久元 喜造ブログ

中條聖子『森のかんづめ』


本当に申し訳ないのですが、どなたからいただいたのか忘れてしまいました。
部屋の本棚にあるのをたまたま見つけ、昼休みに読みました。

表紙が可愛くて美しい、素敵な絵本です。
日本語と英語の両方で書かれています。

ある山のちょうじょうに 美しい森にかこまれた 小さな国がありました。
小さな国には ひとりの王さまと 少しの人びとが すんでいました。
人びとは すくない畑をたがやして みんなしっそに なかよく くらしていました。

ある日、小さな国の王さまは、大きな国の王さまからパーティーに招かれます。

見たこともない大きなたてもの、そして大きなお城がそびえています。
お城の大広間では、たくさんの王さまや女王さまたちがにぎやかに話をしていましたが、小さな国の王さまは話の輪に入れず、すみのほうで、ぽつんとたっていました。
そしてすばらしいたべものがつぎつぎにはこばれてきます。

しかし、大きな国の王さまから見せられた地図には、小さな国はのっていませんでした。

国に帰った王さまは元気がありません。
そんな王さまを人びとは励まします。

王さま 元気をだしてください。
わたしたちの国をしってもらうためにも じまんのものを いっしょにかんがえましょう。

小さな国の人々が、自分たちの国のすばらしさを知ってもらうために考え出したものとは・・・・・・?

作者の中條聖子さんは、神戸出身の内科医。
神戸大学医学部附属病院で診療と研究に当たっておられましたが、阪神・淡路大震災で亡くなられました。
29歳の若さでした。
中條さんのやさしいお人柄が偲ばれる佳作です。
美しく、ほのぼのとした絵は、三浦美代子さんの作品です。