久元 喜造ブログ

里山居住 ― コロナ時代の新しい暮らし方 ―


神戸の特徴は、海と山、自然に恵まれていることです。
東京都区部と大阪市は、ほとんどが人口集中地区ですが、神戸には六甲山・摩耶山のほか、西区、北区を中心に豊かな里山が広がっています。
茅葺民家が数多く残り、由緒ある神社仏閣もたくさんあります。
自然環境と文化遺産が一体となった魅力があります。
大消費地に近いという利点を生かし、農業生産も盛んです。

しかしながら、高齢化が進み、耕作放棄地が広がり、人口が減少している集落もあります。
かつて薪炭林として維持されてきた山林も、手入れが行き届かず、竹藪の繁茂など山林の荒廃が進んでいます。

これらの課題を、地域が主体となり、域外からの知恵を入れながら解決していくことができれば、神戸の農村・里山地域は、市外からの移住・定住の受け皿となることができます。
このような視点から、神戸市は、「神戸 農村・里山活性化ビジョン」を策定しました。
・持続可能な農業の振興
・農村定住環境の整備
・自然文化環境の保全
これら3つを柱に、具体的な政策展開を強力に進めます。

新型コロナウィルス感染症という未知の存在との遭遇は、自然との共生に関する価値を高めると想定されます。
里山、神社仏閣などの文化遺産を、家族や少人数で巡ることは、感染リスクも少なく、心身ともに健やかな時間を与えてくれることでしょう。
感染が収束するポスト・コロナの時代においては、集積が集積を呼ぶ東京など大都会の集住の見直しが進み、市街地、農村・里山地域それぞれの特性に応じた「新しい生活様式」の確立が求められることになるでしょう。
目の前の現実とたたかうともに、これらから何が起こるのかを見据えた都市戦略が大事です。