久元 喜造ブログ

2015年6月14日
から 久元喜造

ファーマーズマーケット

いま、東遊園地では、ファーマーズマーケットが開かれています。

是非行きたかったのですが、サンフランシスコに来ていますので、有名なフェリービルディング周辺で行われているファーマーズマーケットにお邪魔しました。

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ありとあらゆる食材が売られていて、土曜日ということもあり、物凄い人出です。

CUESAのExecutive Director の Marcy Coburnさんから、マーケットのマネジメントを中心にお話をお伺いすることができました。image
もともとは、歴史的建造物であるフェリービルディングの中で行われていたのが、外でも開かれるようになつたようです。

獣肉、魚、蟹、海老、野菜、キノコ、オリーブオイル、チーズなどありとあらゆる食材が売られていて、屋台もたくさん出て大賑わいです。

バッファローの肉まで売られていたのには、驚きました。かなり高価です。

サンフランシスコの取り組みも参考にしながら、神戸のファーマーズマーケットを進化させていきたいと思います。


2015年6月13日
から 久元喜造

アップル社から、何かが始まれば。

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昨晩、サンフランシスコに到着し、今日は、さっそく、シリコンバレーに、アップル社の本社を訪ねました。
アップル社からは、ヘルスケアの取り組み、同社の今後の戦略についてお話をお伺いしました 。

私からは、神戸医療産業都市構想の現状について説明するとともに、ヘルスケア分野を中心に、神戸でのビジネス展開の可能性について検討していただくよう要請しました。

アップル社の創始者、スティーブ ジョッブズ氏の最後の言葉の前で記念撮影しました。

午後は、500 STARTUP社を訪問し、スタートアップ アクセラレータ プログラムについてお伺いすることができました。

神戸における今後の展開に際し、大変、参考になりました。


2015年6月11日
から 久元喜造

マイナンバー制度の導入

マイナンバー制度がスタートします。
小著 ネット時代の地方自治 に詳しく触れていますが、私は、総務省時代、マイナンバー法案の立案に深く関わりました。
それだけに、いよいよ実施の時期がやってきたことには、感慨深いものがあります。

マイナンバー(共通番号)は、日本で住民登録されている全ての人につけられる番号です。
共通番号と呼ばれるのは、この番号が、住民登録、年金、介護保険、納税などさまざまな行政分野で共通の番号として広く使われるからです。

マイナンバー制度の大きな目的は、一人ひとりの個人を正確に特定することです。
現状は、それぞれの分野でバラバラに個人を特定するために作業が行われ、大きな労力とコストがかかっています。
マイナンバー制度の導入で共通の番号が使われることにより、個人の特定が、一元的に、しかも正確かつ効率的にできるようになります。

個人の特定がいい加減に行われると、「消えた年金」問題のような深刻な事態を招きます。
年金機構は、「消えた年金」問題を引き起こした社会保険庁の後継組織です。マイナンバー制度の実施を目前にして、このような事件を引き起こしたことに、憤りを禁じえません。
6月2日のブログ でも触れたとおり、政府は、国民の不安に対し、丁寧に説明していく必要があります。

マイナンバーは、行政内部のみならず企業や学校などにおいても幅広く使われますので、制度の理解が不可欠になります。
市の担当部のみなさんも、制度と実務的対応に関する説明、周知徹底に懸命に取り組んでくれています。
今年の10月から、住民票の住所にマイナンバーの通知が届きます。
円滑な導入に向けて、全力投球します。


2015年6月8日
から 久元喜造

国際都市として、さらなる進化を。

サミットの誘致活動をしていたとき、思い描いていたことがありました。
それは、サミットが神戸で開催されることになれば、神戸の名前は世界に発信されることになり、それは素晴らしいことだけれども、それだけでよいのだろうか、むしろこの機会に、神戸が国際都市としてさらなる進化を遂げるような取り組みを、自ら行うべきではないか、ということでした。

そしてそのような努力は、サミット開催都市にならなくてもできることです。
たとえば、神戸にお住まいの外国人住民のみなさん、また、神戸を訪れる外国人のみなさんにとり、歩きやすい、移動しやすい街にしていくことです。
現在、街中の案内板を総点検しており、その結果を踏まえて、デザインの観点から案内板や標識のリニューアルを図ることにしていますが、その際、多言語表示を増やしていくことを考える必要があります。

また、神戸市内の公共トイレは和式が多く、市役所もそうですが、副市長のときその理由を尋ねると、ある幹部からは、
「神戸市民は、和式の方が好きなんです」
という答えが返ってきたことがありました。
仮にそうだとしても、国際都市なのですから、やはり公共トイレの洋式化を進め、清潔で快適なトイレにしていくことが必要なのではないでしょうか。

さらには、英語が国際共通語になっている今、私も含め、行政に携わる者の英語能力を上げていくことも必要です。
英語で交渉できる職員を増やし、区役所などの窓口では、多くの職員に簡単な英語対応ができるようになってほしいところです。

これらは、ほんの一例です。
あらゆる角度から、国際都市・神戸のさらなる進化を図っていきたいですね。


2015年6月5日
から 久元喜造

サミット誘致活動への感謝とお詫び

来年、日本で開催されるサミットの開催地は、三重県賢島になりました。
昨年の8月に神戸への誘致を表明して以来、政府への要請を続けてきましたが、残念な結果となりました。

サミットの誘致については、たくさんのみなさまに応援していただきました。
とりわけ、井戸兵庫県知事、大橋神戸商工会議所会頭には、関西が一致した誘致活動の流れをつくっていただきましたし、本県選出国会議員各位には、政府、与党への要請行動を強力に行っていただきました。
市民のみなさまの期待もひしひしと感じてきました。
サミット誘致にご尽力をいただきました、すべてのみなさまに、心より感謝申し上げます。

このようにたくさんのみなさまのご支援があったにもかかわらず、「神戸サミット」を実願させることができなかったことは、私の力不足のせいだと思います。
心より、お詫び申し上げます。

サミット誘致活動を通じて、国際都市・神戸がさらに世界に開かれた街になるために、また、外国人のみなさまにとり住みやすい街となるために、何をすればよいのかについて、改めていろいろと考える機会を得ることができました。
そのような方策をさらに前に進めるための努力を、払っていきたいと思います。

賢島でのサミットを実現された、鈴木英敬三重県知事をはじめ関係のみなさまにお祝いを申し上げますとともに、我が国で開催されるサミットが、グローバルな課題を解決していく上で、有意義な機会となることをご期待申し上げます。


2015年6月2日
から 久元喜造

他人事ではない年金情報流出事件

今朝のすべての全国紙一面トップは、約125万件にも上る年金個人情報の流出を報じていました。
日本年金機構のパソコン端末がサイバー攻撃を受け、基礎年金番号に紐付けられた氏名、生年月日、住所に関する情報が流出したというものです。

報道によれば、年金機構の職員に、学術機関の職員を装った者からセミナーの案内状を添付したメールが送られ、これを開封したところウィルスに感染し、情報の流出につながったとのことです。
未知の人物からのメールを開かないことは、基本中の基本です。

また、報道によれば、年金機構では、社会保険オンラインシステムに格納されていた情報をCD-ROMでLANサーバーに移して管理しており、このLANサーバーは、外部と接続が可能であったとのことですが、このような情報管理が適切であったのかどうかも問われます。

年金機構の前身である社会保険庁は、いわゆる「消えた年金」問題で、社会の指弾を浴びました。
この教訓に学び、マネジメントの改革が行われていたはずでしたが、マイナンバー制度の実施を控えて今回このような不祥事が起きたことは、極めて遺憾です。
事件の真相と再発防止策を早急に明らかにするとともに、関係者の厳正な処分を強く望みます。

今回の事件は、自治体にとって決して他人事ではありません。
自治体は、日本年金機構に比べてはるかに幅広い種類の個人情報を管理しています。

私は、今朝の局長会議において、個人情報の管理と情報セキュリティの現状を改めて点検するとともに、改善すべき事項がないかどうかを含め、早急に対応するよう強く指示しました。
個人情報の厳正な管理に、万全の態勢で臨みます。


2015年5月30日
から 久元喜造

更生への希望 ― 薬丸岳『神の子 上・下』

上下巻、900ページを超える大作です。
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主人公の町田博史には、戸籍がありませんでした。
母親は覚せい剤中毒、父親が誰かもわからず、出生届が出されなかったからです。暴力とネグレクトの中で育ちました。
薬におぼれ、主人公を殴り続ける母親の愛人を刺して逃亡、詐欺グループの室井に拾われます。

しかし、町田には、直感像記憶の才能があり、IQ161というずば抜けた頭脳の持ち主でした。
そして、小澤稔という知的障害のある少年だけが、心を開くことができる存在でした。
町田は、稔の戸籍を盗み、室井から稔の殺害を命じられます。しかし稔が室井の手下を殺してしまい、その罪を被って少年院に入ります。

この後、物語は複雑に展開するのですが、外の世界に心を閉ざした主人公を見守り、更生させようとする人物が登場します。
少年院の法務教官、内藤信一は、社会復帰後の町田の受け入れ先を探し、彼を見守り続けます。
そして、すべてを承知で町田を受け入れたのが、苦境の町工場を経営する女社長、前原悦子でした。

一見、サスペンス風に物語は展開されますが、想像を絶する過酷な環境の中で生きてきた主人公の、更生と再生の物語であるように思えました。

罪を犯した人々の社会復帰が大きな課題となっている今、いろいろ考えさせられることが多かった長編小説でした。
少なくとも、出所した人々の地域社会への受け入れが、国の仕事だ、自治体の役割だと押しつけ合うような醜態は、やめるべきです。

5月22日の朝日新聞夕刊には、大阪における少年サポートセンターの活動が紹介されていました。
「触法少年」の立ち直りのためには、多角的な取り組みが求められることが理解できました。


2015年5月26日
から 久元喜造

教育に関する市長への意見募集

昨日の記者会見 で、教育に関する市長への意見募集について、発表しました。

4月1日のブログ でも書きましたが、平成27年度から教育に関する制度が変わり、教育行政について市長の権限強化が図られることになりました。
市長は、教育に関する大綱の策定を含む自らの責任を適切に果たしていくことが求められます。
私は、教育については、長く教育委員会が責任を持って対応してきた経緯もあり、市長が選挙で選ばれているからと言って、個人的な想いを振り回すことは避けたいと考えてきました。
市長が、これから総合教育会議の場で、教育委員の先生方と向き合い、自らの意見を開陳するとき、それらが、私の限られた個人的な経験や報道に基づくものであってはいけないと思います。

そこで、神戸市として、市民のみなさんに対し、 教育に関するアンケート を実施することにしました。
内容は、神戸市のこれからの教育について、「目指すべき方向性や大切にすべきこと」「特に力を入れるべきことや課題」など、神戸市の教育全体にかかわること(学力向上、情操教育、英語教育、いじめ、不登校、スポーツ、芸術など)です。
自由記述(100字以内)で、お書きいただくことにしています。
アンケートの回答フォーム (パソコンなど)

アンケートの回答フォーム (携帯用)

教育に関する意見については、このブログへのコメントではなく、上記の方法により出していただきますよう、よろしくお願いいたします。


2015年5月23日
から 久元喜造

成田一徹さん『神戸の残り香』

東京にいた時、何かの機会に、神戸市の東京事務所の方から 「神戸の残り香」 についてお聞きしたことがありました。
私が興味を示すと、さっそく、神戸新聞に連載されていたコピーを届けてくださいました。
成田一徹さん が切り絵を描かれた一枚一枚は、とても懐かしく、成田さんが添えられた文章も丹念に読みました。

私は、2012年11月に神戸に戻ってきましたが、残念ながら、成田一徹さんは10月に急逝されていて、お会いすることは叶いませんでした。
昨年の暮れ、私が「神戸の残り香」について話していたことを、成田さんの奥さまがお知りになり、この年の暮れに刊行された『NARITA ITTETSU to the BAR』をお届けくださいました。
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神戸をはじめ、東京、大阪など全国のバーの風景が描かれています。
残念ながら閉店になっているお店もありますが、「Abuはち」「YANAGASE」「SAVOY北野坂」「Sunshine Bar」などが健在です。

その後、『神戸の残り香』は、2006年に神戸新聞総合出版センターから単行本として出版され、2013年に増刷されていたことを知りました。
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頁を開くと、往時の神戸の香りが立ち上ってくるような気がします。
帯には、
「この街には、もっと大人のにおいが漂っていたんじゃないか。」
との、成田さんの言葉が記されています。神戸の街に対する成田さんの遺言のように感じられました。
時代とともに街が変わりゆくのは避けられませんし、変化が求められる面もありますが、街づくりにあたっては、神戸の街の「大人の匂い」を大切にしていきたいと思います。


2015年5月20日
から 久元喜造

山崎亮『コミュニティデザインの時代』

コミュニティデザイナーの山崎亮さんには、神戸市のデザイン都市創造会議に参画いただくなど、たいへんお世話になっています。
ご著書『コミュニティデザインの時代  自分たちで「まち」をつくる』(中公新書)を読みました。
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随所に共感できるところが、たくさんありました。
たとえば、社会が「お客さん化」しているというご指摘です。
「すぐやる課」ではなく、つくるとすれば、「あなたと一緒にするやる課」だろう、と。
「主体的にまちへと関わる人たちの意識をとり戻さねばならない」と、山﨑さんはおっしゃいます。
そのとおりだと思います。

また、まちが寂しくなった理由のひとつとして、活動の「屋内化」を挙げておられるのも、慧眼だと思います。
人々が屋内で過ごす時間が長くなればなるほど、街のにぎわいが減るのは、当然の成り行きです。
地方から見ると、自分たちの街はにぎわいがなくなり、東京ばかりがにぎわっているように見えますが、東京でも人があふれているのは、スカイツリーなどごく一部の観光地で、シャッター通り商店街も都内にはたくさんあります。
街のにぎわいを取り戻すためには、我が国社会全体を覆う活動の「屋内化」への処方箋を、私たちは編み出していかなければなりません。

もちろん、コミュニティの再生は、単に街のにぎわいを超える大きな価値があります。
人と人とのつながりを回復させる活動の輪をどのように広げていくのか ― 本書を参考にしながら、行政の立場からも、試行錯誤を続けていきます。