川崎草志『崖っぷち役場』


愛媛県の架空の町、南予町が舞台。
もちろん、といっては失礼ですが、「消滅可能性都市」にランキングされています。

主人公は、町役場に就職して2年目の沢井結衣。
松山出身ですが、祖母が昔から住んでいる南予町に移り住み、スクーターで役場まで通勤しています。
彼女の配属先は「推進課」。
前町長がつくった組織です。
役場職員出身の前町長は、「まじめに町の再興を図り、こつこつと無駄を削り、地道に産業を育て、南予町の状況を改善しようとして」いました。
「毎晩、自宅で遅くまで仕事をしていた」町長は、自宅の机に俯したまま急死。
「東京の有名大学を出て企業につとめていた」本倉町長が就任します。

外部出身の本倉町長は、「毎月のように新しい提案を町役場の各部署に持ち込み」ます。
本倉町長のことを陰で『ぼんくら町長』と呼んでいる職員は、町長の提案を、「前向きに検討します」とか、「法規によると困難です」とかの、公務員お得意の対処で流していくのですが・・・・

過疎と人口減少に悩む南予町を舞台にした、7つの短編小説。
観光資源の開拓、路線バスの廃止、高齢者の徘徊、新旧住民間の葛藤、空き家問題・・・・地域が抱える問題がテーマになっています。
自治体で仕事をしている者から見ると、現実がリアルに描かれているかどうかは議論が分かれるかもしれませんが、参考になる対処法もずいぶんありました。
それに何よりも、ほのぼのとした気分に浸ることができたことはありがたかったです。