久元 喜造ブログ

「タックス・ヘイブン」への対応

shiga

我が国から海外に税金逃れを目的とする資金流出がかなり起きているのではないか、という疑問を持っていましたが、志賀櫻『タックス・ヘイブン 逃げていく税金』を読み、かなりその実態が理解できました。

タックス・ヘイブン(Tax Haven)とは、一般に、税金がないか、ほとんどない国や地域を言います。
ケイマン諸島、バハマ、バミューダ、ブリティッシュ・バージン・アイランドなどカリブ諸島の島々が知られていますが、著者は、ロンドンのシティ、米国のデラウェア州のほか、スイス、ルクセンブルク、ベルギー、オーストリアなどの欧州諸国も含めています。

日本の高額所得層、 大企業からもこれらのタックス・ヘイブンに資金が流出しています。
それらの租税回避が脱税にあたるかどうかは微妙で、著者は、課税当局とのせめぎ合いについても、豊富な事例でわかりやすく説明しています。

タックス・ヘイブンの活用によって、高額所得層などから大量の資金が流出し、そのことにより、しわ寄せを被るのは、中間所得層、低所得層です。
自治体も必死に税収を確保する努力を行っていますが、最も担税力がある層からのこのような租税回避行動を目の当たりにすると、何ともやりきれない思いに駆られます。

筆者は、タックス・ヘイブンによる租税回避を防ぐ方策として、金融機関に対する規制、トービン税、国際連帯税、金融取引税、シティズンシップ課税、出国税など具体的な方策を提示しています。
いずれも、タックス・ヘイブンによって利益を得ている国々を含めた国際的な合意が必要とされることから、困難な課題ですが、是非、ここは国税当局の奮起に期待したいと思います。