去る4月5日、パリ市議会は、パリ市の新しい市長に、与党社会党のアンヌ・イダルゴ氏を選出しました。
イダルゴ氏は、54歳、パリ市で初の、素敵な女性市長さんですね。
フランスの自治体の選挙制度、また、パリ市長の選出方法も、我が国とは全く異なっていますので、簡単に紹介したいと思います。
まず、議会議員の選出方法です。
パリの有権者は、20ある区で、政党の候補者名簿に投票します。この名簿には、各区の議席数と同数の候補者が、順位を振られて記載されています。有権者は、名簿を選ぶのであり、個々の議員を選ぶのではありません。
この投票で過半数の得票を獲得した名簿には、各区の議席の過半数を割り当てられ、残り半数の議席は、有効投票数の5%以上を獲得した名簿に比例配分されます。
過半数を獲得した名簿がなかった場合は、2回目の投票が行われます。原則として、1回目の有効投票数の10%以上を獲得した名簿に対して投票が行われ、相対的に一番多数を得た名簿に議席数の半分が与えられ、残りの議席は、1回目と同様に比例配分されます。
パリには区議会のほかに市議会がありますが、各名簿の当選者の上位3分の1の区議会議員がパリ市議会の議員を兼ね、残り3分の2は、各区議会の専任の区議会議員となります。
パリ市長は、パリ市議会の選挙で選出されますが、通常は、過半数を獲得した名簿第1順位の市議会議員が選ばれます。
我が国の地方自治体は、住民が直接選挙する議員から構成される議会と、やはり住民が直接選挙する知事、市町村長の二元代表制がとられていますが、もうひとつの特徴は、有権者は、議会の議員も、知事、市町村長も、投票用紙に個人の名前を書くことです。
これに対し、フランスでは、有権者は、政党が作成する名簿を選びます。
議会が、議会議員の選挙結果に基づき、市長を選ぶことと、政党の存在が明確に制度に位置づけられ、大きな役割を果たしていることが、フランスの制度の特徴となっています。