久元 喜造ブログ

ケースワーカーの役割

生活保護は、自治体にとり、むずかしい行政分野です。まったく逆の方向からの批判にいつもさらされ、その間にあって苦吟してきました。

一方の批判は、生活保護の認定や運用が甘すぎ、怠け者を甘やかしている、という批判です。不正受給が報道されれば、担当部局には苦情が殺到します。
逆方向からの批判は、自治体が財政面から生活保護の認定を渋り、生活困窮者に必要な手をさしのべていない、という批判です。認定をしなかった申請者に悲劇的な事件が起きると、やはり非難が殺到します。

生活保護行政には、保健福祉局と区役所が緊密に連携して当たっていますが、ひとりひとりの受給者、認定申請者と向き合っているのが、区役所の保護課に配属されているケースワーカーの職員です。
厚生労働省の基準では、一人のケースワーカーは80件の受給者を担当することとされていますが、現実には100件を超えているのが実情です。そのような中にあって、受給者をできるだけ訪問して相談に応じたり、必要な指導を行っています。
ケースワーカーの大きな任務は、働くことができる受給者に働いてもらう、つまり自立を促すことです。受給者の中には、メンタルなど困難な事情を抱えていたり、子どもの頃からの生活習慣に大きな問題があったりして、自立への課題も多いのですが、一人一人と丁寧に相談に乗り、就業できるように頑張ってくれています。
「自立できる目途がついた受給者から感謝の言葉を聞くのは、何よりも励みになります」
と、あるケースワーカーの職員は、私に話してくれました。

今年の4月に市役所に入った一般行政職、福祉職179名のうち、38名がケースワーカーとして働いています。社会人になって初めての仕事としては苦労が多いと思いますが、先輩からアドバイスや励ましを受けながら頑張っている新人職員がたくさんいることは、私にとっても大きな励みになります。