故吉本泰男氏は、『航跡遥かなり』(8月16日のブログ)の序文で、宮崎辰雄市長(写真)のことを「市長歴20年の名市長」と称えつつ、「生え抜き人事を堅守」した人事政策を「市役所モンロー主義」と批判されました。
吉本氏は、結局は「市役所職員から出た市長を頂点に、ピラミッド式の団塊で固めた市役所第一主義が台頭」し、「仲間だけの棚づくり」になったと指摘しておられます。
当の宮崎市長が市役所の人材育成について、「神戸を創る」(8月26日のブログ)の中で強調しておられたのが、外郭団体の活用です。
係長試験に合格したばかりの若手を外部団体に優先して送り出したのです。
その目的は、「職員に役所でできない企業経営を習得し、経営センスを磨かせ・・・役人根性を捨てさせる」ことでした。
「2,3年の期間で、出先の成績次第でいいポストに返すので、目の色が違う。現に、助役や局長の大半は、外郭団体出向職員の経験者で占められている」と記しておられます。
宮崎市長の都市経営は、このように積極果敢でした。
「職員を減らし、市民サービスを縮小するような短絡減量経営は、本来の市民福祉という基本視点を見失う」とも書いておられます。
残念ながら震災後、財政危機に陥った神戸市は、宮崎市長が忌避された手法で財政再建を余儀なくされました。
これは避けられない道でした。
そしてこの取り組みが成果を上げ、財政の健全性がある程度回復した今、かつての手法とは異なる、積極果敢な経営手法が求められています。
民間人材を登用し、プロパー職員と一体となった「最強の仕事人チーム」をつくることもその一つです。