久元 喜造ブログ

読みたい本は、やはり自分で選ぶのが良いのでは。


去る4月3日、神戸市に入庁したばかりの新規採用職員に講話をしました。
予定の1時間のうち、20分を質問に充てたところ、10人近いみなさんから質問や意見が活発に出て、心強く感じました。

その中で、
「市長お奨めの本を挙げてください」
という質問がありました。
読書に関心を持ってくれているのは嬉しく、それだけにどう答えるのか、一瞬、悩みました。
吉村昭『破船』 は良い本だが、さすがに新規採用職員には暗すぎるし、川崎草志『崖っぷち役場』 は神戸とはちょっと違う・・・

迷いましたが、こう答えました。
「自分が読みたい本は自分で見つけることが大切なのではないでしょうか。私も、昼休み、本屋に行って本棚を回り、面白そうな本を選んだり、新聞の書評に取り上げられていた本を買ったりしています」
これではさすがに不十分なような気がしたので、
「これは単なる私の好みですが、いわゆる自己啓発本やハウツー本を読むことはありません。小説を読む方が好きです。優れた小説からは教えられるところが多いように感じます」
と付け加えました。
質問してくれた女性職員には、物足りない答えだったことでしょう。

その翌々日、ある大学が、大学生の「読書離れ」を防ぐため、人工知能(AI)が個々人の性格に合った本を選ぶアプリをつくった、という記事を目にしました。
AIは、投稿内容の文字をもとに、その人の性格をいくつかの指標で数値化し、性格に最も合った本を選び出してくれるというものです。(2018年4月5日付け朝日新聞朝刊)

市長に尋ねるよりは適切な答えが得られそうですが、それでも読み終えて良かった、と思える本を自分で見つける努力をしてほしいと感じます。