久元 喜造ブログ

行政コスト計算書が示すもの

先日、神戸市の 平成24年度決算見込 が発表されました。
この中で、「事業別行政コスト計算書」が入っています。

以前は、国が示したモデルに基づき、4種類の財務書類(「貸借対照表」「行政コスト計算書」「純資産変動計算書」「資金収支計算書」)を作成していましたが、全市の合計として1つになっていたため、全体像を示しているものの、市民の方からは、数字を見ても分かりにくい資料でした。

そこでつくられたのが、「事業別行政コスト計算書」です。
「事業別行政コスト計算書」の目的は、個々の事業ごとに要するコスト(人件費、物件費など)と、それに充当する財源(受益者負担や、市税を含む一般財源など)の状況を明らかにすることです。
現金収支と合わせて、現金の移動を伴わないコスト(退職手当引当金繰入等や減価償却費)も含めた、総コストでの把握が可能となります。

毎年、「保育所の運営」や「ごみ収集」、「消防・救急業務」など、市民の皆さんに身近な事業を中心に20程度の事業について分析しています。市議会においても、この計算書をもとに、事業の適否について審議が行われています。

たとえば、「広報紙KOBEの発行」では、広報紙発行全体のコストが約2億3千万円、広報紙1部あたりのコストが24円となっています。
単なる印刷経費だけでなく、それに係る人件費も含めたトータルコストで計算されており、紙面のフルカラー化などの影響で前年度と比べて約1千万円のコスト増となっています。
この金額を見て市民の皆さんは、高い、安い、どのように感じられるのでしょうか。
広報紙KOBEは、市のさまざまな取り組みを市民の皆さんに知っていただくのに不可欠な広報媒体です。
しかし、だからといってコストを度外視していいものではありません。

私は、神戸市のこのような取り組みを、率直に評価します。
「事業別行政コスト計算書」をもとに、さまざまな議論が行われることが可能になるからです。