国際都市である神戸市には、海外からの賓客がよくお見えになり、会談、式典、レセプションなどがよく開かれます。
とくに開港150年の今年は、数多くの海外からのお客様をお迎えしました。
国とはレベルも次元も違いますが、プロトコールについて最低限の知識を持っておきたいという思いから、本書を紐解きました。
筆者の寺西千代子さんは、1968年に外務省入省され、外務省儀典官室に10年あまり在籍し、国賓・公賓の訪日接遇を担当されました。
また、在外公館勤務経験も豊富で、幅広い人脈をお持ちです。
プロトコールとは何か。
寺西さんは、「国家間で守るべき公のエチケット」であり、「国際儀礼」とも説明されています。
マナーと同じように、「相手に不快感を抱かせず、お互いの関係を良好に保つための潤滑油のようなもの」とされまます。
VIPの敬称、招待状の書き方、発送の時期、テーブルの席次、ドレス・コード、記念品の選び方、さらには靴下のマナーまで、実践的な対処方法が、失敗談も交え、たくさん示されます。
伊勢志摩サミットでのワーキング・ランチ、ワーキング・ディナーのメニュー、お酒の銘柄も興味深かったです。
本書を通読し、大事なことは、事細かな決め事をそらんじ、頑なに守るのではなく、相手の立場に立った、きめ細やかな心配りだと気づかされました。
豊かな想像力と柔軟な対応力が求められる世界であるとも感じました。
筆者が外務省の上司、先輩にいかに恵まれ、どのように専門家として成長していかれたのかについても触れられており、外務省の人材育成方法の一端に触れることができたことも有意義でした。