神戸市立小学校の教員間いじめ問題。
毎日新聞の春増翔太記者は、12月5日の「記者の眼」で、加害教員に対する分限休職処分について、「こうした重みを、久元市長や市教委はどこまで考えたのか」と問題提起されました。
この記事は、全国紙の全国面での署名入り記事です。
このような場面で指摘されるのであれば、やはり取材をして、疑問点を訊いていただきたかったと思います。
もちろん、取材があらゆる場面において求められるとは思いません。
客観的事実、記者会見や国会・議会の答弁などをもとに記事を書かれる場合には、要らないことも多いでしょう。
しかし「どこまで考えたのか」と指摘される以上は、その人物が何を考えているのかについて、取材されて然るべきではないでしょうか。
取材相手が話す内容、そして、相手の視線、表情、しぐさなどから、本当のことを言っているか、いい加減なことを言っているのかを吟味する。
報道の原点は、丁寧な取材にあるはずです。
この点が閑却されたことは、残念です。
今回の分限休職処分については、確かに多岐にわたる論点がありました。
だからこそ、当事者からの取材が大事だったのではないでしょうか。
せっかくこの問題に関心を持っていただいたのですから、議論もしてほしかったと思います。
私は、ツイッターで、定例記者会見に春増記者にお越しいただき、疑問点はとことん訊いてください、と呼びかけました。
しかし、前回の定例記者会見に春増記者の姿はありませんでした。
当日の事情もあったこととは思いますが、たいへん残念です。
報道機関の社会的使命は大きいと思います。
丁寧な取材と開かれた議論に立脚した記事を期待したいと思います。