久元 喜造ブログ

不祥事に研修一辺倒は正しい選択か。


市役所で私に対する説明のかなりの部分を占めるのが、残念ながら、懲戒処分事案など職員の不祥事、情報漏洩、誤った会計処理など不適切な事務処理です。
担当幹部も手慣れたもので、説明は淡々と進められます。
私が激高することがないのを見透かしたかのように。
もちろんこれら事案が続発するのは最終的には市長の責任です。
このような事案が起きないようにしていかなければなりません。

不祥事案の防止対策として決まって出されるのが、 研修の強化 です。
さまざまな研修が入れ替わり行われています。
しかし、研修の強化は最善の対策でしょうか。
少し前に、宝塚市立の中学校で体罰という名の暴力行為がありましたが、この教諭は以前に体罰で3回も処分を受けていたそうです。
報道によれば、この教諭は今回の事件のすぐ前に市教委の研修を受けていたといいます。
少なくとも、この事件においては研修は効果がなかったと言えます。

国でも、自治体でも、問題を起こす職員・社員はごく一部です。
そして世間をにぎわすような不祥事件が起きると、幅広い職員を対象に研修が行われます。
以前、知り合いの幹部が指定職に昇進したので立ち寄ったところ、最初の仕事は、セクハラ防止研修の受講だったと言っていました。
某省事務次官がセクハラで辞職した後、指定職に昇進した幹部はまずセクハラ防止研修を受けることになったとのだそうです。
研修が不要とは申しませんが、これで元気が出るのだろうかと複雑な思いに駆られました。
ものが言い易い職場環境づくり、上司と部下との風通しのよい関係の構築、そして問題を起こした職員の厳正な処分など研修以外にやるべきことはまだまだあるように感じます。