久元 喜造ブログ

児童虐待対応の第一線

161229-2
大晦日。
今年、大きな社会問題になった児童虐待について記し、締めくくりたいと思います。
12月24日の朝日新聞天声人語は、こんな文章で始まっていました。
「子どもへの虐待事件が起きるたび、児童相談所の対応が問われる。なぜ助けられなかったのかと。しかし、日々の相談所の活動によって多くの子どもたちが危険な状況から逃れていることはあまり注目されない」

朝日新聞には、「児相の現場から」という連載が掲載されていました。
はじめから行政を批判するのではなく、ありのままの現実に目を向けようという報道姿勢に敬意を表します。

児童虐待の現場は、困難を極めます。
私も、こども家庭センター(神戸市の児童相談所)のほか、区役所、社会福祉協議会などの職員のみなさんから、できる限り話を聞くようにしています。
児童福祉司、保健師、保育士をはじめ、さまざまな職種のみなさんが連携して、子どもの命を救おうと、必死の対応をしてくれていることに頭が下がります。
もちろん、個々のケースを後から見れば、もっとベストの対応はあり得たということはあるかもしれませんが、現場のみなさんは、ぎりぎりのところで奮闘してくれています。

しばしば、虐待に走る親、その同居者、恋人は、社会から追い詰められた被害者だという見方に立った記事も目にします。
確かに、社会に背を向け、孤独のうちに追い詰められて虐待につながるケースもあります。
しかし、本当にこれが人間のするのことなのか、と言葉を失うケースがあることも事実です。

きわめて困難な問題ですが、新しい年も関係機関と連携しながら、組織一丸となって児童虐待の根絶に向け取り組んでいきます。