久元 喜造ブログ

小野秀明・神戸新聞論説副委員長の批判に答えます。


「神戸の鉄道網は不便?」
と題された「論 ひょうご」(2019年1月28日)は、新神戸からの地下鉄に「別料金」がかかるのは、おかしい、と説き始めます。
新大阪駅からJRの在来線に乗り換えれば、大阪駅までの追加料金がいらない。
これに比べ「不便」だと。
新幹線とJR在来線の鉄道事業者は、同じJRグループです。
話は全然違います。

小野氏は、運賃の問題から、急に相互乗り入れに話題を変え、東京、大阪で相互乗り入れが進んでいることを礼賛します。
小野氏はご存じないのでしょうか。
関西で相互乗り入れに先陣を切ったのは、神戸であったことを。
市外から乗り入れていた阪神電鉄・阪急電鉄・山陽電鉄・神戸電鉄の4電鉄のターミナル駅が隔たっていたことから、神戸市復興基本計画の一環として神戸高速鉄道の路線計画が位置づけられました。
そして、1968年(昭和43年)、相互直通運転が実現したのです。
先人の努力を一顧だにせず、東京・大阪に比べた神戸の後進性を強調するのは、地元紙・論説ナンバー2 の「論」としては、寂しい限りです。

もちろん、現状に安住していていいわけはありません。
既存インフラを活用し、運賃をいかに下げていくかは重要です。
とくに、三宮・谷上間を、神戸市交通局と北神急行㈱が区間を分かって運営しているために初乗り運賃が発生し、10分余りの所要時間にも関わらず、540円と高い運賃になっていることは問題です。
私は、この長年の懸案に対処するため、昨年暮れ、阪急電鉄㈱との間で、新神戸・谷上間の神戸市交通局への譲渡を目指し、交渉をスタートさせることで合意しました。

「神戸が遅れている」という結論ありきで、小野氏にとって都合の良い「事実」を寄せ集めた論説は、一定の拍手喝さいを浴びるでしょうが、事情を知った関係者は呆れ果てるだけです。
神戸市政が、このような論説に影響を受けることはありません。
過去の歴史に目をつぶり、現実を直視しない論説が、神戸の未来を指し示すことはないでしょう。
残念ですが。