久元 喜造ブログ

淡河宿本陣跡の夕べ


北区淡河町の「淡河宿本陣跡」に、久しぶりにお邪魔しました。
淡河町は、神戸市の北部に位置し、豊かな里山が広がる農村地域です。
町内には、歴史ある神社仏閣、茅葺民家、観音堂などが残されており、自然環境と文化遺産が一体となって独特の景観を醸し出しています。
「淡河宿本陣跡」は、淡河町で育まれてきた豊かな文化を象徴する文化遺産です。
江戸時代に建てられ、参勤交代でも使われたと伝えられる由緒ある屋敷ですが、半世紀以上も放置され、荒れ果てていました。
地域のみなさんによって再生が始まったのは、もう10年近くも前のことでした。
保存会が組織され、土地、建物を譲り受け、改修工事が始まりました。
神戸市も、規制緩和や改修費への補助などの支援を行いました。
2017年5月28日、無事改修が完了し、お披露目会が開催されました。(2017年6月3日のブログ

先日久しぶりに訪れ、淡河特産のユリの栽培をされている農家のみなさん、地元の竹を使ったメンマづくりや竹細工、竹チップなど竹の利活用に取り組んでおられるみなさんと意見交換を行いました。
とても有意義で、私自身元気をいただくことができたひとときでした。

少しずつ日が陰り、庭に面した廊下では、暗がりが広がっていくさまを目にすることができました。
ちょうど、『陰翳礼讃』を読んだばかりだったので(2024年6月21日のブログ)、陰翳に富んだ、暗がりの魅力を目の当たりにすることができました。
この屋敷は、きっと長い年月の間に、さまざまな陰翳を描いてきたことでしょう。
再生に取り組んだ人々がそれらを大切にし、現代によみがえらせることができていることを、改めて感じることができました。