久元 喜造ブログ

絵本『会下山物語』

 


神戸市立神港橘高校 では、絵本を制作・出版する取組みを続けておられます。
神戸の各地域に残る民話・伝説や史跡にスポットを当て、小学生や中学生による現地調査や聞き取りを経て制作するという、意義のある取組みです。
今回の絵本では、同校が 会下山小学校 との連携が10年になることを記念し、会下山 が取り上げられています。

会下山 は、兵庫区の市街地北部にある小高い丘です。
子どものころ、よく遊んだ懐かしい公園です。
5年生まで在校した旧川池小学校は、震災前年の1994年に旧中道小学校と統合され、会下山小学校 が創立されました。

本書によれば、もともと会下山は、奈良の法隆寺の土地だったそうです。
「会下」とは、お坊さんが集まって修行をする場所です。
法隆寺に残された文書に、会下山周辺の記述が残されていることが紹介されています。
改めて会下山の由緒に想いを馳せました。

震災では、会下山小学校校区も大きな被害を受けました。
いま、周辺を歩くと、せせらぎに鯉が泳いでいるなど、震災の痕跡は感じられませんが、それだけに地域と行政がさまざまな課題を乗り越えてきた歩みが感じられます。

旧川池小学校「川池こどもの歌」は、「明るく晴れた 会下山に」で始まりました。
かつて、会下山から眼下に眺めた神戸の街と港の光景は、今でも脳裏に焼き付いています。
神戸の港 見下ろして 世界に伸びる 明日の夢
うろ覚えですが、「川池こどもの歌」の一節です。

会下山小学校に学ぶ子供たちが、会下山の長い歴史を大切にしながら、かつて神戸市民がそうしたように、未知の世界にきらきらと目を輝かせ、新しい世界に挑戦していってほしいと願っています。