貴乃花親方など新聞、テレビの報道に接し、感じていることを少し記したいと思います。
長い間、報道の原点は、記者による取材でした。
記者のみなさんが、国内外の支局などで丹念に行った取材をもとに報道が行われてきました。
有力な政治家や有名人の言動も、記者会見や囲み取材をもとに報道が行われてきました。
このような長年の報道のありようが大きく変わってきているように感じます。
新聞の記事、テレビのニュースで、有力政治家、有名人のつぶやきがよく報じられています。
ツイッターなどの文字をただ転載しているだけです。
テレビの報道番組でも、ネットで意見を受け付け、それらをもとに議論が展開される番組も目立ちます。
新聞でも、SNSで投稿された意見の紹介やその動向をベースに組み立てられる記事や評論が増えています。
ネット時代ですから、やむを得ない面もあると思いますが、ネット上の情報に頼り、これを垂れ流しにする傾向が強まるようであれば、報道機関としての主体性、その存在価値が問われます。
本人が取材に応じないのであれば、ネット上の発言を流すだけでなく、周辺への取材も大事なのではないでしょうか。
優秀な記者のみなさんによる取材はたいへん重要です。
取材は、実際に当事者の生の声を聞き、その声音や表情、反応を観察し、現場の雰囲気を五感で感じながら行われるはずです。
新聞記事やテレビのニュースに直接生かされる部分は一部かもしれないけれども、そのようにして行われる取材の蓄積は、社会を変えていく力を内在させていると思います。
ネットからの情報を賢明に選択し、補完的に活用しつつ、取材に基づく報道姿勢が堅持されることを望みます。