自治体選挙の投票率は、以前から、郡部などでは高く、大都市部では低い傾向が見られてきました。
自治体の規模が小さいほど、住民との距離が近く、その存在が身近に感じられるからだと考えられます。
私は、1980年代、青森県で選挙管理委員会事務局長を務めましたが、当時の投票率は、とくに郡部で極めて高く、たとえば、津軽地方にあった当時の木造町の町長、町議会議員選挙の投票率は、以下のとおり、90%を超えていました。
町を二分する、極めて激しい町長選挙だったと記憶しています。
木造町長選挙(1983.4.24 執行)95.01% (有権者数 16,963人)
木造町議会選挙(1984.2.26 執行)92.69% (同 15,826人)
木造町は合併し、つがる市になりました。
つがる市の市長選挙は、直近も含めて、無投票が続いています。
直近の、つがる市議会議員選挙(2019.1.27 執行)の投票率は、72.36%(有権者数 28,376人)でした。
大都市部よりもかなり高い水準ですが、旧町のときよりも、20%程度、低下しています。
合併により、市長・市議会との距離が遠くなったからかもしれません。
合併だけが原因であるとは断定できませんが、旧郡部においても、お互いに顔が見えていた地域社会が変容してきている可能性もあります。
4月21日に執行された統一地方選挙では、町村長・町議会議員選挙の投票率とも、過去最低となりました。
投票率の低下傾向の背景には、人々の投票行動に影響を与える構造的な変化があるように思えます。
投票率低下の背景や対応策を含め、各方面から多角的な考察・分析が求められるように感じます。(続く)