タイトルにあるように、政党が政権を取るためには何が必要なのかについて、自民党がいかに手ごわいか、その強力な相手から政権を奪い取るには野党は何をしなければいけないかなど「ぎれいごと無用」の戦略論が展開されます。
興味深い内容でしたが、私にとり示唆に富んでいたのは、橋下徹さんご自身が、大阪府知事、大阪市長時代、どのように「政権」運営をされたのかについてでした。
「第3章 「マーケッティング」で有権者をつかむ」では、橋下さんが府知事になられてすぐ、職員数名で政策マーケッティングチームを作り、政策効果をかなり精緻に分析・検証していたことが紹介されていました。
さらに「第5章 政策より「組織」が大事だ!」では、政治と官僚の役割分担の実践が語られます。
橋下さんが府庁や市役所の職員と白熱した議論を展開されたことは知られていますが、最初に手掛けたのは、「言葉の変換装置の設置」であったと言います。
特別チームをつくり、橋下さんの「思考や言葉を、役所で言うところの思考や言葉に変換し」、「役所の思考や言葉を僕が言うところの思考や言葉に変換してもらう」という作業を担ってもらったのだそうです。
チームとのやり取りの中で、ご自身の思考法を改めたり、指示の出し方を工夫していったりしたことが明かされます。
こうしたやりとりを経て、知事・市長の役割と行政の役割の境界線に徹底的にこだわりながら、仕事を進めていったと言います。
「政官が互いの役割を理解した上でコミュニケーションのキャッチボールをしながら進めていく というのが、政治家が行政組織を動かすための基本である」。
まったくそのとおりだと感じます。