、水の活用方法を広げていきたいと考えています。


2018年7月26日
から 久元喜造

市民のみなさん、打ち水をしましょう。


昨日の定例記者会見で、異常高温対策について説明しました。
神戸は、京都や大阪に比べて少し最高気温は低いのですが、それでも異常な高温が続いています。
猛暑の原因としては、地球の温暖化が指摘されており、国際的な枠組みの下で対応していくことが求められます。
神戸市では、すでに小中学校の空調設備の整備は完了していますが、自治体、また地域として、このほかにできることはすぐに行動に移していく必要があります。

その一つが、打ち水です。
打ち水は、古くからの風習で、私が子供の頃の新開地周辺では、路地裏などでよく打ち水が行われていました。
打ち水された玄関先や道路ではひんやりとした雰囲気が漂いますが、実際に周囲の気温を下げる効果もあります。
昨年行った「こうべ打ち水大作戦」 では、2℃から3℃の冷却効果が確認 できました。
今年は、きょう7月26日(木)午後3時から、JR三ノ宮駅南広場で実施します。

ひんやりとした空気を感じいただくため、ミストも普及させていきたいと考えています。
ミストは、水道水を気化させて霧状にし、散布する装置です。
市立学校園全298校、メリケンパークなど市内の大きな公園、市営地下鉄の駅前広場などに設置します。
私立の幼稚園や保育所、認定こども園など約500カ所についても、それぞれの施設の判断で設置していただき、1万円を上限に全額を神戸市が補助します。
ミストは気温を下げる効果はありませんが、少しでも冷気を感じていただき、元気を回復させていただきたいと願っています。

また、猛暑で体調の異変を感じ、とくに、熱中症が疑われる場合は、救急相談ダイヤル(#7119)に気軽に電話してください。


2018年7月21日
から 久元喜造

鵯越墓園に合葬墓が完成


神戸市で初めての合葬墓が 鵯越墓園 に完成し、7月18日に開所式が行われました。
「合葬墓」とは、ご遺骨を一緒に埋葬するお墓です。
合葬墓にご遺骨が埋葬されると、ずっと安置されることになります。
お墓の維持管理や承継者の心配がなくなり、経済的負担も少なくなります。
生前申し込みも可能ですし、これまでのお墓を閉じ、ご遺骨を合葬墓に改葬することもできます。
また、市外の在住者の方で、神戸市に在住をしたことがある方の焼骨をお持ちの方もご利用できます。

合葬墓とは別に、個別安置施設も用意しました。(上の写真)
合葬墓にほかの方のご遺骨と一緒に埋葬されるのではなく、10年間、骨壺に安置し、その後で合葬墓に埋葬されます。

今回合葬墓を開設した背景は、お墓に対する意識の変化です。
現在のお墓は、先祖代々のお墓を子々孫々まで引き継いでいく区画式の墓地が大部分です。
その一方で、ふるさとを離れ、墓じまいをされる方、子や孫にお墓の負担させたくないと感じておられる方も増えてきました。
従来型のお墓のほか、納骨堂や合葬式の墓地に対するニーズが高まってきています。
開所式典と内覧会には、予想を上回るみなさんが参加され、合葬墓に対する関心の高さが伺えました。

このようなニーズを背景にオープンした合葬墓のモニュメントは、海、まち、山、そして、ポートタワーがイメージされています。
中心にある球体には、最近、産出が少なく、加工が難しい六甲山の御影石が用いられています。
合葬墓が建立された丘からは、明石海峡大橋、そして神戸の市街地を遠望することができます。


2018年7月18日
から 久元喜造

災害時における水の確保


今回の豪雨で神戸市内でも被害が出ており、土砂の除去、道路の不通個所の解消などに全力で取り組んでいます。
同時に、大きな被害を受けた自治体に対し支援を行うことは、神戸市の大きな使命です。
緊急消防援助隊、保健衛生職員などのほか、給水応援隊など水道職員の派遣を行い、職員はこれまでの経験を活かし、頑張ってくれています。

神戸市では、23年前の阪神・淡路大震災で市内のほとんどが断水し、避難所でも悲惨な状況に陥りました。
この経験と反省の上に立ち、震災の翌年の1996年から大容量送水管の整備を開始し、20年の歳月をかけ、2016年3月に完成しました。
大容量送水管は、芦屋市との境界から神戸市内の市街地の地下を通り、兵庫区の奥平野浄水場までの延長約 12.8kmです。

水道水は、送水トンネルによって水道管に送られますが、送水トンネルが地震などによりが被災した場合には、大容量送水管が代替送水ルートとなり、バックアップ機能を果たします。
送水が停止した場合でも、管内に貯留された飲料水を応急給水に利用することができます。
市街地に立坑を利用した8か所の給水拠点から、約12日間分の飲料水を供給することができます。

このほか、市内には、半径2km毎に災害時給水拠点、54か所が整備されています。
配水池への緊急遮断弁の設置、配水管に大口径の管路を組み込んだ大容量貯水槽により、貯留された水を応急給水に活用し、約14日間分の水量を確保します。

このようにして、現在、神戸市では、全市民に対し、約26日分に相当する飲料水が確保できるようになっています。
引き続き、災害時における水の確保に万全を期していきます。