久元 喜造ブログ

「総合性」について④


半世紀近く前のことになりますが、神戸市立山田中学校を卒業する時、恩師は、次のような色紙を書いて励ましてくださいました。

小石をいくら集めても岩にはならない。細切れの知識をいくら集めても、それらを関連づけ、統御しようとする意思がなければ、何の役にも立たない。

高校のときはあまりこの言葉を思い起こすことはなかったのですが、大学で社会科学を学ぶようになり、折に触れ、恩師が贈ってくださった言葉をかみしめるようになりました。
大学を卒業して、旧自治省に入り、地域が抱えている課題に向き合うとき、諸制度をどのように関連付けて課題の解決に結びつけることができるのか、という発想で仕事をする努力を重ねてきました。
もちろん、官僚組織の一つの歯車に過ぎない立場では、自分ができることには限界がありましたが、それでも、自分が属している組織の立場を超えて何ができるかを模索する日々が続きました。

自分なりに勉強し、思索を重ねました。
先日逝去された中村雄二郎氏の「共通感覚論」は、説得力を持つ考え方だと感じました。
「五感を統合して、世界を総合的にみること」の大切さを教えられたように思います。

振り返れば、自分は、少年時代からずっと「総合性」を追い求めてきたのかもしれません。
そして今、私は、神戸市政のあらゆる力を結集して「総合性を発揮」し、地域の課題の解決に全力で取り組んでいく責務を負っています。
「総合性」の追求とその発揮という価値観は、私の中に根を下ろし、内面化されており、いかに批判されても揺らぐことはありません。