久元 喜造ブログ

政党と地方自治

きょう、市役所の記者クラブで、「久元きぞうの政策 ― 神戸は「安定した成長軌道」へ ― 」を発表させていただきました。
記者のみなさんからの質問の中で、相乗り批判に関することがありました。
私が、自民党、民主党、公明党の推薦をいただいていることに対する批判のようです。

市長を目指す候補予定者が、複数の政党の推薦を受けることは、悪いことなのでしょうか。
私は、そうは思いません。なぜなら、地方自治の世界においても、政党は、積極的な役割を果たしていくことが期待されているからです。

政党は、その組織を通じて、また、所属する議員を通じて、さまざまな民意を汲み取ります。そして、国民・住民の声を、国政や地方政治に反映させます。
また、政党は、吸収した民意をもとにさまざまな政策を立案し、体系化し、政党としての理念に基づき、国民・住民に提示して、民意に基づく政策をつくりあげるという役割を期待されています。
さらに、政党は、政治に関わる人材をリクルートし、国政や地方政治を担う人材を育成することが期待されています。日本の政治を引っ張っていくリーダーを養成することは、政党の大きな役割です。

地方自治は、民主主義を不可欠の内容として含みますが、民主主義を支える政党が、地方自治の世界においても、大きな役割を期待されることは、当然のことです。

ときどき、「市民党」とか「県民党」とかを標榜し、政党から距離を置くことが、あたかも地方自治に即しているかのような主張をされる候補者がおられます。
私は、このような主張は無内容であり、民主主義を正しく体現しているとは言えないと思います。
政党を超越したところに地方自治が成立すると考えるのは、一種の超然主義であり、現代の地方自治とは相容れません。

選挙で勝利するためには、一定の支持勢力の存在を必要としますが、政党を遠ざけ、政党の外に形成された支持勢力のみに支えられた候補が当選すると、一種の取り巻き勢力が生まれ、一部の人々が牛耳る、不明朗な自治体運営に傾くおそれがあります。現に、私は、そのような例を、これまで見てきました。

地方自治のリーダーは、やはり、幅広い住民のみなさんの支持を得て、その支持を基盤として、安定した政治行動を行うことが期待されていると思います。